学問の方法 (岩波文庫 青672-1)

  • 岩波書店 (1987年7月16日発売)
3.64
  • (4)
  • (6)
  • (12)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 170
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (229ページ) / ISBN・EAN: 9784003367216

みんなの感想まとめ

人間の本性や学問の方法について深く考察した作品は、ジャンバッティスタ・ヴィーコの思想を基にしています。彼のアプローチは、科学や技芸を広くカバーしつつ、人文科学的な視点を重視するもので、特に共通感覚や創...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • イタリアが生んだ哲学者、ジャンバッティスタ・ヴィーコの講演をもとにした本。原題は「われわれの時代の学問方法について」。彼の考察する範囲は多岐に渡り、科学と技芸を幅広くカバーして、かつ簡潔なので読みやすい。

    解説によると、ナポリ大学でおこなった演説の第6回のテーマは「堕落した人間本性についての認識は人文的強要ならびに諸科学の全分野への修得へと招き向かわせるとともに、かつまた、それらを学習する際の正しく容易にして永続的な順序を提示する」だという。このテーマが全体をよく言い表していると感じた。

    具体的には、デカルトやニュートンらの数学的に記号などを使い世界をとらえようとする主張に対し、ヴィーコは人文科学的な共通感覚やレトリック、創造力を中心に据える。共通感覚を支えるものは、賢慮と有弁であるという。彼は永遠の探究者たろうとして、懐疑論(これはデカルトとはとは異なる)の姿勢を保ち続けた。後の歴史哲学にも通じる点がある。

    ここからは私見だが、デジタルデバイスが生活のあらゆる場面に浸透し、デジタル的な思想が世の中を支配しているような現代こそ、ヴィーコの説く主張は枯れることなく通用すると感じた。理論偏重で答えに飛びつくのではなく、人生を通じて実践し思索し探求を続けることが肝要なのだろう。

  • ジャンバッティスタ・ヴィーコの本。
    彼の反デカルト的、人文主義的な歴史観はジョイスによって評価され、現代、彼の思想は重要な位置を占めています。科学的な進歩ではなく、人文主義的な円環こそが歴史であるという彼の思想は、今なお輝きを放っています。

  • 知識を覚えるのではなく、自然から知識を導き出す過程にこそ、真の学問、芸術の目的がある。ヴィーコは「自分に過失が多いからこそ、これを寛大に人々に許してもらいたい。だからこそ、自分も他者に対して寛大になる。」と言っているが、これは私の生き方にも非常に似たものがあると感じた。

  • 今日の私たちは、先人が知らなかったことを知ることはできるが、現代に生きているからといって、先人が知っていたことを当然のように承知しているとはいえない。このことを区別して了解することが、学問の出発点だと感じた。

    本書のような学問論は科学史研究とかなり重なる部分があることもわかった。科学史の講義で本書が参考文献として示された意味が理解できた。

    解説では、現代の大学を取り巻く課題に根本的な問題を示唆している。

全4件中 1 - 4件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

1941年生まれ。東京大学大学院社会学研究科(国際関係論)修士課程修了。東京外国語大学名誉教授。学問論・思想史専攻。著書に『ヴィーコの懐疑』『ヘテロトピア通信』『ヴィーコ論集成』(共にみすず書房)、『歴史家と母たち』(未来社)、『歴史的理性の批判のために』(岩波書店)、『グラムシ 獄舎の思想』(青土社)、『アガンベン 〈ホモ・サケル〉の思想』(講談社)、『歴史をどう書くか』(みすず書房)など。訳書にカルロ・ギンズブルグ『糸と痕跡』『ミクロストリアと世界史』『政治的イコノグラフィーについて』『どの島も孤島ではない』『自由は脆い』(いずれもみすず書房)、アントニオ・グラムシ『革命論集』(講談社)、ヴィーコ『新しい学』上下(中央公論新社)、アガンベンの訳書に『残りの時』(岩波書店)、『いと高き貧しさ』『カルマン』『現実化しえないもの』(いずれもみすず書房)、『アウシュヴィッツの残りもの』『瀆神』『到来する共同体』(いずれも月曜社)、『実在とは何か』(講談社)、『言葉と死』(筑摩書房)などがある。

「2025年 『言語活動の秘蹟 宣誓の考古学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上村忠男の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×