日本の弓術 (岩波文庫)

制作 : Eugen Herrigel  柴田 治三郎 
  • 岩波書店
3.90
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本棚登録 : 763
レビュー : 104
  • Amazon.co.jp ・本 (121ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003366110

作品紹介・あらすじ

的にあてることを考えるな、ただ弓を引き矢が離れるのを待って射あてるのだ、という阿波師範の言葉に当惑しながら著者(1884‐1955)は5年間研鑽を積み、その体験をふまえてドイツに帰国後講演を行なった。ここには西欧の徹底した合理的・論理的な精神がいかに日本の非合理的・直観的な思考に接近し遂に弓術を会得するに至ったかが冷静に分析されている。

感想・レビュー・書評

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  • それが撃ってる、弓を

  • 奇特なドイツ人哲学者が奇跡的に弓術を志し貴重な師匠に出逢い、その体験を帰国後講演したものを邦訳した奇書。この薄い文庫本の存在そのものが本書でも何回も繰り返される「非有の有」みたいに感じられます。堅牢な論理を背景に持つ学者が神秘的合一に魅入られ精神修養に立ち向かい理解より体感を重視する過程に煩悶していく様子が明瞭な言語で綴られていきます。哲学者のドイツ語を昭和初期の重々しい翻訳している文体もこの本の「らしさ」なのかも。しかも作者、星飛雄馬のようにまっすぐに悶え苦しんでいるし。ページ数の割に非常に濃厚で深淵です。戦前の武道を通したドイツ人の「Discover Japan」は今のわれわれにとっても日本をもう一度、知るきっかけになると思います。例えば6年後に行われるスポーツの祭典オリンピックにむけてわれわれは「的を狙わずに自分自身を狙いなさい。」にみたいなプレゼンテーションを世界に向けてできるのでしょうか?理屈関係なく何かに打ち込みたくなる熱い読書でした。

  • "am grössten" 薄いけど深い本。「弓は的を射るものである。的が目的物である。射るからには、その目的物に当てることを考えなければならない。弓は意識的に(absichtlich)射るものであるはずだ。」と考える西洋哲学者が「当てようと思わない射、当てようとしない離れ、すなわち意識的ではない(unabsichtlich)射がある」ということを実体験から実証していく話。

  • 【推薦文】
    ドイツ人著者オイゲン・ヘリゲルは弓術を通して日本文化を学んでいく。技巧よりも精神を重んじる武道の姿勢に戸惑いながらも、五年間に及ぶ辛抱強い修行の末に日本文化の一端に触れる。異文化理解の難しさを感じさせる本書は、多文化社会の現代人こそ読むべき一冊だ。
    (推薦者:機械物理工学専攻 M2)

    日本を日本人が学ぶとき、国外の方の叙述の方が圧倒的にわかりやすいことがある。30分あれば読めるこの本もそんな一冊で、弓術を通して日本的「精神」が言葉にされていく。ドイツ人哲学者が感じた大正期の日本。いきいきとしたその描写の中に、きっと新たな発見があるはずです。
    (推薦者:地球惑星科学科 B2)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-文庫・新書 080/Ia/661

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  • 訳:柴田治三郎、原書名:DIE RITTERLICHE KUNST DES BOGENSCHIESSENS(Herrigel,Eugen)

  • 大正時代に大学講師として来日して、
    深く日本の生活に心身を浸したドイツ人の記。

    達人のもとで修行し、
    弓道五段の免状を得るに至る過程で、
    「弓術」の本質へ接近し、
    さらにその根底にある禅を希求する。

    訳文も端正で受けいれやすく、
    惹きつけられて一気に読み通した。

    ヘリゲルは、弓術を構成しているはずの
    弓と矢は仮託に過ぎず、
    目的に至る道なのだという。[more]

    外部に向けられた対決、
    つまり戦闘のための用途が無くなってから、
    弓術の本質は初めてそのもっとも深い根底にまで還元され、
    その意義も明らかになってきた。

    目的とは何を指しているのか。
    ヘリゲルによれば、神秘的合一、神性との一致、仏陀の発見であり、
    沈思の実践を志す禅仏教だ。

    禅は、思想的に詳述された「それに関する知識」にはあまり価値を与えず、
    「その中で行われる」生活に挫かれない力を得させようとする。

    したがって弓術の本質は神秘的修練であり、
    弓と矢をもって外的に何事かを行おうとするのではなく、
    自分自身を相手にして内的に何事かを果たそうとするものである。


    鈴木大拙が読みたくなってきた。

  • 合理性を持った西洋人が、非合理主義の日本の弓道に四苦八苦しながらも極めていく話。

  • ほんよもで紹介されていて、弓道経験者と気になって読んでみました。
    競技者だったので、求道としての弓道は共感できないところもあるけれど、面白かった。
    離れがどういうものなのか悩む著者に、そこが分からないのかと新鮮。

  • -

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