ローマ人盛衰原因論 (岩波文庫)

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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003400555

作品紹介・あらすじ

古代に一大帝国を築き上げたローマはなぜ滅びたのか?今も強い関心をよぶこの問題に対し,共和制を放棄し帝制への移行が衰亡の原因であったと説く歴史論。ルイ14世の絶対主義批判を企図したモンテスキュー(1689〜1755)が、古代ローマを素材に歴史の法則性を追求したもので、『法の精神』『ペルシア人の手紙』とならぶ3部作の1つ。

感想・レビュー・書評

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  • 「法の精神」で著名なモンテスキューの
    『ローマ人盛衰原因論』を読了。
    
    10日間で集中して読みました。
    
    
    最近歴史関係の古典もよく読む中で
    この古典を読んでいて
    沸々と湧き上がってきた気づきは
    
    「どこの時代のどこの国の歴史を学んでいても、全ての世界の歴史に繋がってくる」
    
    ということです。
    
    歴史は全てタテヨコで繋がっているということです。
    タテは時間軸で、ヨコは空間軸です。
    
    
    
    例えば
    ヴェネツィアという都市国家の歴史、ローマカトリック教会の歴史、アレクサンダー大王が活躍したマケドニアの歴史、十字軍の歴史、チンギス・カンの蒙古の歴史など、全てのことがローマの歴史と関連性をもっていますね。
    
    
    これらの知識がある上でこの古典を読むのと、そうでないのとでは、理解の深さに差が出る。
    理解の深さの差が、古典を読んでいて面白いかどうかに関係している。
    
    その意味で
    「知識の差が面白さの差」
    といえます。
    
    そこから
    「知識は世界を楽しくするアイテム」
    だといえそうです。
    
    
    
    どこの時代のどこの国の歴史を学んでも
    世界の全ての歴史に繋がっているのであれば
    やはりここでも
    「自分の興味のある面白そうだと思うところから
    学んでいくことが最良の方法である」
    といえます。
    

  • 訳者解説であるとおり「法の精神」準備期の作品。権力分立の正しさをローマ史から補強する著作です。
    第8章ではモンテスキューが高く評価する戸口総監の役割について具体的に説明されます。戸口総監は法律によらない道徳や慣習に害をもたらすものを矯正し、その対象は元老院議員や騎士にも及びました。また戸口総監は5年ごとに国家の現状を監査し、投票権のある人々を地区ごとにカテゴライズし直すことにより、特定の人物が投票を自由に操ることを防ぎました。そして共和制ローマの政治が、人民と元老院と政務官が互いに権力濫用を制御できる国家であったと手放しで評価しています。また、カルタゴ、アテネ、18世紀当時のイタリア諸国家の没落の原因を権力の濫用に見る一方、当時のイギリスを共和制ローマに近い政治体制と見なしています。
    第9章において、モンテスキューは国家内の権力の分裂を国家衰亡の原因とは見なさず、むしろ分裂は国家内に常に内包されているもので、国家発展の原動力ですらあると考えています。音楽の不協和音が全体の調和に加わるように、分裂と対立は全体の福祉に貢献することが語られます。他の分裂を「死体」で抑圧しているにすぎないアジア的専制とも対比されています。
    ローマ衰退の原因として版図の拡大に法律が追いつかなかった旨も記述がありますが、そこにはあまり熱っぽさを感じませんでした。

  • ローマの建国から東ローマ帝国滅亡までのローマ史を俯瞰し、共和政が滅び帝政という新たな政体が導入されるに至った原因を追求する著作。共和政ローマに対する高い評価――「ローマの政治は、その誕生以来、人民の精神、元老院の力、あるいは、何人かの政務官の権威によって、その国家構造が権力のあらゆる濫用を常に是正できるような働きを保っていた点において、素晴らしいものであった」――、共和政には分裂が必要であり、分裂のない共和政では自由が死んでいるというマキャベリを思わせる理解、しかし共和政に内在する拡大傾向が属州を獲得させると、駐留軍が有力者の私兵と化し、またローマの公民権が他の諸都市の住民に認められて祖国愛が失われた、そのために、内乱がきっかけとなって共和政が滅亡した、というモンテスキューのローマ史理解は、歴史考察にとどまらず、後に『法の精神』で結実する彼の制度論に直結していると見るべきだろう。

  • 同時多発テロ後のアメリカの振る舞いが帝国的であるとか、ネグリとハートの帝国論もあり、何か国際政治のトピックとして帝国論はブームとも言えます。

    いくつかの書籍や論考の中で、今のアメリカを過去の帝国ローマと比較する試みがなされているのも何度もみかけました。では、そのローマ自体がたどった顛末とはなんだったのかが気になっていた頃に偶然見つけたもの。全体的にコンパクトにまとめられており、概略としてのローマ帝国の盛衰を知るにはとても手ごろな本です。

    基本的には共和制やを敷いていたローマが、一人の皇帝の決定が元老院に裏を操られるにせよ偉大な皇帝による大権に依存する形であったとしても君主制を導入してしまったことに、その権力と軍事力の衰えの原因を見出すわけです。

    そして君主制を導入したことでキリスト教がローマ帝国の力をそぎとって行ったことに言及しているのもうなずくところが多い部分です。そして、領土を急速に拡張していく過程で、討伐した相手の力をうまく活用して自国の勢いを少しでも落とさない手法は諸刃の剣であったことをはっきりと示してくれます。

    現代のアメリカと単純に比較することはできませんが、少なくとも一人の人間が全てを決めるという独裁の恐ろしさは十分参考になりますし、民衆がしっかりと権力者を監視する自由な雰囲気と、能力を持ちうる体制こそが重要だということになるわけです。過去の経験を現代に伝える警鐘にも似たモンテスキューの言葉は、心に残ります。

    しかし、翻訳者である田中治男さんと栗田伸子さんが、後書きで解説されているようにモンテスキューは、本書においてローマの国力を軍事的な側面からのみ考察している点には、留意する必要があります。その点を考慮に入れながら読み進めていくだけでも、現代に十分通じる有益な発見が見て取れると思います。

  • 今のご時勢だからこそ、
    富まなければいけない一冊。

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