論理哲学論考 (岩波文庫 青 689-1)

  • 岩波書店
3.69
  • (120)
  • (107)
  • (223)
  • (14)
  • (4)
本棚登録 : 2756
感想 : 133
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003368916

作品紹介・あらすじ

「およそ語られうることは明晰に語られうる。そして、論じえないことについては、人は沈黙せねばならない」-本書は、ウィトゲンシュタイン(1889‐1951)が生前刊行した唯一の哲学書である。体系的に番号づけられた「命題」から成る、極度に凝縮されたそのスタイルと独創的な内容は、底知れぬ魅力と「危険」に満ちている。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 論理哲学論考
    著:ウィトゲンシュタイン
    訳:野矢 茂樹
    岩波文庫 青689-1

    難書 雰囲気しかわかりませんでした、第一、数学に出てくる用語でも、意味がよくわからない
    論理式の展開についてゆけないです

    ■論理哲学論考(本文)

    第一感、岩波文庫にしては、行間がゆったりしていて見やすいというものでしたが

    次に、第二感、なんじゃこれは、番号と文章がひたすら、巻末までにならんでいる
    つまり、「論理哲学論考」はネスト構造(入れ子)になっている、一連の命題と思われる
     
    1 世界は成立していることがらの総体である
    1.1 世界は事実の総体であり、ものの総体ではない
    1.11 世界は諸事実によって、そしてそれが事実のすべてであることによって、規定されている

    7 語りえぬものについては、沈黙せねばならない

    そして、4.xxx ころから、数学の集合論と、論理記号が含まれるようになる
    数学ではなく、定義があいまいな言葉を対象として論理を扱うので、違和感がありました

    目次には展開されていないので、本書の構造を見出しのレベル1と2のみ記載すると以下のようになります

    1.世界は成立していることがらの総体である
    1.1 世界は事実の総体であり、ものの総体でない
    1.2 世界は諸事実への分解される
    2. 成立していることがら、すなわち事実とは諸事態の成立である
    2.1 われわれは事実の像を作る
    2.2 像は写像されるものと写像の論理形式を共有する
    3. 事実の論理像が思考である
    3.1 思考は命題において知覚可能な形で表される
    3.2 思考は命題で表現される
    3.3 命題のみが意味内容をもつ
    3.4 命題は論理空間の中に一つの領域を規定する
    4. 思考とは有意味な命題である
    4.1 命題は事態の成立・不成立を描写する
    4.2 命題の意味とは、事態の成立・不成立の可能性と命題との一致・不一致である
    4.3 要素命題の真理可能性は、事態の成立・不成立の可能性を意味している
    4.4 命題は、要素命題の真理可能性との一致・不一致を表現したものにほかならない
    4.5 いまや、もっとも一般的な命題形式を提示することができると思われる
    5. 命題は要素命題の真理関数である
    5.1 真理関数は、一列に順序づけられる
    5.2 諸命題の構造は互いに内的関係にある
    5.3 すべての命題は要素命題に真理操作を施した結果である
    5.4 ここにおいて、「論理的対象」すなわち「論理定項」は存在しないことが示される
    5.5 いかなる真理関数も、要素命題に次の操作を反復適用した結果である
    5.6 私の言語の限界が私の世界の限界を意味する
    6. 真理関数の一般形式はこうである [数式が入る]
    6.1 論理学の命題はトートロジーである ※トートロジー 同語反復
    6.2 数学とはひとつの論理学的方法にほかならない
    6.3 論理学の探究とは、(可能な)すべての法則性の探究にほかならない
    6.4 すべての命題は等価的である
    6.5 答えが言い表しえないならば、問いを言い表すこともできない
    7. 語り得ぬものについては、沈黙せねばならない

    もともと、哲学とは、論理であるから、わざわざ論理哲学としなくてもいいとおもっていましたが、論理記号をつかった哲学という意味なのでしょうか 数を扱う論理学が数学であるのに比して、言葉を扱う論理学が論理哲学論考と理解しました

    ウィトゲンシュタインの時代は以下とされています

    前期 論理哲学論考 略して論考
    中期 哲学的文法、青色本
    後記 哲学探究 略して探究

    ■ラッセルによる解説

    ・ウィトゲンシュタインが扱っている問題とは、ある事実が他の事実に対するシンボルとなりえるためにはそこにどのような関係が成り立っていなければならないのか⇒論理的問題であり、彼が扱いべき問題と解いています

    ・記号体系に関して論理学は2つの問題を扱っている
     ①いくつかのシンボルを組み合わせたときに、それが有意味なものとなりナンセンスにならないための条件は
    なにか
     ②シンボルないしシンボルの組み合わせにおいて、その意味あるいは指示対象が一つに定まるための条件は何か

    ・これまで哲学的なことについて書かれてきた命題や問いのほとんどは誤っているのではなく無意味である

    ・彼は、言語表現を幾何学における射影になぞらえている

    ・記号体系に関する理論を、「われわれは事実の像を作る」と主張するところから始めています

    ・事実の論理像が思考であると言っています

    ・哲学の目的は、思考の論理的明晰化である 哲学は理論ではない、活動である
     哲学の本質は、解明することにある

    ・ラッセル氏は、論理哲学論考を数学的に改良を必要なものとし、有限の数しか扱えないといっています

    ・困難が特に際立ってくる問題は、一般性の問題といっています

    目次
    凡例

    論理哲学論考


    バートランド・ラッセルによる解説

    訳注
    訳注補遺 論理記号の意味について
    訳者解説
    索引

    ISBN:9784003368916
    出版社:岩波書店
    判型:文庫
    ページ数:280ページ
    定価:850円(本体)
    発行年月日:2003年08月
    発売日:2003年08月19日第1刷
    発売日:2015年05月07日第20刷

  • パラッと開いてみたらぶったまげた本。

    「二・0一二四」という数字が各行(各論か?)の頭に振ってあり、その下に「全ての対象が与えられるとき、同時にすべての可能な事態も与えられる」とかいう文句がある。
    この短くも長くもない明晰であり、しかし強く惹かれる怪しい魅力を放っている文章になんだか溜息がもれてしまう。

    とにかく、タイトルと目次と段落と行の塊のような物語小説やビジネス書を読んでいると、この記述に面を食らってしまうこと間違いなしだ。
    でも「ケッ!なんだこれっ」みたいな、つばつけてポイするような本でもなく、とにかく魅力を持っている。怪しくて魅力的なのだ。
    本棚に入っていると気になってしょうがない存在感をも放っている。

    なぜか、それはこの論理哲学論考の著者であるウィトゲンシュタインが、「私はどれだけのことが考えられるのか」と思い、思考の限界は言葉の限界であるということを、この本全体を通して表現しているからだ。

    受験産業で現代文の参考書を書いている出口汪さんの「現代文講義(タイトルはうろ覚え)」では、言葉の限界について分かりやすい説明(も、うろ覚え)をしているので下に(うろ覚えだが)引用してみる。
    『今ここにある週刊少年ジャンプ(手元に置いてある)を示す場合、「この週刊少年ジャンプ」と指をさして表現します。「週刊少年ジャンプ」といっただけでは、今までに発刊されたすべての週刊少年ジャンプを示してしまいますし、「この」がないと、いつ発売された何版の何号のどの週刊少年ジャンプなのか分かりません。「この週刊少年ジャンプ」をさす場合は、「この」という指をさすボディランゲージがないと「この週刊少年ジャンプ」、と正確に示す事はできないんです。これが言葉の限界です。「指をさす」というボディランゲージがないと、「この」週刊少年ジャンプを示して表現することができないんです』
    という出口さんの説明でウィトゲンシュタインがこの本で何を言おうとしているのか私はやっと理解できた。
    それは思考や表現には限界があるということだ。
    なぜならば、私たちは言葉を使ってでしか思考や文章表現ができない。
    言葉の限界が思考の限界なのである。

    そこでジョージオーウェルが「1984年」という本の中で気になる描写をしていた。
    とある帝国では、ニュースピークという新しい国語を制定して人々の思考をコントロールしようとしていた。ニュースピークは多義語がメインの言葉で、ある言葉の反対の意味を表現しようとしたら、その語の頭に「非~」とつけることでそれを表現する非常に簡単な言語構造をしている。この言葉は便利だ。しかし、多義語がメインなので具体的に考えることができない。人々から具体的な思考を奪うことで、その帝国は存続していく。というような描写だ。
    これは現在の日本にも言えることで、「ヤバい」「かわいい」「わかんない」というような抽象的な多義語を使うことで、一応会話は成立してしまうが、具体的に考えることが出来なくなってしまっている人がいるのではないだろうか。
    具体的に考えられないと、なにか特異な状況が自分の周りに発生した時に、どのような対処をすればいいのか分からなくなってしまうのではないだろうか。
    何か問題が起こると反射的にネットでググって答えを得るのも、簡単かもしれないが、そのような対処法が公開されていなかったらその人はどうするのだろうか。
    いろいろ考えてしまうがみなさんはどうだろうか?

    最後に、「七 語りえぬものについては、沈黙せねばならない」という著者の立場に私は賛成する。
    直観的なセンスが必要となる神秘と情緒の世界は、語ることができないと思われる。
    具体的に説明すると、五十嵐大介の「海獣の子供」という漫画の最終巻の話は、語ることができない沈黙せねばならない類の話であると思う。
    美麗なビジュアルで描く神秘的な世界は語ることができない。
    称賛することはできるかもしれないが。

    とにかく、言葉をつかった表現に取り組んでいる人へ、この本をおすすめする。
    私たちが普段からしている思考や表現は、このような限界に満ちたものであるということを、この本と格闘することで実感してほしい。
    そして新しい思考と表現のステージへと進んでほしいと思う。

    本当ならば、岩波文庫の「論考」だけでなく、「ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』対訳・注解書」も併せて読むといいのかもしれない。
    なぜならば、岩波文庫のバートランド・ラッセルの解説についてウィトゲンシュタイン本人は、「あなたは何も分かっていない」とケチをつけているからだ。
    そのことについての詳しい説明は、こちらに書かれているので、より詳しく知りたい人には、岩波とこちらの両方をおすすめする。

  • [第19刷]2014年4月15日
    訳者解説がわかりやすい。訳者著「・・・論考を読む」を先に読んではいたが、本文は読み物ではない。

  •  実際のところ本文はほとんど読んでいない。「高校生のための『論考』出前講義」を読めばだいたい読んだ気持になれる。(笑)
     「はじめに言葉ありき」の西洋と矛盾を含み言葉には頼らないことに真理を見言い出す東洋を比較する上で記号論の元祖とも言えるこの本の存在は実に大きいと思う。
     コンピュータのプログラミングの教育をウケているがその基本的なところはこの本の影響を色濃く受けているということが改めて分かった。

  • 命題論理構造を哲学に持ち込こまんとする試み。論理式をメモりながら読むと面白い。数学もわかる理系の哲学者におすすめ。そういった人には読んでいると快感に襲われるでしょう。
    ただ、彼の失敗もすぐに気づく。才能があるだけに惜しい。恩師がラッセルでなければよかったのだが。

  • 思考に限界を引くには、我々はその限界の両側を思考できねばならない。従って限界は言語においてのみ引かれうる。そして限界の向こう側は、ただナンセンスなのである。
    哲学の目的は論理的明晰化である。
    哲学の仕事の本質は解明することにある。
    もちろん言い表しえぬものは存在する。それは示される。それは神秘である。

  • やや読み飛ばしながら。概要は以前より未熟ながらある程度は知っているものを、きちんと読もうと思って手に取ってみたら案の定難しかった。20世紀西洋哲学における言語論的転回の主軸であり、相対性理論にも似た巨大なインパクトを持つ。古代ギリシアのテセウスの船など、子供が如何にも世界に対して眩暈し夜も眠れなくなるような問いに、一撃で一蹴する完結な回答を与えた。子供たちは安眠できるだろう。短い、断定的な各一行が美しく文庫本が付箋で汚くなった。大抵の問題は本書を理解すればすんなり解が得られる。ただし口数は減るだろう。

  •  大きなところから細かいところへ、すぐに浅いところへ戻るものもあれば深く細かく入り込んでいくところもある、ということが章立てのように細かく振ってある番号により可視化されている。そのおかげで何を問題にしているのか、何が気に入らないのか、どこで説明に苦慮しているのかが分かる。語られている内容よりもむしろ、ウィトゲンシュタインあるいは哲学者という人たちがどのような考え方をしているのかを、つぶさに見ることができたところが面白い。

  • いちばん最初に読んだ時は 得体の知れない興奮を感じたけど、ひさびさに読むと色々と考えつつ読んだのか難しく感じた。でも短い言葉の数々から構成される本のスタイルは刺激的で、魅力的な言葉が突然飛び込んでくる感覚がある。

  • 何回読んでも難解な本ですが、ようやくこの本の提示するスコープが見えてきたような気がしました。

    ①成立していることがら(=事実)から構成要素に分解する。
    ②それらの可能な組み合わせ(=事態)を記号(=像)にマッピングする(=命題)
    ③命題についていろいろ語って思考の限界を探る。
    ④語りえないものについては、沈黙しなくてはいけない。

    正直なところ、解説を読まないと、何を言っているのかさっぱり意図がつかめないです。でも、解説を読んだ後で流し読みしてみると、そういうことか!という発見があります。

    この本は、解説本を読んだ後にまた再読したいです。

全133件中 1 - 10件を表示

ウィトゲンシュタインの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×