雑種植物の研究 (岩波文庫)

著者 :
制作 : 岩槻 邦男  須原 凖平 
  • 岩波書店
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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003393215

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  • 「メンデルの遺伝の法則」は下の3つから成るという。

    ・分離の法則
    個体は1つの形質について両親由来の1対の要素(遺伝子)をもち、配偶子をつくるとき、対になった遺伝子は分かれて別々の配偶子に入る

    ・独立の法則
    配偶子が形成されるとき、各対立遺伝子がそれぞれ独立に組み合わさって配偶子に分配される

    ・優劣の法則
    優劣関係にある対立形質をもつ両親の交雑では、一方の親の形質(優性形質)だけがF1(下付きの1)に現われる

    しかし、これら自体はメンデルによって体系化されたというよりは、後の研究者によってメンデルが再評価された際に整えられたものらしい。エンドウによる実験は、この本とは別のところには「かなり雑なもの」とも書いてあり、「雑種植物の研究」を読んでいる私も「確かに論理の組み立て方はいいが、サンプリングの仕方とかが多少都合良すぎるのでは?」という印象はあった。

    しかしその思いも、本の後の方に書いてあるメンデルの生涯についての記述で少し変化する。メンデルは修道士でもあった(でもあったは変かもしれないが)のだという。へええと思った。実際修道士の仕事が忙しくて自身の望む研究も満足にできなかったことがあるらしい。「雑種植物の研究」はその合間を縫って編みあげられた論文である。

    聡明であったメンデルが植物の中に「どうも遺伝の法則のようなものがあるようだ」という自分なりの思いを、自分に有することの許されたリソースの中で、具現化したものがこの論文である、と考えてみたくなった。メンデル生存中はこの論文がまったく他人に問題にされず、死後30年近く経ってからその存在を認められた、というところにも読んでいる者からしたらある種のロマンを感じずにはいられないが、硬い文章から、メンデルの様々な思いを想像してみるのも面白いと思った。

  •  あとがきが、メンデルの伝記として読んでいて面白い。本文は専門雑誌に投稿する原稿なので、図は一切なく、表だけである。内容としてはわかりやすい。

  •  良く教科書に載っている、メンデルがエンドウを用いて、雑種の形質の出方を調べた結果導いた遺伝に関する法則を記述した論文。内容は3つある。


    ?優劣の法則
    形質(考えている植物の何かしらの特徴)には、雑種でも顕著に現れるものと、雑種になると隠れてしまうものとが存在する場合がある(前者を優性、後者を劣性と呼ぶ)。
    また、これは「種子の親株」と「花粉の親株」のどちらが、前者・後者のどちらを持つかに依存しない。
    ⇒例えば、エンドウの種子の形には、円形としわ形が存在するが、雑種に現れるのは円形のものである。この場合、円形を優性形質、しわ形を劣性形質と呼ぶ。また、「種子の親株が円形で、花粉の親株がしわ形」であろうが「種子の親株がしわ形で、花粉の親株が円形」であろうと、結果は同じであった。


    ?分離の法則
    ?で述べた法則は、第1世代(もとの親に対して、子供)で見られた結果であるが、第2世代(最初から見れば、孫)では、劣性が発現する事がある。
    ⇒?での例で考えると、第2世代に劣性であるしわ形のエンドウが発生することがある。その発現率の比は優性:劣性=3:1となる。

    ?独立の法則
    優性・劣性の存在する、2つの異なる形質を考えるとき、それぞれの形質が次の世代で優性・劣性になるのかは、それぞれの結果とは独立である。
    ⇒例えばエンドウは種子の形以外に、胚乳の色の違いが??に従う(優性:黄色、劣性:濃い緑)。これらが、次の世代で優劣どちらになるのかの結果は、種子の色がどうであれ、胚乳の色の違いに影響を及ぼさない。

     論文では、それぞれの形質を大文字、小文字で区別し、数式のように解説したりと分かりやすく書いてある。論文自体も76ページほどで軽く読める。致命的なのは、概念自体を理解するためだったら教科書を読んだ方がずっと早いこと。

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