ビーグル号航海記 下 (岩波文庫 青 912-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003391235

感想・レビュー・書評

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  • ついに航海は終盤へ。ガラパゴス諸島からタヒチ、ニージーランドを経て本国へ帰還します。自然博物学的な観察眼に比べて、人文的な視点は当時の帝国主義的価値観から抜け出すことはできずただの感想文程度の記述なのが人間の限界というか、認識の枠組みの恐ろしさを感じさせます。翻訳のせいもあるのでしょうか?(荒俣版ではどんな翻訳になっているのか楽しみです)ダーウィンをもってしてもこの程度なのですから、ネットも含めて色の付いていない情報など皆無な現代においては、自分は知らう知らずのうちにどんな色のついた目線でみていることやら。
    それにしても5年もの航海での経験を思うと、これからの5年の自分の生き方を考える上でいくらでも興味深いことが湧き出してくるようで、なんだかワクワクしてきます。

  • 『種の起源』ダーウィンの世界一周航海記。
    イギリスから始まりカナリア諸島を抜けて西アフリカのカーボヴェルデからブラジルへ、そこから南米をぐるっと回ってチリ・ペルーからガラパゴス、タヒチ、ニュージーランド、オーストラリア→タスマニア島、喜望峰を抜けてセントヘレナにアセンション、最後にブラジルにちょっと寄ってアゾレスからのイギリスへ。
    大まかなコースはこんな感じでした。
    思ったよりガラパゴスの逗留は短くて、チリが長かったのかなぁ。
    数ヶ月かけて登山の旅をしてましたし。陸路が意外と多かったですね。
    スマホも何もない時代に、船との連絡もろくに取れなかったろうによくぞここまでの旅ができたなぁと。
    現代でも同じ道筋をと思うと、恐れおののく距離です。
    チリでは津波と家屋倒壊が起きる規模の大地震にも遭ったようで、さぞや恐ろしかったでしょうね。
    動植物はもちろんのこと、地質にも興味をかなり割いていたのが印象的でした。雷管石や化石掘りもしたり。
    あとガラパゴスの亀、めっちゃ食べられてた…。そりゃ滅びるわ…。
    ダンピア(ダンピール表記)の名前が一回だけ出てきたので、あの航海誌も読んでたのかな。

    タヒチでは現地住民の朗らかさにホッとした様子で、オーストラリアでは直轄の植民地なので気の緩みも見えたり。
    まぁでもスペイン人のことをあれこれ言ってたけど、イギリスもなかなかにやらかしてますね。
    タスマニアに移入して現地人が邪魔だからととっ捕まえて別の島に追放したり。
    ヨーロッパ人の無自覚の傲慢さが垣間見られたところです。
    アフリカの奴隷に対しては心痛めるそぶりもあったけど、現地住民を同じ人間と思えてない感じですもんねぇ。割とディスってるところも多いです。
    そりゃ言葉もろくに通じない尊厳すら奪うような敵が攻めてきたら、原住民だって命がけで抗うの当然でしょうがと…。
    ヨーロッパの方が進んでるって、より効率的に人を殺すために進まざるをえなかっただけって思いますけどね。
    現代でもそういう意識、根底には残ってる気がします。

  •  ここまで、我慢して読んできました。やっとガラパゴス諸島の章だ、と思ったら意外なほどあっさりとした短いものでした。私が理解した限りでは、進化論に結びつくような発見は、なにも書かれていませんでした。
     ガラパゴスよりも、ニュージーランド、オーストラリアの植民地経営に関する記述が多かったです。オーストラリアの囚人労働者には、夫人があてがわれず、あきらかに慰安が不足しており、慰安に対する当然な神聖な権利を有していない、と心配してました。現代の感覚からすると、「えっー、そこー」と思いました。
     それにしても、4年にわたる長旅ご苦労な事です。途中、病気らしい病気もせず(そういう日記はありませんでした)、改めてイギリス人のタフさに感激しました。

  • ダーウィン=進化論という短絡的なイメージがあるが、ビーグル号に乗っていたのは、博物学者であったということ。
    生物も、地質学についても正確に見て取ろうという強い意志が感じられる。

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著者プロフィール

イングランド西部のシュルーズベリー生まれ。エディンバラ大学で医学を学んだのち、ケンブリッジ大学に転学。卒業後、英国海軍の帆船ビーグル号に乗り込み、4年半にわたって世界各地をめぐり、ガラパゴス諸島での調査などに従事。帰国後は在野の自然史学者として研究を重ね、1859年に『種の起源』を出版。他の著書に『ビーグル号航海記』『人間の由来』『ミミズと土』など。

「2020年 『ダーウィン『種の起源』を漫画で読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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