種の起原〈上〉 (岩波文庫)

制作 : 八杉 龍一 
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レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003391242

感想・レビュー・書評

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  •  ダーウィンといえば進化論ですが,本書下巻の最後尾の付録に「進化evolution」とようやく,それも,ダーウィンと同時代の博物学者は生物が環境にあわせて身体を変化させること自体は承知している,という文脈で使っています.その原動力が自然選択なのだ,という言い方です.本編では変化を伴う由来,descent with modificationという表現がよく用いられます.迂遠な言い回しが生真面目に訳出されているので,読みにくいです.ですがおそらく,当時としては平易な語り口で書かれており,現代で一般的な科学エッセイとに相当すると思います.目を引くイラストなどは一切なく,唯一の写真は著者ご本人の肖像写真です.それでも,第四章「自然選択」に掲載されたただ一枚の系統樹の図版は印象深いです.ダーウィン自身,「生命の大樹」と表現しています.三葉虫とか恐竜も全くでてきません.そのかわり登場するのは飼育ハト.地味です.しかし,なるべく身近なものからよく観察,分析していくという姿勢は現代でも大事ですね.ハトを通じて,飼育栽培下で生き物は姿形を変えていくことー変異ーは自然においても起きうると主張.その原動力が「生存闘争」です.この訳出は見事でですが同時に,自然界に対する一種の誤解を生みだす原因にもなっているのではないでしょうか.それは訳者の方も解っていたらしく,訳注にわざわざstruggle for existence,struggle for lifeと原典を掲載しています.このstruggleとは「もがく,あがく,努力する」と辞書にあります.つまり,喧嘩や暴力的対立,果ては戦争へと至る「闘争」とは完全には一致していないのです.ダーウィン自身もstruggleに対して,「広義に,また比喩的な意味にもちいる」「飢餓におそわれた二頭の食肉獣は,食物をえて生きるためにたがいに闘争する・・・しかし砂漠のへりに生育している一本の植物も,乾燥にたいして生活のための闘争をしている」と述べています.生存闘争の過程で,「自然選択」が起きます.「各生物にとって・・役だつ変異が,数千世代をかさねるあいだに,ときどきおこる・・たとえ軽微ではあっても他のものにたいしなんらか利点となるものをもつ個体は,生存の機会と,同類をふやす機会とに,もっともめぐまれる」.上巻後半は,学説の難点を自ら点検する形をとって,移行種の未発見の問題,本能の問題,雑種の問題を取り上げます.上巻の付録は種の起源にかんする意見の進歩と歴史的概要」としてダーウィンに至るまでの歴史的経緯をまとめてくれています.現代の参考文献としても十分使える内容に見えます.

  • 進化論を提唱した、ダーウィンの名著。
    彼の文章は中々回りくどく、難解であった。

    ただ一つ言いたいのは、彼は「創造論者」を避難してはいるが、決して「キリスト教」を攻撃してはいない。
    彼が進化論の根拠とするのは、「今知られている動物が、絶滅した動物に比べて少数であることを考えれば、少しずつあゆみがあったと考えるのが当然である。自然は多様性を浪費するが、改革は節約する。自然は飛躍しない。」と述べる。

    また古代ギリシャのアリストテレスの著書「自然学」において、自然選択の原理の萌芽を見て取ることができるとする。それは「例えば歯が噛み切るように、または草をすりつぶすようにできているのは、そのために造られたのではなく、結果である。あらゆる器官がそのためにできているように見えるのは、内在的な変化の結果である。」としたところである。これについては、自然選択ではないよねとダーウィンは云っている。

    とにかく、完全に理解するには至っていない。下巻もあるのだが、光文社古典新訳文庫からも出ているし、合わせて読んでみたい。

  • 読んでもあまり「面白い」本ではない。現代からみれば当たり前のことばかりが書いてあるからだ。膨大な知識と実験データから、現代の「当たり前」を創りだしたダーウィンの偉大さを知りたいならば、ぜひ読むべき本。図版が少ないのでかなり難解だが。

  • 生き残る強い種(個人・家族・組織)になるためのヒントがあるかもしれないと思い、購入しました。
    内容も勉強になりますが、「神が人間を創造した」と皆が信じていた時代に、全く異なる理論を構築・主張して世間を納得させたという事実に感動を覚えました。

  • 新書文庫

  • 速読を実践してみた
     
    難しい内容…

  • 読みやすい本ではない。その理由の一つが、ぼくらが一種の常識として進化論を知っているからだ。そういう意味での驚きはない。もちろん進化論は本書から始まったのであって、本末転倒もいいところなんだけれど。
    膨大な傍証と同時代の科学者たちの研究への言及が続く。その中にはファーブルやオーデュポンといった知った名前も出てきてちょっと嬉しい。動物、鳥、植物、農学、地理、地質学と、ダーウィンの博物学者としての広大な知識が総動員される。すごいなと思うのは、進化論に対する反論をひとつひとつ真摯に取り上げ、分析していくことだ。その中には、「進化の途中と思われる生物の化石が発掘されないのはなぜか」といった有名な問いかけ(ミッシングリング)もあれば、進化の突端、たとえば腕が翼に変化していく一番最初の僅かな変化が、生存競争に有利に働くとは思えない(だとすればその方向の進化が選択されることはない)といった、ぼく自身不思議に思った議論も含まれている。それに対するダーウィンの反論が説得力があるのかはまた別の話で、ぼくが当時の読者だったら納得したとは思えない部分もあるのだが、それもまた面白い。

  • 展示中 2014.9~

  • 30までに読みたい本

  • 東大京大教授が薦めるリスト100選抜

    No.16

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著者プロフィール

チャールズ・ロバート・ダーウィン(Charles Robert Darwin)
1809年2月12日 - 1882年4月19日
イギリスの自然科学者。ビーグル号による航海で訪れたガラパゴス諸島での観察に着想を得て「自然淘汰」による進化論を提唱。代表作は、『種の起源』、『ビーグル号航海記』、および『人間の由来』。

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