アメリカのデモクラシー 1 下 (岩波文庫 白9-3)

  • 岩波書店 (2005年12月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784003400937

みんなの感想まとめ

民主主義の本質を深く考察した作品で、著者はアメリカ社会の構造やその影響を多角的に分析しています。19世紀のフランス人政治学者が、わずか9か月の滞在でまとめたこの著作は、地方自治や出版の自由、政治結社の...

感想・レビュー・書評

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  • トクヴィル「アメリカのデモクラシー」 「平等」であることへの執着|好書好日(2018.05.31)
    https://book.asahi.com/article/11581558

    アメリカのデモクラシー 第一巻 (下) - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b248741.html

  • 19世紀フランスの政治学者・政治家トクヴィルによる著名なアメリカ論。地方自治、出版、陪審制などが具体的に考察されている。黒人やインディアンについても、最終章で論じられている。これだけの著作を弱冠29歳で、しかも僅か9か月間の滞在で著したことに驚く。

  • 本書でトクヴィルは、アメリカでは「人民」があらゆる権力の源泉であるという国民主権の実態と、その帰結を論じている。

    ■民主主義を動かす要素と欠点
    トクヴィルは以下の活動が民主主義を動かす重要な要素だと指摘している:
    ・政党
    ・出版の自由(特に多様な地方紙)
    ・政治結社(社会の個別課題を解決するための集団の力)

    一方で、民主政治の欠点も率直に指摘している。必ずしも優れた人物を指導者に選ぶとは限らず、財政的な浪費を招きやすいという。

    ■民主制の利点と最大の脅威
    民主制には社会全体に強力な活力を与え、市民に愛国心や法への尊重を育むという大きな利点がある。しかし、トクヴィルが最大の脅威として警告するのは「多数の暴政」——少数者の権利や精神の自由を侵害しかねない危険です。この危険を緩和する要因として、彼は法律家の精神や陪審制度の役割を高く評価している。

    ■民主共和政を支えるもの
    民主共和政が維持される主因として、トクヴィルは地理的条件や法制以上に、国民の「習俗」や宗教の影響力を重視している。巻末では、先住民の悲劇的な運命と黒人奴隷制がもたらす人種間の葛藤が、アメリカの将来に深刻な危機をもたらすと予言している。

    ■現代への問い
    200年前の本書の洞察が、驚くほど現代アメリカ社会の良い面も悪い面も言い当てていることに驚く。それと同時に、悪い面に拍車がかかっている印象も受ける。これは人類の悲しいバグなのだろうか。仕組みで改善することはできないのだろうか。

  • 民主主義というテーマにおいては有名で重要な本らしいので、読んでおくことにした。
    第1巻の出版は1835年で、南北戦争前である。主にイギリスの出身者たちがつぎつぎと北米に入植し、開拓し、社会を築き上げていく黎明期を描き、分析している。トクヴィルはフランス人なので、フランスの君主制との違いが、折に触れて指摘される。
    トクヴィルによると、北米は入植によって生まれた当初から「民主的」であり、住民間に階級差はなく(黒人奴隷やインディアンを除く)、自然発生的な共同体「タウン」において、自治的に倫理や法が築かれていったという。キリスト教をベースにし、そこからタウンみずからが、<掟>を制定していったのである。そこで、ホーソーンの『緋文字』に描かれたあの街、あの掟、あの「罰」が生まれたわけだ。
    トクヴィルの合衆国民主主義の分析は、たぶん当時としては画期的なものだったろう。ただし、現在の視点から読むと首肯できない点もあるが。
    対等な人間たちのあいだでの<多数者>が実質的に政治を動かしていくという民主主義ルールは、ともすれば世論という名の「衆愚」の醜悪をさらけだす危険があると私は思うのだが、トクヴィルはそこまでは言ってない。アメリカ合衆国の民主主義を最高のものとして語っているわけではないが、その価値を認めてもいる。なかなかに冷静な見方で、多義的に捉えている。
    第2巻(岩波文庫ではさらに上下に分かれる)はさらに突っ込んで民主主義について考察するようなので、楽しみだ。

  • 第1巻下では本書の中心テーマである「自由」と「平等」のパラドクスが本格的に論じられる。トクヴィルは民主主義の基本的な価値観を「平等」とみる。これはフランス革命が掲げた三大理念の一つだが、「平等」の進展が社会における「自由」の基盤を侵食することへの危機感がトクヴィルに本書を書かせたと言ってよい。革命は「平等」を希求して王権を打倒したが、実は王権こそが「平等」の推進者であった。王権は中央集権化をはかる過程で、大方の貴族階級と彼らが構成する中間団体の特権を剥奪し、王権という頂点を除いて、かなり「平等」な社会を革命以前に既に実現していた。このことを看破したのがトクヴィルの今一つの名著『旧体制と大革命』である。王権に寄生しながらも王権を牽制し得る貴族階級は、「専制」に対して「自由」を守る防壁であったが、「平等」を至上価値とする民主主義は「専制」と親和性が高い。したがって、より一層の「平等」を求めて容易に「多数者の専制」に転化し得る。

    多数者が優位を占める社会では個人の卓越性は顧みられず凡庸が支配的となる。誰もが他人のことを気にかけて、他人に似ることで安心を得る。知らず知らずに 「自由」は蝕まれていく。さりとてトクヴィルは「自由」を擁護するために貴族階級を復活せよと主張するのではもちろんない。彼が「自由」を守る工夫としてアメリカ社会に見たものは、行政における地方分権、既成事実や慣習を判例として重んじる法律家精神、市民に政治意識と社会に対する義務感を植え付ける陪審制などである。かつての貴族階級に代わり、こうした諸々の制度や風習が、中央集権的国家から「自由」を守る防波堤となり得ると考えたのである。

    後半ではアメリカ社会におけるインディアンと黒人の地位が論じられるが、ここでも「平等」意識についての凍りつくようなリアルな観察眼に瞠目させられる。奴隷制が存続していた南部諸州のほうが白人は黒人に愛着を持ち、黒人は白人の支配を当然のこととして受け入れる。奴隷制を廃止した北部では黒人ははるかに非人間的な扱いを受け、白人を羨望の眼差しで見つめる。マイノリティーが社会の中で権利を認められるようになればなるほど、彼らへの差別は激しくなるという逆説だ。絶対的な「不平等」より中途半端な「平等」のほうが社会に深い亀裂を生むというのは、綺麗ごとでは済まない人間の悲しい性なのかも知れない。ちなみに評者が参照した英訳版(抄訳)ではこの部分はカットされている。この一事をもって断定できることでは勿論ないが、アメリカにおけるトクヴィル受容の一面性を象徴しいているようにも思われる。

  • 読むのに ものすごい時間を要した。
    第10章 興味深い

  • 国家の成立、連邦、自治など、国の在り方とはどのようなものかについて、またいろいろと考えさせられた。
    人種差別、先住民族の強制移住や文化の破壊など、現代にいたっても大きな社会的課題である事柄について、しっかりと書いているところも、時代を超えて議論ができる書物であると思う。
    どの章も面白く、一度では取り込め切れないところがあり、再読したいと思う。

  • 160ページでストップ

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介

    1831年から1832年まで、ジャクソン大統領時代の米国社会を描いた近代デモクラシー論。

  • 下巻は、市民社会と習俗に焦点を当てると伴に、貴族社会と民主社会の比較から、(当時)将来来るべく民主社会の課題や有るべき姿を述べ、民主社会における中央集権化、独裁主義化への懸念を見事に予想している。
    貴族社会には主権者である国王が民衆に直接支配力を及ぼすことができないクッション(貴族)があったとし、米国では、それを地方自治の仕組みに取り入れ、中央集権化、独裁主義化へ向かわない仕組みを内在化させたとする。

    なぜ、アメリカ人は産業に向かわせるのか、民主化された社会で客観的な物差しは金でしかない等、現在の米国社会を示す考察をこの時点で為し得ている。

    以下引用~
    ・(アメリカの)国民にあって怖れるべきことはすぐに立て直せる少数の人々の破滅ではなく、万人の活動停止と無気力である。大胆な産業活動こそ、そうした国民の急激な進歩と力と栄光の第一の源泉である。
    ・・・このため、合衆国では、破産した商人は異様に寛大に遇される。

    ・専制は民主的な世紀には特別恐るべきもののように思われる。

    ・同業組合や貴族から奪った行政権をすべて主権者一人に委ねる代わりに、その一部を普通の市民が一時的に形成する二次的段階に託すことができる。このようにすれば、平等を減ずることなく、私人の自由はより確実になるであろう。われわれのように言葉にこだわらないアメリカ人は彼らの行政区画の最大のものを指すカウンティ(伯爵領)という語を残した。だが、それを部分的に地方議会で置き換えた。

    ・合衆国では武勲はあまり評価されず、いちばんよく知られ、高く評価される勇気は、誰よりも早く港に着くために嵐の海と闘う勇気であり、不平一つ言わずに、荒野の窮乏生活に耐え、またいかなる窮乏よりも残酷な孤独に耐える勇気である。

    ・人と人との間にはっきり目に見える違いを生み、少数のものを仲間から際立たせるものは金の他にほとんどない。富に発する差別は他のあらゆる差別が消え、減っていくと共に大きくなる。

  • トクヴィルは序文で、アメリカでは人民の権力が制度や形式を思うままに破壊ないし修正していると指摘し、その本能と情熱は何か、それを推し進め、あるいは抑制する仕掛けは何か、その将来の帰結は何かを本書で明らかにすると論じている。

    1章によれば、アメリカでは、人民が直接その代表を任命し、議員は、人民に従属しているが、代議制が採用されている。2章によれば、アメリカには、もはや大きな目標を持つ「偉大な」政党はない。政治的信念のない「矮小な」政党があるにすぎない。3章では、アメリカには出版の自由があり、新聞の独立があるという。4章によれば、アメリカには政治結社が無数にあり、社会的権威には疑いの念を抱いている。結社の自由は、多数者の専制に対する保証でもある。5章によれば、普通選挙が優れた為政者を生み出すわけではないが、アメリカでは、上院議員を選ぶ選挙が二段階であるため、民主制の欠点を是正している。また、民主制の運営は、それ自体安価で済んでいるというわけではなく、戦争がないために支出が少ないにすぎない。アメリカには徴兵制がないため、大規模な戦争を遂行しえない。それゆえ、諸外国との関わりは抑制的でなければならない。なお、外交政策は、民主制の原理に基づいているわけではないとされている。6章によれば、民主政の利点は、最大多数の福祉を目指す点にある。民主制は、政治的権利の観念を行き渡らせ、人々は、自身の権利を置かれないために他人の権利を攻撃しないようになる。7章の議論では、アメリカでは多数者が絶大な権力を持ち、この帰結は、将来にとって危険であり、自由を失うかもしれないという。8章では、多数者の専制を和らげている理由の一つは、中央行政の権力の弱さにある。さらに、貴族的牽制、すなわち、保守的な性格を有する法曹精神もある。9章では、アメリカでの民主制維持の主な理由が偶然、法制、習俗に求められている。そこには境遇と知性の平等、広大無辺の大陸、秩序への意識や商業的情熱がある。法律では、連邦制度、地方自治、司法権の構成が多数者の動きを方向づけている。また、キリスト教という点で一体性があるが、宗教は、政治権力と結びついていない。習俗の民主制に対する影響は、すでに第一部で論じられていた。10章では、連邦が持続する可能性が三つの人種を考慮することで検討されている。インディアンは、絶滅する運命にあろう。黒人は、奴隷制とともに生きており、それは人種的相違に基づいているため、問題は永続的である。北部での奴隷制廃止は、南部での廃止を困難にしており、いずれ黒人と白人の深刻な対立が生じるだろう。だが、連邦は、各州が経済的利益や精神的・道徳的見解の一致からして崩壊しないだろう。共和制も、宗教的習慣や平等があるため持続するだろう。

    トクヴィルによれば、アメリカの民主制を他国にそのまま移植してもその制度は維持しえない。とはいえ、アメリカは、民主政の病理に治療法を施しており、民主制に絶望する必要はない。彼は、ヨーロッパがアメリカから学ぶべき教訓を引き出していると言えるが、詳細なアメリカの(欠点を含めた)現状分析からうかがえるように、きわめて慎重な形でこれを行う必要があると考えているように見える。彼が恐れている事態の一つは、多数者の専制である。

  • アメリカの国の成り立ちを理解するための最適書。奴隷制度から国の分裂までを予言するトクビルの観察眼に感嘆。南北戦争は予見しなかったものの、国家の持続困難性は見事に指摘している。

    アメリカが今ほど中央集権でなかったときの、アメリカの本質を学んでおくことは、アメリカ在住にあたっても必須であるように思う。

  • アリストテレス、カント、ウェーバーも一読して、さっぱり消化不良。
    でもこの本は、平易に語りつつも、不変な洞察にただ驚くのみ。
    まさしく名著。

  • アメリカ合衆国という国家がきわめて特殊な成り立ちをもち、その国民の意識が他の国家に類例をみないありようをもっていることと、この国に民主主義が根付き、発展したことは決して無縁ではない。そのことをトクヴィルは、みずからのアメリカ滞在経験や母国フランスとの比較をもとに縦横に論じ、結果として「アメリカ」という土壌と「民主主義」という巨大な樹木の関係を明らかにしていく。
    http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20070829#p1

  • どうにかこうにか第1巻下も読了。

    「民主主義の利点は、これまで言われたように万人の繁栄を促進するところにではなく、最大多数の福祉に役立つ点にあるにすぎない」(p116)

    現在でも「政治不信が根深い」という風によく言われる。そしてそれは政治家が悪い奴だからだ、とか、昔に比べて小物になった、とか色々な理由付けがされる。

    しかし本書でトクヴィルが「恣意的裁量と暴政とははっきり区別する必要がある」(p151)と述べたように、まず民主主義は「暴政」を排除する。さらに「恣意的裁量」は民主主義で多数を背景に権力を獲得した者が握らざるをえないものだが、これも人民の精神の独立と言論の自由によってかなり排除できる、とトクヴィルは述べる。つまり逆に言えば、ダメな代議士を選んでるのは私たちなのである。

    なんて言うと「選択肢が無いんだからしょうがない」という反論があるかもしれない。それが「投票に行かない」という選択肢を正統化しているところもある。

    しかしそういう意見に対しては「今議員になっている人間を落せばいいのである」とトクヴィルは答えるのではないだろうか。あるいは、それを実行せずして「選択肢がない」などと言うな、と。

    現在、格差社会と一部の人間への富の集中が問題化している。しかし一部の人間に富が集中しているということは、それ以外の人間が投票行動を起こして、今政府を担っている集団に投票しなければ、現在富を持たない人間の幸福が優先される政府が実現するのではないだろうか。論理的にはそうなるはずだ。

    結局それが実現しないということは、いくら「格差社会」を野党が叫びたてても、「最大多数の幸福」は「まあ今のままでいいよね」ということなのである。だとしたら「投票に行かない」ということは、「現状への抗議」ではなく「黙認」と受け取られるのが、民主主義のシステムだということを、もっと世の中に知らしめるべきなんじゃなだろうか。

    民主主義は「最大多数の幸福」を実現するツールでしかなく、そこから零れ落ちる人たちも居る。そういうある意味冷徹な現実をトクヴィルは突きつけている気がして、読んでてけっこうブルーになってしまったのだった。

    トクヴィルがこれを書いていたときは、労働者という階級(意識)が広汎に存在していて、彼らが政治の主導権を握ることが可能だと考えられていた(もちろんそこには個人の自立が前提にあるが)。しかし階級意識が消滅した今、とある少数社会集団に属している僕は、「最大多数の幸福」から零れ落ちてしまう集団なんじゃないかと。そう考えて読みながらブルーになってしまった。僕の屍を乗り越えて、最大多数が幸せになってください、とはやっぱ思えない。

  • 名著。

  • デモクラシーがどのように機能しているか。
    民主制を無条件に賞賛するのではなく、多角的に冷静に評価。

    ・公務員の権力の執行と権威の分離

    ・外交における一定性

    ・民主制がとる手段(法律)は貴族制のそれに比べて不完全。しばしば意図せず自分自身の利益を害する。だが民主制が目指すところは貴族制の目的より有益

    ・民主政治の自由の下では、行政の達成が特にすぐれているわけではなく、人民が行政の介入なしに、行政と無関係に行う事業が巨大なのである

    ・宗教による平等・公正、政治との分離

  • 私の読解力が低いので、下巻のアメリカの国民を分析している章を読んでようやく、本全体はアメリカに根付いたデモクラシーを分析していたことに気づいた。

    それはともかく、第10章の当時のアメリカ自体の分析は面白かった。
    ネイティブアメリカンやアフリカ系アメリカ人に対するイギリス系アメリカ人の扱いを外国人の視点だからか容赦なく冷静に分析していた。
    もちろん当時なりの差別意識や文明人が優越しているみたいな意識はあるので無批判に受け入れられないこともある。
    ただ、奴隷制度などの問題に対する分析は鋭いと思う。
    法制度の問題ではなく習俗の問題になっているから、奴隷を解放しても問題は無くならないという分析には驚いた。
    もちろん奴隷制度を肯定しているわけではなく、いずれ無くなるだろうとも著者はいっているが、そのときに中途半端な道を選べば人種間戦争のようなものにもなりかねないと予見している。

    他には5章も面白かった。
    みんなが一様に力を持たず傑出した個人がいない。
    そして、短絡的で感情で動き、しばしば間違えることがある。
    それでもやり直すことのできる制度とそういった精神性を持つ人民で構成されている強みがある。
    一方では多数の力が強すぎるゆえの弊害についても懸念を示していた。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB00062591

    (推薦者:行政政策学類 鈴木 めぐみ先生)

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=28924

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA74250267

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