生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)

制作 : Erwin Schr¨odinger  岡 小天  鎮目 恭夫 
  • 岩波書店
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レビュー : 107
  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003394618

作品紹介・あらすじ

量子力学を創造し、原子物理学の基礎をつくった著者が追究した生命の本質-分子生物学の生みの親となった20世紀の名著。生物の現象ことに遺伝のしくみと染色体行動における物質の構造と法則を物理学と化学で説明し、生物におけるその意義を究明する。負のエントロピー論など今も熱い議論の渦中にある科学者の本懐を示す古典。

感想・レビュー・書評

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  • 量子力学で有名な物理学者シュレーディンガーが生物学に迫った小著で名著。「生物と無生物のあいだ」のネタ本だけど、半世紀以上前に書かれているのに、こっちの方がどきどきわくわく面白い!
    中学生のころ読んでいたら絶対、物理学が生物学を学ぼうと誓っていたよ。もったいない。

  • 今回は、まず「あとがき」についてふれねばなるまい。
    「このひと(訳者)いったい何を言いだすの!?」と驚愕。目を疑う思いがしたのだ。いろんな読書をしていると、ときどき、こういう奇抜なものに出会うのが面白い。

    この文庫の巻末には「あとがき」的なものが複数あり、<21世紀前半の読者にとっての本書の意義>(訳者:鎮目恭夫 記)もそのひとつ。
    この内容、少々きてれつ。暴走気味では? との印象すら抱いた。
    なぜか、性愛や「オルガスム」の境地について語り始めるのだが、本編の内容との連関はよくわからない。
    〝自分(訳者)は25歳当時まだ童貞だった〟などの赤裸々な記述まであり、困惑する。
    さらには、「エントロピー」にも触れるのだが、ここで福岡伸一の書を通俗科学書とけなし、エントロピーの記述に誤解ありと批判する。私の理解では、福岡氏の記述に誤りはなく、逆に、訳者:鎮目氏が、「ノイズ」の意味を曲解しているように思われる。
     この〝あとがき〟<21世紀前半の読者にとっての本書の意義>は、「奇書」ならぬ「奇章」の感を抱かせる。岩波文庫の中でも特筆すべき奇妙な内容に感じた。
     訳者の鎮目恭夫氏、いったい何者?

    * * * * * 
    さて、以下、本編について。
    ノーベル物理学賞受賞のシュレーディンガーが、専門外である生物学に関して著した書。
    1944年刊なので、少々古い。ワトソンとクリックがDNAの二重らせんについて発表する1953年より前である。
    岩波文庫所収の古典で、文学系は素直にそのまま古典として読めばいいのだが、自然科学系の「古典」は、読み方に注意が必要だ。それは、記載された内容が当時の段階のもので、最新のものではないからである。本書も、分子生物学の最新の発見や知見が書かれているわけではない。この点、読み方に戸惑う。
    用語や概念も、1944年時点でシュレーディンガーがつむいだ、当時の語である。彼は、生命をになっているのは「非周期性結晶」であると説く。この「非周期性結晶」の用語は、いわば暫定的な言葉のようで、現今では使われていないと思う。この用語・概念にあたるものは現在、より具体的に明らかになり、デオキシリボ核酸とされている。かような次第である。
     本書は、科学史上の価値において評価されているようである。分子生物学の黎明期に、物理学者の視点で、生命とは何か、を追究する研究のありようを導いたことである。
    ただ、それでもなお、以下の諸点は、生命や遺伝に関して、なるほど、と思わせるものであった。
    ・生命組織や染色体が、容易に遷移・変化しない「強さ」、その理由は、物理的なしきい値にあること。「W」の文字で示されるグラフで図示されるのだが(左から右へ遷移する際)いったん、真中の突出部の「しきい」を経ずにはもうひとつのかたちに移行変化しない。また、その「しきい」に至るのは莫大なエネルギーを要する、という。こうした説明で、生命組織(細胞)や染色体の安定性、が説明される。
    ・近親交配がなぜよろしくないのか、その理由を、初めてよく理解できた。劣性遺伝子は、高い確率でその子の世代に受け継がれる。すると、劣性遺伝子を抱えた個体同士が結婚・生殖した場合、その劣性遺伝子同士がむすびつく確率は1/4という高い確率となる、というのだ。

  • 「秩序から秩序へ」とは言い換えれば自己複製子のことか。理論でもって実際の観測を予言している所がすごい。エピローグは筆者の真面目振りが少しおかしい。訳者あとがきはさらに珍妙。

  • 方式の名前にもなる有名な理論物理学者のシュレディンガーが生命とは何かについて量子力学の側面から問い、分子生物学への道を切り開いた言われるこの本。

    生物を分子・原子の集まりとして見ている私として、量子力学的見方で生命を見ることはとても興味深ったです。
    「われわれの身体は原子に比べて、なぜ、そんなに大きくなければならないのでしょうか?」(第1章4節)

    原子とは平常状態において常に振動していて分散・拡散する性質(エントロピー増大の法則)があるにも関わらず、なぜ生命は生命としてその体および遺伝子を保持できるのか。

    当時ワトソン=クリックによって遺伝子の二重らせん構造が解き明かされていない段階において、遺伝物質が非周期性結晶であり、その物質の大きさについて量子力学的側面から論じているいる章などは興奮を禁じえないです。

    一方で生命がエントロピー増大の法則に従わず秩序から秩序への変化を維持している点の説明がよくわからなかったです。

    あと、シュレディンガーの性生活がなかなか強烈であることに驚きました。

  • ワトソンやクリックも大発見前に読んでいた分子生物学の火付け役?のような本ということで、さすがにおもしろい。超一流の思考が見られる。

    量子論の基礎の方程式を発見し、分子生物学の火付け役にもなってるって、20世紀の2大発見両方に関っていると考えるとすごい人だなぁ。

    こういうのを天才というのだろうか。

    DNAと遺伝情報に関するところは言わずもがな、エントロピーのところも、「散逸構造」の概念の先取りだし。いまだに、「生命とは何か?」と聞かれたら「散逸構造だ」と答えるか、何かしらDNAに関することを答えるかのどちらかの人間が多いんじゃないだろうか。

    ・・・こういうのを天才というのだろうか!

    あとがき的なところに、人間の意識に関して書かれている短い部分がある。ここでシュレーディンガーは、人間の意識が存在するということを、遺伝の問題やエントロピー減少の問題とは別次元の、もっとも難しく必然的に形而上学的・哲学的にならざるを得ない問題としてわざと本編とは別に記している。ここはけっこうトンデモなところがあって、依拠しているのはウパニシャット哲学で、人間の意識がそれぞれの人に個別にあって、人が死んだり生まれたりするとその個数が変わるなんておかしな考えであると一蹴している。いわく、意識というのは唯一、あるのみであると。そしてその根拠が、女性を抱いた時にひとつになる感じがあるじゃないか、というような話だから。。。

    こういうのを天才というのだろうか(笑)。

  • 秩序を「吸う」ことでエントロピー的死を免れようとする、というのが生命であるというシュレディンガーの言説は非常に興味深い。MITメディアラボのゼザール・イダルゴ教授が同じようにエントロピーの概念を用いて「情報の秩序」について語っていたWhy Information Growsとの類似性を感じた。

  • はじめの方はなんとかついて行けてたんですが、第4章辺りからよくわからなくなってしまいました。
    所々分かる、という感じ。
    休日ボーッとしてる時や風邪で寝込んだ時などに「あー今エントロピーが増大してるわー」などと嘯いてみようと思います。

    本文は「科学の話が難しくてよくわかんない」だったのに、エピローグで「スピリチュアルすぎてよくわかんない」に急転直下。
    たぶん宗教的な「生命」の解釈に異を唱えてると思うのですが、いかんせん難しくてよく分かりませんでした。

  • 物理学者からみた、生物学についての考察、考え方。
    とてもより生物についての解釈が得られる。
    しかし、自分の勉強不足もあり、難しく感じた。

  • 目黒二郎待ちに読了。良い翻訳文だが内容がとにかく難解かつ使用されている用語の概念が掴みきれないために、俺にアタマでは理解できないまま読み進むこととなった。

    ただし、難解ではあるが、物理学者である著者が、遺伝子やDNAの螺旋構造が解明されるより以前にオリジナルな考え方を発展させていく思索の記録としては興味深い。

    エントロピーに関する箇所において、ある米国のレストランのメニューに各料理のカロリーが記述されている事を嘲笑したのち、それを「不適切であった」と補記で訂正している箇所があった。

  • 2019.01.03 『BRUTUS(ブルータス) No.884 [危険な読書]』からの選書
    https://booklog.jp/users/nsugiura/archives/1/B07KLJNC6C

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