幸福論 (岩波文庫)

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レビュー : 153
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003365625

作品紹介・あらすじ

ルーアンの新聞に「日曜語録」として連載されたのを皮切りに、総計5000に上るアランの「プロポ」(哲学断章)。「哲学を文学に、文学を哲学に」変えようとするこの独特の文章は「フランス散文の傑作」と評される。幸福に関する93のプロポを収めた本書は、日本でも早くから親しまれてきたもの。

感想・レビュー・書評

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  • 読書って、どうしても生活との天秤だ。生活が充実していないのに読書ばかりを続けたから、ある時期からだんだん澱みはじめていた。それならさっさと書を捨てよ、と言われそうだが、お別れの一冊のようなものを探していた。

    アランの幸福論は、とてもピッタリの一冊だった。
    思考や想像力の沼に捕らわれた僕を、カラリと明るい風で吹き払ってくれる。

    どんな賢人の知恵も、本で読む限りは思考と想像力をもって挑まなければならない。けれど、その思考や想像力こそが、人の苦悩を水増しし、四苦八苦の泥沼に引き込んでしまう張本人でもある。仏教、特に禅などは、この泥沼を吹き払ってしまうことで苦しみの多い世界でも悠々闊歩する力を得ようとするが、それさえもやっぱり読書を通して触れようとすれば、逆効果になったりする。アランの言葉は、とても日常的で平凡な顔をしているが、しかしそれこそがこのテーマの真髄ではないか。

    不安や恐怖、悲しみや憂鬱を真剣に思い煩うより、まずは肩をすくめてほほ笑みたまえ、といったところか。

    根つめて通読する必要のない、90もの断章になっているので、日々少しずつ読もうと思う。

  • 幸福になる方法、というより、不幸にならない思考を学びました。

    人生の敵は「自分自身」であること。
    第三者を恨み憎む時間が如何に無駄か。
    苦痛や労苦のなかに幸福があること。
    自分が行動しなければ幸福は得られない。

    など、1900年代初頭に書かれたとは思えないほど現代で読んでも新鮮です。

    前向きに生きるためのメッセージがたくさん詰まってます^^

  • 世界3大幸福論と言われるもののひとつ。

    フランス人哲学者であるアランが著したもので、詩的な感じがする本。

    元々、新聞に「プロポ」という形で連載していたものなので、哲学書というよりはエッセイの赴きが強い感じ。

    内容は良いのだが、訳の限界なのかもしれないが、なんとも読みづらくわかりにくいところがあったので☆4つ。

    短編エッセイの塊なので、要約は出来ない。


    いいなと思ったこと

    ・情念を持たない人間などいない。ただ賢人はその魂の中で、幸福な思惟が膨大な拡がりを持っているので、情念はみな全く隅に追いやられていく。

    ・悲しみなんて病気に過ぎないのだから、病気を我慢したらいいのだ。

    ・最初の舵の動かし方ひとつで一航海のすべてが決まると言ったら、船乗りはきっと笑うだろう。

    ・自分の外に弁解の口実を求める人たちは、けっして満足しない。

    ・仕事の途方もなさと人間の弱さを考えたなら、人は何もできない。まず行動し、自分のやる事だけを考えるべきだ。

    ・本当の礼儀正しさとは、何を成すべきか感覚的に知ることだ。敬意を払う事、慎み深い態度、正しい行為などはまさに自分のなすべきものだと知る

    ・富の不平等な分配には、何にもまして、たらふく食っている人間には退屈を与えるという不平等がある。そういう人は自分で不安や怒りを作り出して夢中になる。

    ・人は行動のない楽しみを選ぶよりは、自分で行動できる労苦を選ぶ。自分で選んだ、自分で欲した労苦なら良きものとできる。耐えるだけなら好きな人間などいない。

    ・人からもらう幸福は逃げていく。自分で作る幸福は決して騙されない。なぜならそれは学ぶことだからだ。「楽しみは能力のしるしである」

    ・風景の持つ本当の豊かさは、その細部のなかにある。

    ・出来事というのは、我々の期待通りには絶対行かないものだ。すべての事が変わり、すべてのものが過ぎ去る。

    ・しあわせになる秘訣は自分の気分に無関心になることだ。「この怒りだって、おさまりたければおさまるさ」

    ・幸福ははるかなところにある限り、将来にある限り、素晴らしいものに見えるが、幸福を掴んだとき、それはなんらいいものではない。

    とはいえ、実はこれはちょっとちがう。
    ほんとうの幸福はパッと見、欲しいものに見えないからだ。最初の様々な困難を乗り越えたものでなければ楽しむことはできない、

  •  幸せになるには、どうしたらいいのだろうか。人間の歴史はこれが全ての行動原理だったのではないか。
    その「幸せ」が時代ごとに更新されていったのだろう。しかし、1900年代頭に描かれたこの本は、そんな幸福について書かれたものだが今でも通用する立派な本である。
    なぜなら、この本は、そんな幸せを追い求める人間の思考体系に触れた本であるから。
    ネガティブ思考であればもちろんどんな事も面白いはずがない。どんなふうに思考を変えていけばよいのだろうか…。

  • 詩的な言葉のなかで人生のリアルな本質が浮かび上がってくる。
    人生で感じること感情の本質を的確に、でも美しい言葉で射抜いていて、自分を苦しめるものの正体を見破ったような気持ちになりました。
    苛立ちや不安ではなく、喜びや楽しみを周りの人に伝染させていくような人になりたいですね。

    また、苦労を求めて行動すること、楽観的であること、幸せになるための勇気やヒントを、93の短編が伝えてくれます。
    幸せになりたい方、幸せってなんだろうと思う方、ぜひアランが示す希望に触れてみて欲しいと思います。

  • 文が詩的で非常に美しい。
    93の話に分かれているので、1日1つ拾っていくだけでもアランの精神を自分自身に刻み込むことができる。

    何か上手くいかないことがある時に立ち返れる一つの場所になるかな〜。
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    想像による仮想敵をつくってはならない。

    運動を伝える筋肉だけが自由になる唯一の部分だから微笑め。

    物事には二面性があるのだから、良い方を捉えればよい。(雨の日も楽しめ)

    どんな道もいい道で、どんな運命も良いものにしようと欲すればよい運命となる。(サボった過去も人生の多様性であるという考え方と類字)

    運命とは移り気でどんな小さなことをすることで無限の結果が生まれる。

    求めようとしなければ与えられない。幸福や富も全て。

    現在には力と若さがある、どんな時も。(好きな言葉)

    知らない人からは何も期待してないから、わずかなことをしてもらっても、すっかり満足する。(めちゃ共感)

    安定きた生活にこそ知恵が必要。

    他人から与えられた運命より自分で作る運命が幸福。

    万人に与えられたお金のかからないものに美が宿ってることが多々ある。車窓を見ろ。

    自分とその気分を切り離して考えることが幸せになる秘訣の一つ

    1番の敵は自分自身

    彼が本当に彼であって欲しいと思うこと、これこそ真実な愛である。

    自分を愛する人のためにできる最善のことは、自分が幸せになること。

  • 三大幸福論のひとつ。
    とはいえ、幸福について論じているというよりは、幸福についてのエッセイみたいなものなのかな、という印象です。
    原題の意味は「幸福についてのプロポ」だとか。
    プロポというのは、一枚2ページに書かれた断章で、アランの作り出した文学形式。書きたい日も書きたくない日もアランは毎日プロポを書いた。二時間で一気に書いた。

    毎日2ページずつ幸福について書いてみたものだから、やはり日常に影響を受けているのでしょう。
    しかし、読んでいるうちに、その奥にあるアランの考え方がにじみ出てきます。
    一回読んだだけでは十分でなく、人生の中で何度も読みなおしたほうが幸福に近づけると思います。そんな本です。

  • 【「幸せとは何か」を綴った一冊】

    「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」

    こんな言葉を目にして、この本を購入した。
    内容は何とも分かりにくい喩え話が中心で、少なくとも現代社会では想像もできないようなことが書かれている。喩え話の裏にある本質的なメッセージを捉えようとすれば、少なくとも2回は読む必要があると思うが、私は断念した。

    ただ、その中でも「なるほど!」と思った一文があるので、引用しておく。

    「自分が好きでやっているこういう仕事は楽しみであり、もっと正確に言えば、幸福である。ボクサーは逃げにまわって受けるパンチは嫌だが、積極的に出て受けるパンチは好きだ。戦いが自分の意志で行われてるならば、困難な勝利ほど楽しいものはない。・・・人は、棚からぼたもちのように落ちてきた幸福はあまり好まない。自分でつくった幸福が欲しいのだ。」

  • 前向きに生きろ。ご機嫌に振舞え。とにかくまず行動しろ、動いてみろ。というのが作者のいいたいことのようだ。

  • 三読か四読目。
    「幸福になることは明白な義務である」「自分で作る幸福は決して裏切らない」と言って半人前の私を励ましてくれる。
    その時の気持ち、置かれている状況によって、響くプロポが毎回違うのが面白い。
    アランはいつもわたしに優しい。

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著者プロフィール

1868-1951。本名Emile Auguste Chartier。ノルマンディーに生れ、ミシュレのリセ時代に哲学者J・ラニョーの講義を通して、スピノザ、プラトン、デカルト、カント、ヘーゲル等を学ぶ。エコール・ノルマル卒業後、ルーアン、アンリ4世校などのリセで65歳まで教育に携る。ルーアン時代に「ラ・デペーシュ・ド・ルーアン」紙に「日曜日のプロポ」を書きはじめたのが、彼のプロポ(語録)形式の初めである。アランの人と著書については、アンドレ・モーロワの『アラン』(佐貫健訳、みすず書房、1964)に詳しい。邦訳されたものとして、『定義集』(森有正訳、1988)、『デカルト』(桑原武夫・野田又夫訳、1971)『プロポ』1・2(山崎庸一郎訳、2000、2003)『アラン 芸術について』(山崎庸一郎編訳、2004)『小さな哲学史』(橋本由美子訳、2008、いずれもみすず書房)などがある。

「2019年 『定義集 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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