ニーチェ みずからの時代と闘う者 (岩波文庫)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003370018

作品紹介・あらすじ

シュタイナーは、時代に対して実存的、主体的に生きることによって、同時代人でもある孤高の哲学者ニーチェの思想「超人」に出会う。本書は、他の多くの論考に先駆けて、すでに19世紀末に発表された本格的なニーチェ論であり、シュタイナー思想の原点ともいうべき重要作である。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/706534

  • 岩波文庫からシュタイナーが出ていることに驚き。
    道徳律や理性や法則など西洋2000年の価値観の転覆はものすごいインパクト。

  • 3.5

  • シュタイナーの言いたいことが総じてよく分からん。
    ニーチェへの共感や同調に限らず批判的視点が多少は盛り込まれてはいたけど、もうちょい踏み込んで欲しかった。ニーチェの解説本みたいになってる。
    てかそもそもシュタイナー読んでなかったわ。

  • 【由来】
    ・amazonでたまた

    【期待したもの】
    ・あれ?シュタイナーって、ノートの人?ニーチェ?新刊?

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • ニーチェ みずからの時代と闘う者 (岩波文庫)

  • シュタイナーとニーチェ、ニーチェ学者からみれば異論もあるかもしれないけれど、きちんと問題意識を持ちつつファアに、できるだけニーチェに添いながらその変遷をも踏まえてのニーチェ論。
    個人的にはニーチェの危ういところにもしっかり目が行き届いていて素晴らしいニーチェ論だと思ったし、人の変遷をしっかり捉えているのでこれからニーチェを読んでも無用の混乱が避けれそうな良書。哲学の人としてもシュタイナーは優秀だと思わせる。

  • ルドルフ・シュタイナーの著作『ニーチェ みずからの時代と闘う者』が岩波文庫に入ったので読んでみた。
    数年前に他の出版社から出ていた別の翻訳を読んだことがあった。今思い起こしても---こちらの思いが異なっていたであろうが---その時に関する印象に残る記憶はない。
    今回のこの翻訳は一気に読み通してしまった。
    ルドルフ・シュタイナーは、周知の通り、教育、芸術、農業、金融、医療など様々な分野に広範な影響を残した19世紀末から20世紀初頭にかけての思想家だ。シュタイナーは1861年生まれ、ニーチェは1844年生まれで、20歳ほどの年野違いがある。シュタイナーはニーチェに一度だけあったことがあるということだが、その時既にニーチェは狂気の縁を越えていた。
    そのニーチェの思想を、シュタイナーは、あたかもニーチェ自身が語るかのように述べていく。それはまるで、ニーチェに心酔したニーチェ信奉者が語るかのようにである。その内容は、シュタイナーのその後の思想を知る者にとっては一見奇異な感を催させる。
    が、ニーチェに、誰にも何者にも支配されない隷従しない自由な自己のあり方を見出していくシュタイナーの記述は、「自由への教育」を求めたシュタイナーと決して異なるところではない。そのことに気づくと、シュタイナーがなぜニーチェに関する著書を著したのかも納得できていく。
    この岩波文庫版には、ニーチェに関するシュタイナーの講義録も2つ併録されている。
    その中でシュタイナー自身がこう言っている。


    霊性の認識に関心を持つ人たちが、私の著書『ニーチェ みずからの時代と闘う者』を読んで気を悪くすることがあってもおかしくありません。なぜならその人がこう言うとすれば、それは私たちの時代に応じだ態度だからです。「ニーチェについてこういう言い方をする人は、ニーチェ主義者に違いない」。
    しかし私もこう言わせてもらいたいのです。「私自身がどんな思想に行きついたかは、どうでもいい。ひたすらある人物に没頭することができないのだとしたら、その人物について語る資格など、私にはないのだ」、と。


    この言葉通り、シュタイナーはニーチェの著作に沈潜し、ニーチェ自身の代弁者としてシュタイナーはニーチェを語り、その上ニーチェの「小さな誤謬」までも指摘する。
    別の著作の中でもシュタイナーは、まず相手の話を虚心坦懐に聞いて受け入れることが大切なのだと言っているが、彼は自らの思想を一旦はカッコに入れながら、相手を相手の内側から理解していくことに長けていた人物であったのだろうと思う。
    ニーチェは、「かぶれる」人を多く出す思想家だ。僕自身も高校生から大学生の頃にかけて『ツァラトゥストラ』に“かぶれた”一人だ。
    ただ、同時期に太宰と三島を読んでいて、この三人には共通する劣等感と見栄があるなぁとも思っていた。太宰でも三島でもニーチェでも、強い自己否定とそれ故の自尊感情を持つ者には「かぶれ」の対象として強い訴求力を持っているのではないか、そう思う。
    今あらためてシュタイナーが代弁するニーチェの思想を読んでいても、思わず「かぶれ」そうになる。
    と同時に、当然のような疑問も湧いてくる。
    ニーチェの言葉は弱者を鼓舞する力を持っているけれども、一方では専横的な俗物的権力者の自己弁護にも用いらてきた。僕はその後者を受け入れられない。
    しかしシュタイナーはそのことについても彼なりの回答を提示している。
    それが、この本に併録されている1900年代に入ってからのシュタイナー自身の講義だ。
    そこで我々は、シュタイナーがあたかもニーチェであるかのように語った、素晴らしいニーチェの智慧もまた、相対化されざるをえないものであることを確認する。

    この本は---ルドルフ・シュタイナーという思想家に対する何らかの否定的な評価を持つ人においても、その評価を一旦は保留しつつ---ニーチェの思想をどのように理解すれば良いのかについての見通しのききやすい地図のひとつとして、有用なものであると思う。岩波文庫がこの本を収録したことを賞賛したい。

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著者プロフィール

ルドルフ・シュタイナー(1861-1925)
哲学博士。オーストリア生まれ。ウイーン工科大学で、自然科学・数学・哲学を学ぶ。ゲーテ研究家・著述家・文芸雑誌編集者として世紀末のウィーン・ワイマール・ベルリンで活躍。帝政ロシア生まれのエレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー創唱になる神智学協会のドイツ支部事務総長就任後、袂を分かち、人智学=アントロポゾフィーを樹立。スイス・バーゼル近郊ドルナッハに自身設計した劇場と大学を含む「ゲーテアヌム」を建設し、普遍アントロポゾフィー協会(一般人智学協会)本部とした。

「2023年 『人間発達論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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