旧約聖書 イザヤ書 (上) (岩波文庫)

  • 岩波書店 (1961年3月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784003380154

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  • 予言者イザヤの名を冠する旧約聖書の預言書。紀元前8世紀のユダ王国の宮廷預言者とされるイザヤの預言を中心に、後世の追加や編集を経て現在の形になったとされる文献。

    上巻には「第一イザヤ」(1-39章)、下巻は「第二イザヤ」(40-55章)を収録。

    第一イザヤが本来のイザヤの預言を主に含み、第二イザヤはバビロン捕囚期(紀元前6世紀)、第三イザヤは捕囚後の時代の預言者たちの言葉とされる。

    第一イザヤでは、神への不信と社会的不正を糾弾する激しい警告が特徴的。「主は言われる。『わたしは、あなたたちの多くの献げ物に飽き果てた。雄羊の焼き尽くす献げ物も、肥えた家畜の脂肪も好まない』」といった、形式的な儀礼を否定し、倫理的な生を求める預言は、後の「預言者的宗教」の原型となった。
    また「処女が身ごもって、男の子を産む」「平和の君」といった預言は、後にキリスト教がイエスの予型として解釈することになる有名な一節。しかし、歴史的文脈では、当時のユダ王国の政治状況への言及とされる。
    第二イザヤには、「苦難の僕」と呼ばれる謎めいた人物が登場する。「彼は軽べつされ、人々からのけ者にされ、多くの人の罪を負い、背いた者のために執り成しをした」という描写は、後のキリスト教神学に大きな影響を与えた。また「わたしは光を造り出し、闇を創造し、平和をもたらし、災いを創造する」という一節は、善悪を超えた神の全能性を示す古典的表現。
    バビロン捕囚からの解放を預言する第二イザヤの調子は、時に壮大な宇宙論的ビジョンを帯びる。「天よ、上から滴れ、雲は正義を降らせよ」といった詩的表現は、後のユダヤ教神秘主義にも影響を与えた。
    本書の文学的価値も特筆すべきで、「見よ」で始まる力強い呼びかけ、「エルサレムよ、立ち上がれ、光を放て」といった優美な表現など、ヘブライ文学の傑作とされる詩句を含む。
    預言者としてのイザヤの独自性は、政治と宗教、社会正義と祭儀を一体的に捉える視点にある。シリア・エフライム戦争やアッシリアの脅威といった国際政治の文脈の中で、神の正義と民の悔い改めを説く預言は、古代イスラエルの預言者運動の代表的表現となった。
    訳注付きの完訳で読むことを推奨。歴史的背景の理解なしには、預言の真意を読み取ることは困難。しかし、その詩的表現や壮大な神学的ビジョンは、宗教の枠を超えて、人類の精神史における重要な証言として読むことができる。

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