- Amazon.co.jp ・本 (510ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003382516
作品紹介・あらすじ
一九四五年一二月、エジプト南部ナイル河畔の町で発見された古代キリスト教文書群「ナグ・ハマディ文書」。グノーシスと呼ばれた人々の人間観、宇宙観、宗教思想を伝える諸文書は異端の書として排除され、長く失われていた。死海文書と並び二〇世紀最大の発見と称され、千数百年の時を超えて復元された聖文書を精選する。
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「ナグ・ハマディ文書」とは、1945年にエジプトのナグ・ハマディ村で発見された初期キリスト教文書(写本)群のこと。そのうちの多くはグノーシス主義が色濃く、おそらく異端文書として埋められていたものが発掘されたらしい。本書はその文書の中から「イエスの知恵」「ペトロの黙示録」「ヨハネのアポクリュフォン」「トマスによる福音書」「エジプト人の福音書」「ユダの福音書」の6冊を収録。
いわゆる新約聖書の中でも正典と認められていない外典、とくにグノーシス派の影響が強い文書群なので、とにかく聞きなれない用語が続出。ソフィアだのロゴスだのカオスだのはわかるけど、アイオーンとかプレーローマとかヤルダバオートとかになると、なんのこっちゃ。しかも擬人化されたりするので、地名なのか人格名なのか概念なのかさえ大混乱。とりあえずヤルダバオートのことは「ヤバオ」と勝手に省略(ヤハ男みたいなもん)。
古さに加えて、当時ギリシャ語からコプト語(エジプト語)に翻訳されたものなので、今でいうGoogle翻訳的なトンチキ表現(失敬)も頻出、そもそも原文の意味がとれない部分も多々あり、全体的にかなり難解。
とはいえ巻末に用語集もついているし、読み進めていくうちになんとなくグノーシス的な世界観や思想はうっすら理解できるようにはなってくる。個人的にはまっとうなキリスト教の教えよりも、グノーシスのほうが面白い。 -
・消滅するものから生じている限り、それらのものはことごとく消滅するであろう。それらは消滅するものから生じているからである。だが、消滅しないものから生じているものは、消滅しないのが常であり、消滅しないものとなるのが常である。
・すべてを知っていて、自己に欠けている者は、全てのところに欠けている
・私のもとに来なさい。私の軛は負いやすく、私の支配は優しいからである。そして、あなたがたはあなたがた自身に安息を見いだすであろう
・それは、いかなる天使の目も見たことがなく、いかなる心の思惟も理解したことがなく、いかなる名によっても呼ばれたことがない
・見よ、あなたにすべてが語られた。目を上げなさい。そして、雲とその中にある光を、またそれを取り巻く光を見るように。そして、導く星があなたの星なのだ