完訳 統治二論 (岩波文庫)

制作 : 加藤 節 
  • 岩波書店 (2010年11月17日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003400777

作品紹介

イギリス社会が新興の中産階層の力で近代的市民社会へ脱皮してゆく時、その政治思想の代表者がロック(1632‐1704)であった。君権神授説を否定し人間の平等と人民の政府改廃の権利を明らかにした彼の「政府二論」-特にそのうちの後編に当たる本書は、アメリカ独立宣言の原理的核心となり、フランス革命にも影響を与えた。

完訳 統治二論 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 新書文庫

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    ──  ロック/加藤 節・完訳《統治二論 1690 20101117 岩波文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003400771
     
     Locke, John 16320829 England 17041028 72 /
     
    (20160926)
     

  • アメリカ独立宣言の理論的基礎となったとされる本書(1690)については、同じ岩波文庫で『市民政府論』としてかなり若い頃に読んだのだが、これは原著の後編に当たる。
    ということで、前編を読んだのは初めてだが、ロバート・フィルマーとかいう人の、王権神授説の流れを汲む著作に対する執拗な批判がもっぱら展開される。フィルマーの『パトリアーカ』はもちろん読んだことないが、本書を読む限り、かなり恣意的に聖書を曲解し、父権と王権を同一線上に置くなどと言うヤワなことが書いてあるらしい。ロックの批判はじゅうぶんに論理的である上に、ところどころユーモアさえ交えて、面白い。
    さて後編はロック自身による統治論が展開される。これは「社会契約説」の嚆矢となったものなのだろうか。彼は、なんびとも政治統治体と「合意」によって結合するのだと説く。
    人は生まれついての「自然状態」の自由をむざむざ放棄して、権力的統治のもとに入るわけだから、そこには「同意」がなければならない。
    生まれついた統治体が不服であれば、これに同意せず、別の統治体を探すか、もしくは自ら新たな統治体を作れば良い(そう簡単に言うけれども、現代においてはそれはかなり難しい)。
    そのかわり、統治体の権力は、共同体の成員の「合意」(それは多数決により決まる)に沿って行使されなければならない。従ってロックは絶対王制のような体制を否定している。それは合意に基づかない、単に暴力的な、服従の強制である。
    統治体が構成される目的は、諸個人の固有権(プロパティ)の保全にある。権力(政府)側がこれを逸脱することは許されない。もし本来の目的を離れて権力が人々を強制するならば、住民は「抵抗」することが許される。この辺は、事実上主権在民の原理を示しており、ロックはそうと明言はしないものの、民主主義の基礎となるような考え方である。
    ロックはまた、立法府を最高権力としながら、行政府との分立を提言している。当時としてはかなり先進的な考え方と言えるだろう。
    ただし難点は、「多数決」がすべてを決めてしまい、それに全員が服従しなければならないため、マイノリティの立場がこれだけでは保障されない点である。
    さらに、たとえば一国が他国に侵略戦争をしかけたとき、敗者の国民は「抵抗しなかった場合は」服従を強制されないが、抵抗し、「交戦状態」となった上で敗北した場合は、略奪されて良い、という、なんともドライな、西洋植民地主義のエゴのような考え方も示している。
    さてこのような契約説の「同意」なるものは果たして本当に存在するのだろうか? 若い頃これを読んだときと同様の疑問が残る。だがたぶんそれは、「権利」という用語と同様、自然界に実在するわけではないが、理論体系構築のためにあえて定義された概念なのだろう。
    それでも疑問が残るのは、現代の複雑きわまりない多義的な社会にあって、「国家」の意向にそうそう「同意」などできはしないということだ。
    さて、ルソーの契約説はロックと対比してどのような様態を示すのか。次はルソーに取りかかる。

  • 美しい世界観。小気味のよさ。
    神がいる人にとって、世界はこんなにも明るいものなのだな、と感じる。

    神、身体と理性とを与へ給へり。
    肉体労働、価値物うみいだす。
    理性、自然法を教ふ。
    政、法によりて身体と財物とを保護す。

  • 読みやすい。

  • 彼の特徴は、
    労働をもとにした所有権、
    自己保存の目的を徹底した抵抗権の主張にある。

    前者はどういう発想から来たのかいまいちわからないが、
    後者について言えば、人民の抵抗権はホッブズが渋っていたように、平安を希求する目的が初発にあるにもかかわらず、統治に不満があれば騒乱となりうるため、容易に認めるべきではない、とこれまで見られてきたように思われる。
    ロックは、そのことについて自覚的であるために、革命権を認めたところで、頻繁に革命が起るわけではないことを力説する。

    ロックのその弁に説得力があるかどうかは別にして、
    社会統治の方法やその都度の判断に関して、別の可能性を常に残しておくことは必要である、ということは拭いえない。

    ホッブズはその点では、制度に任せて強権的、絶対的君主制に固定せざるをえなかった。
    より柔軟であるのはロックであり、その革命の方法はここでは示されないが、
    政治に対して人民がどのように関与できるのか、という問いの萌芽はここにしっかりとあるように思う。

    最後に1つ、デカルト以降、神に依拠しない形で人間社会を構築しようとする風潮が顕著になってくる。
    これは、人が社会を切盛りしようとする態度に他ならない。
    (もちろん、ヘーゲルまで「神」を根底的に据えているが)

  • 新訳で完訳は、読んでいなかったので、改めて。

  • <関連キーワード>
    ・社会契約論
    ・抵抗権
    ・親権と養育権

  • ロックの『統治二論』の新訳にして完訳。名誉革命の擁護、理性の重視といった従来のロック解釈に依らず、神の被造物としての人間の政治社会について論じた著作という点に注意して読むと、ロックと現代の断絶、そして幾許かの連続性がわかるというものである。

  • 岩波文庫:白 080/I
    資料ID 2010200640

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