ラッセル教育論 (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1990年5月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (348ページ) / ISBN・EAN: 9784003364925

みんなの感想まとめ

教育の重要性や理想を深く掘り下げた本書は、著者自身の子育て経験を基に、実践的なノウハウを提供しています。特に、旧式の教育制度に対する反抗の姿勢が際立ち、伝統に挑戦する力強さが感じられます。数学者として...

感想・レビュー・書評

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  • ラッセル 教育論
    著:バートランド・ラッセル
    訳:安藤 貞雄
    岩波文庫 青649-2

    バートランド・ラッセル(1872-1970)は、イギリスの哲学者、数学者、政治指導家である。ノーベル文学賞を受賞するなど多彩な学者であり、平和主義者として、原水爆への禁止、ベトナム戦争への反対も行った。

    気になったのは、以下です。

    ■教育の理想

    ・19世紀以前の教育理論の偉大な改革者を2人あげるなら、ロックとルソーであった
    ・教育は実用的であるべきだ。なぜなら、教育する過程はある目的に対する手段であって目的ではないからだ
    ・教育者は若い人々を愛すべきだ、というだけでは十分でない。教育者は、さらに、人間のどこがすぐれているのかを正しく理解していなければならない
    ・理想的な性格の基礎をなすように思われる特性は4つある。活力、勇気、感受性、知性である。
    ・知的生活の本能的な基礎となるのは、好奇心で、知性には、活発な好奇心が必要とされる

    ■性格の教育

    ・幼年期の習慣形成を考察する際、考慮すべき問題が2つある。健康であり、性格である
    ・子どもが6歳になるまでには、道徳教育はほぼ完成していなければならない

    ・赤ん坊が一番怖がるのは、大きな物音と、落とされるという感覚である
    ・恐怖に関しては、幼いときから自制心を養わせ、幼いときから身体的な冒険を教え込むことが大切である
    ・人生は危険に満ちている。しかし、賢い人は、避けられない危険は無視する一方、避けられる危険に対しては用心深く冷静に行動する

    ・遊びには、権力への意思の2つの形がみられる。いろんなことの仕方を学ぶことと、空想にふけることである
    ・真理は大切であり、想像力もまた大切である
    ・競争心は人間にとって自然であって、何かはけ口を見つけずにはいられないわけだし、しかも、そのはけ口としては、ゲームや運動競技ほど、無難なものはまずない

    ・本能という素材は、倫理的には中立であり、環境の影響によってよい形にも、悪い形にもなる
    ・建設も破壊も、ともに、権力への意志を満足させるが、概して、建設のほうがむずかしい。だから、それを成就できる人は、より多くの満足を得られる
    ・破壊のほうがやさしいので、子どもの遊びは、普通、破壊とともに始まり、少し大きくなってはじめて建設へと移っていく
    ・一人っ子に公平を教えるのは、不可能ではないにせよ大変むずかしい

    ・まず子供にあっては、所有の感覚が非常に強い。子供は、つかんだものは自分のものだと感じるので、それを取り上げるとひどく腹を立てる
    ・真実を語る習慣を養うことは、道徳教育の主な目的の1つでなければならない
    ・道徳教育はおしなべて直接的、かつ、具体的でなければならない
     一般的な規則を理解して、演繹的にすすめていくよりも、1つの具体的な例を理解して、似たような考え方を似たような場合に当てはめていくほうがはるかにやさしい

    ・子供の中に望ましい性格を創り上げるために、ほかの子供たちの助けがなければとてもできないことも実にたくさんある
    ・大学時代ほど、同年輩の仲間が重要である時期はない
    ・年上の子供のゲームに加わる資格ありと思われたいために、子どもは、大変な努力をする
    ・成長期を通じて、つねに少し年上の人が教育面で特別の効用を持ち続ける
    ・年下の子供も、またそれなりに役にたつ、子供は、おとなのそばにいるかぎり、重要な美徳をいろいろ発揮する機会がない、すなわち、強者が弱者を取り扱う上で求められる美徳である

    ・人に頼るように育てられた少女は、当然自分の母親に頼るようになるので、幸せな結婚の本質である、男性との心からの強力関係にはいることができないということに、だれ1人として気が付かなかったようだ。
    ・女性は、性的に満たされてないかぎり、完全な母親になることも、幼い子供の完全な先生になることも、きわめて難しい

    ・子供との戦いにおける大原則は、降参するな、しかし、罰するな、である。

    ■知性の教育

    ・集中力は、実に貴重な性格であり、ほとんどの人は教育によるほかはこれを身につけることができない
    ・集中力が真に価値あるものになるためには、さらに、意志によってコントロールされなければならない

    ・正確さを確保するためには、興味と反復によるほうがよい
    ・教師は生徒の敵としてではなく、友達として登場する
    ・概して両親は、たとえ、他人の子供を教える資格が十分にある場合でさえ、正規の学科を教えるのに最上の人間ではないということにすぎない
    ・近代の教育家たちも、暗記をますます重視しなくなってきている
    ・外国語を教えるのであれば、幼年期がよいという考え方には強い根拠がある
    ・実用的な重要性の高い科目は、すべての生徒に教えなければならない
    ・カリキュラムよりも重要なのは、教授の方法と、教育を授ける際の精神の問題である
    ・私は、正統や異端を教えるのではなく、考えることを教えることを自分の目的としたい
    ・退屈だと感じられるような知識は、およそ役に立たないのに対して、熱心に吸収された知識は永遠の所有物となる
    ・教育者が必要とし、その生徒たちが身につけるべきものは、愛に支配された知識である
    ・重要なのは、冒険と自由の精神である。つまり、発見の航海に乗り出そうとする感覚である。

    目次
    まえがき
    第1部 教育の理想
     第1章 近代教育理論の前提条件
     第2章 教育の目的
    第2部 性格の教育
     第3章 生後第一年
     第4章 恐怖
     第5章 遊びと空想
     第6章 建設的な心
     第7章 わがままと自分のもの
     第8章 真実を語ること
     第9章 罰
     第10章 ほかの子供たちの重要性
     第11章 愛情と同情
     第12章 性教育
     第13章 保育園
    第3部 知性の教育
     第14章 一般的な原理
     第15章 十四歳以前のカリキュラム
     第16章 最後の数学年
     第17章 通学制学校と寄宿制学校
     第18章 大学
     第19章 結論
    訳注
    解説

    ISBN:9784003364925
    出版社:岩波書店
    判型:文庫
    ページ数:348ページ
    定価:970円(本体)
    1990年05月16日第1刷発行
    2017年07月12日第9刷発行

  • 積ん読してあったのをたまたま手にとって読み始めたら面白くて止まらなくなった。ひとつは、本書が、一度子育てを経験してみなければわからないノウハウに溢れている点。ラッセル自身の子育て経験がふんだんに語られている点。
    もうひとつは、前世代に対する戦いでもあるという点。ラッセル自身旧式の教育を受けた身として、当時の旧弊なイギリスの教育制度に反抗しようとしている。
    ラッセルは本書を書きながら、みずからの子供時代を、子育てを通して生き直そうとしているかにみえる。

  • 教員もしくは母親になる人にぜひ読んでほしい。(姫)

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 教育哲学の本を読んだのはたぶん初めてなんだけど、すごくおもしろかった
    他の著書も読んでみたい

  • コモンセンスの人、ラッセル同著の、結婚論、幸福論と併せて読みたい一冊。ホワイトヘッドと共著の当時の高校までの数学を体系づけたPrincipia Mathematicaと違い、論理学の素養がなくても読みやすい。

  • 子供が自発的に学ぶようにする…それを目指すことに関してはもちろん賛成。自分で学習する理由を見つけられれば、世界はどんどん広がっていく。塾やら学歴やらで滅茶苦茶になっている教育現場では難しいかもしれないけど。

  • 近代論理学の金字塔プリンキア・マテマテカなどを著した論理主義数理哲学者であり、ノーベル文学賞受賞者であり、平和主義者として活躍した数学者・思想家・哲学者・活動家…のバートランドラッセルによる「教育論」。

    プリンキアマテマテカ…は読めないので、教育論から読んでみました。

    この本には書いてありませんが、ラッセルは何人目かの夫人と共に学校を作って教育を実践していたのだからすごい。

    この本において一貫して主張される理念は、「愛と知」に基づく実践である。すさまじいバイタリティを持って知と追求し、愛を求め、平和の理念を行動に移したという彼の人生は波乱万丈でびっくりだけど、そういう人生を歩んだ彼の正々堂々さが本にもよく表れているのを感じ、なんだか圧倒される。

    個人的な印象として、細かいやり方に関する指針を述べている中には、多少、当時のワトソン的な行動主義心理学に毒されてる(??)印象を受けた部分もある気がするけど、そういう細かいところは別に気にならないし。どういうやり方をすればどうなるか、ということよりも、どういう精神で教育を行うべきか、ということに関して今でも多くのことを学べると思われる。

  • 読んだのは「夜の来訪者」

  • 何故、ラッセルは98歳まで精力的に活動できたのか?

    その理由を信念に見出すならば、
    ラッセルの「学び」や「好奇心」に対する考え方にあるように見える。


    「人間は、多くのことを学べば学ぶほど、ますます多くのことを学ぶのが容易になる」

    「遠い昔とはすっかり変わってしまったのは、ほかでもない、そんなことを口にする人の好奇心なのである」


    ラッセルの『教育論』には、
    人間に対する深い洞察と愛が溢れているように思える。

    例えば、
    抑圧や制限をするのではなく、
    解放や引き出すというところに。

  • 後で書きます。

  • \105

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著者プロフィール

広島大学名誉教授・文学博士(名古屋大学)。1973 年ロンドン大学留学。1976年市河賞、2006年英語語法文法学会賞、2008 年瑞宝中綬章。Who’s Who in the World(1993-)、Men of Achievement(1995-)記録。主な編著書:A Descriptive Syntax of Christopher Marlowe’s Language(University of Tokyo Press)、『英語教師の文法研究』(正・続)(大修館書店)、『生成文法用語辞典』(共著、大修館書店)、『英語学の歴史』(共著、英潮社)、『新クラウン英語熟語辞典』(第3 版)(共編、三省堂)、『新英和大辞典』(第5、6 版)(共編、研究社)、『言語学・英語学小辞典』(共編、北星堂書店)、『現代英米語用法事典』(共編、研究社)、『英語学の視点』、『英語学入門』(共著)、『英語史入門』、『現代英文法講義』、『英語の文型』、『英語の前置詞』(以上、開拓社)、『英語イディオム・句動詞大辞典』(編、三省堂)、など。そのほか訳書多数。

「2021年 『新装版 基礎と完成 新英文法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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