- Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003364024
感想・レビュー・書評
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まだるっこしいく、ふるめかしいため、ひどく疲れる読書になった。神秘に触れるには才能がいる。また神秘の触れないと結局信仰は完成しない。従い、我々と宗教は遠く隔たっているという現状追認しか、僕にはできなかった。
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プラグマティズムの創始、ウィリアム・ジェイムズによる力作。1902年エディンバラ大学においての講義をまとめたものである。伝統的に神秘的、超自然的に扱われてきた宗教的経験を心理学を元として紐解く。しかし、それらの経験を現実的に一般化しその神秘性を単純に否定するのではなく、宗教経験の特異性を保持しながら、それが今までのように外からの影響による経験と捉えるのではなく、人間の内面から現れる諸相として紐解いている。
まさにプラグマティズムであり、神秘的な物事の原因よりもその影響と有益性に対して多くを語っている。自由主義、多元論的であることは断る必要はないと思うが、これですら100年以上前である。どう向き合い、どう取り込むのか。しっかりと見つめていく必要があるだろう。
16.5.24 -
TEA-OPACへのリンクはこちら↓
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00130295 -
2度生まれの人。病める魂の人。繊細度が高く、痛みの閾が低いため、普通の人が希望を感じることにも絶望が見えてしまう。自分これじゃw
ざっと読み。 -
面白過ぎて,途中から非常に引き込まれた。
回心という心的変化がどのように生じているのか,要因は何なのか,ということを,James, W. が講義形式で解き進めている。
宗教とは,「内心の不完全さを治療し,不調和を改める過程」であり,宗教は心理療法とも限りなく近いものであると,Jamesは述べていた。勿論異議なし,です。
回心のプロセスは(私の読み取りでは),
1. 絶望,憂鬱
2. 弛緩と自己放棄
3. 絶対的存在による識閾下での被支配感
4. 世界の客観的変化(善を見て,悪を無視する)
このプロセスを考慮すると,キリスト教において旧約聖書が削除されなかった訳も”1. 絶望,憂鬱”という点で理解しやすくなる。一度絶望させることで自己放棄や弛緩が生じ,贖罪をおこなったイエスのありがたさ(もったいなさ)が強烈に感じられるのだと思う。
回心が生じると,信じる対象が主体から客体(神)へ変化しているように見えるが,この客体である神は,いわば識閾下的自己,ミンスキーのいうインプリマであろう。
であれば,回心とは重視する存在が自我から明確に意識出来ない自己へのシフトであるように考えられるのではないだろうか。意識の場の広がり,とも言える。
下巻にも期待。 -
フリーペーパーで紹介されてた。
『インナートリップへの指南』 -
ジェイムスの代表作だが,心理学から哲学への過渡期の作品でもある。下巻の訳者解説にもあるが,本書のタイトルは,「宗教的」=スピリチュアリズム,「経験」=純粋経験,「諸相」=多元的宇宙論,という具合に,ジェイムスの哲学の要素を網羅している。医学者から心理学者となり,宗教研究を経て哲学者となったジェイムスのターニングポイントであると同時に,すでにその後の哲学的世界観が埋め込まれているように思える。彼は結局独自の哲学体系を構築することはなかったけれども,その世界観はこの時期から通底しているようだ。現在下巻に取りかかっているが,その後は心理学まで遡ろうと思う。ていうか,中古で安く全集売ってないかなw
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宗教心理学の古典だが、現代人であれば誰でもここから有益な知見が得られることうけあい。『プラグマティズムと宗教』『宗教の有益性』みたいなタイトルでも可。
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大学の宗教教育学の授業でテキストとして使用。
神学者や哲学者から一般人に至るまで、個人の宗教的な経験についての、心理学からのアプローチ。そこから、宗教や神の存在についても述べられていく。
憂鬱な人間と快活な人間とを対比し、両者の感受性や思考の中にある宗教的な面を分析、そこから宗教を二つの種類に分けるなど、興味深い論述がなされている。
ルターやトルストイの思想、近代の自由主義的思想なども取り上げられる。 -
多元主義的宇宙論。