- Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003366455
作品紹介・あらすじ
モンテーニュ、ベーコン、ルソー…。エラスムスが「最も学識深き」と呼んだプルタルコス(46‐125頃)の浩瀚な著作『モラリア』は、『英雄伝』とともに数多くの熱烈な愛読者をうんだ。その中の1篇、エジプトの理知の女神イシスと太陽神オシリスについての伝説を記した本書は、古代エジプトの宗教・風土を伝えて極めて興味深い。
感想・レビュー・書評
-
紀元1世紀頃のプルタルコスが、エジプト神話を新プラトン主義的な立場で読み解く。「オシリス/イシス(イデア的なもの/素材的なもの)」、「オシリス/セト(生成/荒廃)」といった二元論的なものの見方を示しつつ、神話のストーリーを分析してみせる。様々に矛盾した記述が見られるが、「神/半神(ダイモン)/人間」とか、いろいろおもしろい議論が展開されている。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学図書館蔵書
本文は1時間もあれば充分読める程度の分量
ただし、説がコロコロと変わるのでエジプト神話に対する解釈を理解することはいまいちできなかった
ピュタゴラス派の思想について言及してある箇所が多くあり、むしろそちらの思想を理解することができた
「凡例」において、訳注はなるべく少なくした、とあるが、多い
ただし、むしろ本文よりも訳注の方が興味深い記述が多く、面白く読むことができた -
(2001.03.12読了)(2000.11.24購入)
(「BOOK」データベースより)amazon
モンテーニュ、ベーコン、ルソー…。エラスムスが「最も学識深き」と呼んだプルタルコス(46‐125頃)の浩瀚な著作『モラリア』は、『英雄伝』とともに数多くの熱烈な愛読者をうんだ。その中の1篇、エジプトの理知の女神イシスと太陽神オシリスについての伝説を記した本書は、古代エジプトの宗教・風土を伝えて極めて興味深い。 -
一世紀の哲学者プルタルコスの著作『倫理論集』の抄訳。古代エジプトの神話・宗教観を、オシリス神話を主軸に解説する。底本はW.Nachstädt-W. Sieveking, I.B. Titschner (edd.), Plutarchi Moralia, Vol.Ⅱ (Leipzig, 1935)。
本書を読む際には一つ注意点が存在する。本書はエジプト神話に関する貴重な一次資料の一つであるが、その内容はプルタルコスをはじめとするギリシャ人の解釈が多く含まれている。特に神話の解釈に当たっては、プルタルコス自身のプラトニズムなどの影響が強く表れており、本来のエジプトでの解釈と大幅に異なる点が多々見受けられる(一応、脚注にはその相違点に関する注釈がある)。その為、本書のみを持ってエジプト神話を語るのは危険であろう。
ただ、その点にだけ気を付ければ、本書は非常に興味深い読み物になる。ギリシャ人がエジプトの神話をどのように解釈したか、またそれによって神話が如何なる変容をしたのかが本書にはよく表れている。また、ゾロアスター教やピュタゴラス派についての記述もあり、古代の宗教事情を窺える一冊となっている。
余談であるが、本書には神話上の名称に関する言葉の「俗語源解釈」が多々見られる。大抵それらはこじつけによるものが多いのだが、その姿は何処か今日の「トンデモ本」にも通ずるものを感じさせた。 -
エジプトはどうしても心奪われる。
-
中世から近代の神秘家のエジプト崇拝を掻きたてた古代ギリシャの著作。ヘルメス=トリスメギストスの概念を理解するうえで読んでおくべきもの。
現代の古代マヤへの崇拝の無茶ぶりがこの著作と現代のエジプト理解の差異で浮き上がってくるかも。失われた文明に憧憬するのは当時のアトランティス大陸崇拝にもあるように現代社会の否定と肯定とが入り混じった思想操作の一種だったのだろうと思う。 -
エジプト神話でも有名なヘリオポリスの神学について言及している、エジプトの神々の話。エジプト神話についてある程度前提となる知識がある方が、現在なされている解釈との違いが浮き彫りになって面白いと思う。
というより、あくまで当時のギリシアで考えられていたエジプトの話。神話に対する誤解を生む元にもなるので、エジプト神話を知るための本だと思って読むべきではない。 -
古代ローマ時代のギリシア人による、エジプト神話の伝承と解説。
かなりギリシア的に染められているが、史料として貴重なものだろう。
エジプト神話の原典的な書物ってないのかな? -
¥105