根をもつこと(下) (岩波文庫)

制作 : 冨原 眞弓 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 69
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003369036

作品紹介・あらすじ

第二次大戦の敗北で根こぎとなったフランス、ヴェイユはそこに歴史の失敗と世界の変革の可能性を見た。不幸のどん底にある今こそ、国をかたどる真の霊感を鍛えるとき。一切の力の崇拝を拒み、美と正義と真理が一致する唯一無二の善を選ばねばならない。まったき従順のうちに世界は燦然と輝く-"弱さの聖性"という逆説に立脚する世界の構想。

感想・レビュー・書評

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  • 2016/6/5購入

  • カテゴリ:教員著作物
    哲学科:冨原眞弓教授の著作物

  • 下巻。
    思考実験として非常に興味深く読んだ。
    キリスト教的な価値観に立ちながら、ヴェイユが求めていたのは仏教的な何かだったんじゃないのか、と思えてならない。

    仕方ないことではあるがとにかく訳注が多いw
    本編だけなら1冊に纏まってたよなぁ……(分厚くなるけど1冊でも良かったと思う)。

  • 上巻は、ヴェイユが私的憲法草案を著すに際した基本理念(服従、名誉、秩序、言論の自由など)から始まり、労働者、農民、国民の、中世から続き第二次世界大戦敗戦に至るまでの「根こぎ」の過程と、根を取り戻すための実際的な要領を提案している。
    下巻は丸一冊分「根づき」について。
    敗戦という絶好のチャンスに、いかにしてフランス人に真理を重んじる霊感(これは魂とかそういう意味)を復活させるか。
    真理と科学・労働が現状いかに乖離しているか、その滑稽さなどをかなり辛辣に綴っている。
    ”いまこの瞬間つぎの二つの運命からの二者択一を迫ってみよう~”の下りは、ヴェイユの真理に対する崇敬の度合いと厳しさが一番よく出ているくだり。
    正直上巻の「根こぎ」は分析ばかりで退屈だったんだけど。

    ヴェイユの強さは半端じゃないな。
    目覚めさせられる部分もあり補強してくれる部分もあり、自分の人生に力強い味方を得たような気分。

    「考える」にあたって、善と正しさに興味を失ったら人間として終わりだと思っている。

    • 美希さん
      >fountainさん☆

      注釈は必要最低限しか読んでいないし、不勉強な部分が多いから(ヴェイユも初めてだし)まだまだ読み切れてはいない感が...
      >fountainさん☆

      注釈は必要最低限しか読んでいないし、不勉強な部分が多いから(ヴェイユも初めてだし)まだまだ読み切れてはいない感が自分の中にはあるんだけど、読むきっかけをくれてどうもありがとうです!
      2013/04/01
  • ヴェイユには特に関心を持っていないが、観念論に走ることなく、実際に工場で労働するなど誠実な行動と、その生活実感に基づいた言説には好感が持てる。
    この「根をもつこと」はヴェイユの晩年、第2次大戦下に、ナチス=ドイツに敗北した故国フランスからのがれ、亡命先で故国のための活動を志願したところ、戦後のフランスのために精神的支柱となるような本を書け、と言われて書いた本。ということらしい。
    上巻の第1部では、人間の義務や集団に関して、短い倫理的な考察が並ぶ。その後の章では、歴史における「力」の推移などが考察され、とりわけヒトラーをめぐる記述に興味ひかれる。
    「われわれのいだく偉大さの(誤った)構想は、まさしくヒトラーの全生涯に霊感を与えた構想にひとしい。」(p.58)
    なるほど、彼女が考察してきた文化史で育まれてきた「偉大さの構想」=力の論理が、ヒトラーを必然的に輩出するというのは正しいだろう。
    ふと、この「偉大さの構想」は現在の日本でも、いままさに人びとの間で成長し続けているのではないかという気がした。
    橋下徹氏が「日本に必要なのは独裁者だ」などと言い、その橋本氏を多くの人びとが支持している現在、われわれはアドルフ・ヒトラーを待望しているだけなのかもしれないのだ。
    小泉純一郎、石原慎太郎や、虫のようにわき出すネトウヨやその予備軍、ネットをかけめぐるもろもろの扇情的な言説。ヒトラーが出現することを、私たちは無意識のうちにねがっているのかもしれない。

  • 岩波文庫(白) 080/I
    資料ID 20102004015

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プロフィール

1909-43。激動の時代を34年の生を通して駆け抜けたユダヤ系女性フランス人哲学者。主要著書『重力と恩寵』、『前キリスト教的直観』、『神を待ちのぞむ』など。

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