幸福論(ラッセル) (岩波文庫)

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レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003364932

作品紹介・あらすじ

自分の関心を内へ内へとむけるのではなく、外界へとふりむけてあらゆることに好奇心をいだくこと。偉大なるコモンセンスの人ラッセルは、これこそが幸福獲得の条件であり、それは自己説得によって可能なのだと説く。たくましく、しなやかに人生を生きるための知恵がこの幸福の処方箋にはたっぷりと書き込まれている。

感想・レビュー・書評

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  • 『自分自身と自分の欠点に無関心になることを学んだ。だんだん注意を外界の事物に集中するようになった』
    『どっぷり自己に没頭している不幸な人びとにとっては、外的な訓練こそ幸福に至る唯一の道なのだ』
    不幸の原因は自己没頭であり、その種類は①罪びと、②ナルシスト、③誇大妄想狂の3種類に分かれると説く。また、実際に人日が実際に陥っている状況として、8つの原因を挙げる。
    その一方で幸福な人は、客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている人と主張している。幸福へ至る要素は6つあり、それらを大切にすることで幸福が『獲得』できると言う。
    論理学者が書いた幸福論ということもあり、掴みづらい抽象論の話もなく、実践的な内容である。
    自分が一番好きな文言は第14章の『仕事』より、以下の文言。
    『人間は、自分の人生を一つの全体としてみようとする傾向に関して、互いにいちじるしい違いが見られる。(中略)人生を一つの全体としてながめる習慣は、知恵と真の道徳のどちらにとっても必要不可欠な部分であり、教育において促進されるべき事柄の一つである。首尾一貫した目的だけでは、人生を幸福するのに十分ではない。しかし、それは、幸福な人生のほぼ必須の条件である。』

  • かーなーり、内容の濃い本です。一度、読んだぐらいで内容をきちんと理解し咀嚼し自分の血肉にできる、などと思わない方がいい。

    かといって「理解に苦しむ」訳ではないのが面白い。前半は人が不幸になる原因について追及し、後半は一転して人が幸福になるためにはどのような心がけが必要かについて述べていて、本の作りとしては非常にシンプル。
    不幸の原因に関する部分ではやや難解な場所も散見されますが、後半の幸福になるためのポイントについては非常に分かりやすく、また賛同できる内容となってます。

    原著が出たのがそこそこ昔である割に、翻訳もこなれていて記述も(この手の本にしては)読みやすいです。何度も読み返すことで味が出てくる本であり、本棚に住まわせていて損はない本ということです。

  • 幸福論を書いた著作は山のように世の中にあると思う。ダレが書いた幸福論が好きか・・は読む人次第。「幸福論」という題材を手に取る人たちは、それなりになにかしら心に病みとまではいかずとも、心の中になにかを抱え込んでいる人がおおい。
     私が。ラッセルの幸福論を手にした理由は、単純にラッセルの文体が好きだと言うこと、そして彼の著作にも、幸福論というものがあると知ったからだ。あまりにも単純すぎか(笑)読んでみると、やはりアランの幸福論よりわかりやすい。この辺りはさすがだなあと思う。半分は、ラッセル贔屓もあるかもしれないが。
     幸せになりたいから、今幸せでないから・・という理由で読んでいるわけではないので、この一冊に光をみつけようとも思っていない。ただ、読んでいくと、琴線にひっかかるものは山のようにある。たとえ、自分が今、幸せを感じていなくともこのような本を読むだけで、心豊かになれるような気になる。
     仕事でイライラしているとき、おもったように人が動かない時、親兄弟と意見が合わなかったとき、友達からの裏切りがあったとき・・人生の中では誰しもが抱える問題も、ケセラセラの感覚で軽くスルーすることも悪くはないのだということを教えてくれる。
     デスク脇に必ず置いて、なにげない時間に開いて読むことにしている。

  • しなやかに生きる事、それがラッセルの言う幸福な人生の条件。刺激的な幸せはより多くを求めるようになり、やがて不幸に行きつく。まるで麻薬のように。だから、不幸を感じない事、消極的だけど、そんな平穏な状態にこそ幸せを見つけるべきなんだ。そして、一番大事なことは、日本に住んでいる人の大部分はその気にさえなれば、自分の人生が幸せなものだと築くことができるはずだ、僕はこの本を読んでそう思った。

    最後に、僕の好きなこの本の一節を引用したい、

    『―最もすぐれた小説は、おしなべて退屈なくだりを含んでいる。最初のページから最後のページまで才気がひらめいているような小説は、まずまちがいなく、偉大な本ではない。偉人の生涯にしても、二、三の偉大な瞬間を除けば、興奮にみちたものではなかった。』

  • 幸福な人は、食と住、健康、愛情、仕事、仲間からの尊敬を持っている。客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている(この時、本当にあなたの興味を掻き立てるもののみがあなたの役に立つ)。自分の人格が内部で分裂しておらず、世間とも対立していない。不幸な人は、自己中心的であり、自分の殻に閉じこもっている。不幸な人によくある情念は、恐怖、ねたみ、罪の意識、自己への哀れみ、自画自賛である。

  • 【自分的まとめ】
    なんとなく幸せじゃないとか言って、自分の殻に閉じこもってる場合じゃないよ。
    窓を開けて世界を見れば、そこら中に面白いことが転がってるよ。
    幸せだから楽しく生きられるんじゃなくて、楽しく生きようとするから幸せでいられるんだよ。

  • 非常に面白い。非常に具体的。
    本書では不幸になる原因と幸福になる原因が”具体的”に書かれていて、本を閉じたその時から幸せになれる可能性を秘めていると思う。
    本書の目的は、衣食住に不自由なく暮らし、我が子を失った等外的不幸の原因の無い人々が経験する〝日常的な〟不幸に対して、一つの治療法を提案することである。
    一番のポイントだと感じたことは、周りに興味を向けること。
    例として挙げられていたのはシャーロック・ホームズ。
    シャーロックホームズは、道に落ちていた帽子を拾って言った、「その持ち主は酒で身をもちくずし、妻はもう昔ほど彼を愛していない」何気ないものからこれほど豊かな興味を与えられる人にとって、人生は退屈であるはずがないのだ。

  • 年末なので,ふだんあまり読まない本を読んで一年の締めくくり.

    バートランド・ラッセルの幸福論.前半は幸福を妨げるものの分析,後半は幸福をもたらすものの考察.論理は明快,すべてにおいて実用的である.もう少しやさしい言葉に直して,論理を薄っぺらくすれば,現代に通じる人生指南の実用書が10冊くらいできそう.

    実用的と言いながら,個々人が幸福を達成するのはなかなか難しいなというのが実感.幸福の基盤になるはずの静かな生活はなかなか遠い.

    余談だが,私の大学受験の頃は英語の読解の問題集にモームとラッセルがよくとりあげられていたので,その明晰な英語(といっても,意味が取りやすいわけではない)が懐かしかった.

  • 極めて名著。1930年に出版されたが、現代でも全く違和感なく読める。
    おそらく、人間の不変、根本的な部分を扱っているからだろう。
    幸福とは、確固とした形があるものではなく、むしろ、不幸になる要素や不自然な要素を取り除いていくことが肝要であると感じた。

    個人的には、現代の様々な自己啓発本の元になっているものと感じる。
    定期的に、一章ずつでも、読み返したい。

  • 「嫉妬こそが人を不幸にする最も大きな要因である」
    基本的に嫉妬しやすい性格なので、誰かに嫉妬して卑屈になった時はこの言葉を思い出して抑えてる。イライラした時や、自分って不幸だなって思った時には読み返すと幸せに半歩近づいた気持ちになれる。

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