- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003390917
作品紹介・あらすじ
2019年10月ノーベル化学賞受賞の吉野彰さんが
科学を志す契機となったファラデー『ロウソクの科学』が各社増刷決定!
一本のロウソクに火をともせば、深遠な科学の世界への扉が開く。製本工から夢を叶え、偉大な科学者になったファラデー(1791‐1867)が、もっとも愛した聴衆-少年少女に語りかけ、実験をくりひろげる名講義。世界中で愛読されてきた本書は今なお科学の精神を生き生きと伝える。現代の読者のために詳細な訳注・解説を付した。新訳。
感想・レビュー・書評
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角川文庫のかわいい表紙に騙されて、きっと角川文庫の方が易しいだろうと角川文庫を読んだが、こっちの方がずっといい。角川文庫とこちらとどちらにしようか迷っているなら、こちらが絶対いいです。
訳が新しいことはもちろんだけど、解説も充実しているし、何より訳者がとことん調べて考えた上で注釈を付けている。足りない図は補ってあるし(アルガン型ランプ、角川は絵もないし、ネットでも日本語ではヒットしないし、一体どんなものかと思っていたが、こちらにはちゃんと絵がある。)、角川みたいに図に番号はあるのに本文にどれを指すか書いていないなんてこともない。とにかく、かけてる情熱と手間が角川の比じゃないんです。値段は若干高めだけど、内容の差はこんなものではない。
同じ内容なら安い方、と安易に決めないでほしい。ファラデーの伝記もついています。出し直すなら、前よりよいものを。さすが岩波文庫。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第一講から第六講まで
ロウソクの燃焼から、水素、酸素、二酸化炭素、窒素の燃焼への影響を実験しながら説明していく講義を書籍化したもの
内容についてはなかなか全部を理解したとは言えないけど、
この講義をリアルタイムで聞いた少年少女の気持ちになって読めました。
学校で「水の元素記号はH2O」と教わってテストのために覚えるのではなく、
自分で講義を聞きに行き、目を輝かせて勉強する当時の少年少女がうらやましいような気持ちになりました -
今年のノーベル賞受賞者の吉野彰氏が,小学校の先生に勧められて読んで教えられた本として紹介されていたので,すぐに店頭から消えたという。この現象,毎度のことだけど…。
わたしの本棚にあったのは,岩波文庫版。矢島祐利訳である。
内容は,子ども向けクリスマスレクチャーの講演の様子を収めたもの。講演の場所は王認学会(ロイヤル・インスティテュート)で,当時は,いろいろな科学者が一般人向けに講演をしてきたらしい。
ファラデーは,製本屋にはたらきながら,そこに書かれている文章を読んで科学に興味をもったという経緯がある。その後,曲折を経てデーヴィーの助手として働き始める。そして,中学校でも習う科学的な大発見をするのだ。
本書は,「ろうそくの科学」と書かれているが,「そうそく」は単なる出発点である。6回の講演の中で,「ろうそく」が燃えると何がどうなるのか。空気とはなんなのか。燃えるとはなんなのか…など,いろいろな知識をユニークな実験を交えながら教えてくれる。本書にはところどころに分かりやすい実験器具の図も掲載されているので,ややこしい解説を読む助けになるだろう。
子どもにはちょっと難解だと思われるが,吉野氏は本書を手に取って読んだんだと思う。他の会社からも数冊,『ろうそくの科学』が出ているけど,吉野氏の小学生の頃には出版されていなかっただろうし…。(本書の発行は1933年)
ここまで感想を書いてみて,気づいたことがある。それは,今,手に入るの岩波文庫版は訳者も変わっているし,ページ数も多くなっているようだ。これは読み比べてみるのもおもしろいかも。 -
偉大な科学者ファラデーが、子ども向けに行なったクリスマス講演を書籍化したもの。特に意識したわけではないけど、飛ぶ教室もロウソクの科学もクリスマスに関連があってびっくり。
ロウソクという身近な素材から、酸素、水素、窒素、二酸化炭素と空気中の気体の性質を興味深く解明していく語り口は見事で、こんな先生に教わりたかったと思える内容。
ノーベル化学賞受賞の吉野彰氏が科学の世界に興味を持ったきっかけとして本書を紹介したというのも頷ける。この本の価値は明らかで、今さら内容について書くことはありません。
ただ、残念ながら非常に読みにくいのは否めない。実験の流れを、途中に何枚か図はあるものの、ほとんど文章で説明しているため、頭の中で想像しながら読み進めるのがとてもつらかった。ちょっと集中していないと、途端についていけなくなる。
あと、脚注が章末と講演内容の末の二箇所に分かれているのもだいぶ読みにくかった。 -
ロウソクに火が灯る現象から、少年少女に対して、科学とは何かを解き明かそうとするファラデー。見えない気体に含まれるものとは。文章と図解で、こんなにも生き生きと実験を見せて、科学の楽しさを伝えられるものだろうか。1800年代であるが、時代を感じさせない。
果たして、子供時代に本作を読んでいたらどうだったろうかと夢想する。一人で読むには、理解が足りず、何かつまらない文章問題でも読むような感覚になったかも知れない。恐らく、理解出来なかっただろう。ノーベル賞受賞の吉野さんのように、子供の頃に面白いと思えるか否かはその後の人生の試金石なのだろうか。今でも多くの子供は、この一冊を与えると興味なさそうな反応だ。でも、実際に実験を見ると目は輝く。この違いは、文章と映像の再現力、文章から想像する力の不足。
子供にただ与える前に、文章を映像化する力を身につけるにはどうするか、セットで考えたい。 -
「ろうそくの科学」はファラデーが行ったクリスマス講演について記録したものである。この本はノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんがおすすめした本であり、理系的な知識、または考え方を身に着けるべく本書を購入した。
ろうそくの燃焼をきっかけとして、水や酸素などの反応物について様々な実験を通して、それらの性質を解き明かしていく内容となっている。一見難しそうな内容に思えるが、大半が高校までに習うような現象を解説している。
私が特に感動したのは炭素の性質について説明している第2講と第6講の箇所である。その理由は、これまで水素や酸素の働きなどについては理解できていたが、炭素に関しては特徴がいまいち分からなかったからである。本書を読むことで炭素は燃焼にとても大きな役割を果たしているとともに私たちの生活に深く関わっていることが容易に想像することができた。
個人的には化学に一度おおまかに触れている高校生以上の人におすすめしたい。また、理系では知識の蓄積、文系では科学実験の感覚を味わうことができるだろう。 -
正直、辛かった。
科学(化学?)の心得がある程度あり、実験の過程が頭の中でイメージできればいいのだろうが、わからない人間にとってはただ手順とその結果を説明されても何がなんだかさっぱり。
科学のための視点とかもう少し上位レベルでの話しが出てくるのかと思ったが、基本的にはひたすら実験手順の説明。
料理番組をラジオで聴いてるような感じ。
何度も出てくる「すこぶる」(=very?)と「アンダースンさん」が気になった。 -
こんな講義を受けてみたかった。いまだったらVRでファラデーを蘇らせてネット講座なんてことも可能だろうし、実現したら面白そう。
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30年近く理科教育に関わる仕事をしていながらこの古典を読んだことがなかった。今回、仕事で必要に迫られて読んでみることにした。いや、おもしろい。実験内容についてはいまでも扱える基礎的な部分が多いのだけれど、150年前だからこそていねいに説明されている内容がたくさんある。たとえば呼吸のこと、光合成のこと、酸素や二酸化炭素のこと。いまなら、小学校高学年の子どもたちならばたいがい知っているはずの内容を、時間をかけて説明されている。それはそうだろう。電気をつけるとか、写真を撮るとか、いまなら日常普通にしていることが、当時は真新しく、とても珍しいことだったのだろうから。また、それとは反対に、気体の重さを求めたり、温度をかなり低いところまで下げたり、日本が江戸時代の末期と考えると、それだけの技術があったということも驚きだ。本書を使って、子どもたちに理科のおもしろさを伝えるのと同時に、当時の時代の雰囲気を味わってもらえるといいと思う。
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240829〜240903