アメリカのデモクラシー 2 上 (岩波文庫 白9-4)

  • 岩波書店 (2008年3月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (282ページ) / ISBN・EAN: 9784003400944

みんなの感想まとめ

民主主義がアメリカ人の知的運動や感情に与える影響を深く掘り下げた本書は、個人の理性を重視するデカルト的な精神が、実用性や物質的成功を追求する文化を生み出していることを示しています。特に、アメリカ人は自...

感想・レビュー・書評

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  • RIETI - 『アメリカの民主政治』(夏休み特別企画:番外編 スタッフが薦めるこの一冊'02)
    https://www.rieti.go.jp/jp/special/2002_summer/kumagai_1.html

    アメリカのデモクラシー 第二巻 (上) - 岩波書店
    https://www.iwanami.co.jp/smp/book/b248742.html

  • 本書は、第1巻で扱った政治制度の分析に続き、デモクラシー(民主主義)という社会状態がアメリカ人の「知的運動(哲学、学問、芸術)」や「感情(情念、道徳)」にどのような影響を及ぼしているかを考察している。

    ■第一部:知的運動への影響
    アメリカ人は伝統や階級的権威に頼らず、個人の理性を判断基準とするデカルト的な哲学的精神を実践していると指摘。つまり、生まれや伝統、権威ではなく、「役に立つかどうか」が重要だということ。松下幸之助の「やってみなはれ」のような、シリコンバレーのITスタートアップの精神に通じるものがありそうだ。
    その一方で、宗教は政治と分離することで強い影響力を保ち、行き過ぎた個人主義や懐疑心の歯止めとなっている。学問・芸術・文学においては、純粋な理論や優雅さよりも、実用性、物質的成功、そして大衆の感情に訴える現実的な描写が好まれる傾向がある。まさにハリウッド的なあの世界観だ。

    ■第二部:感情への影響
    民主的国民は「自由」よりも「平等」を熱烈かつ永続的に愛好するという特徴があるという。ここでトクヴィルが危惧するのは、各人が公的社会から離れ、家族や友人の輪に閉じこもる「個人主義」の台頭。これは利己主義(わがまま)とは異なり、内輪で引きこもるイメージを指す。この価値観も現在のアメリカ人のイメージに合致しているように思う。
    しかしこの個人主義が社会を解体するわけではなく、アメリカ人は政治的・市民的な「結社(アソシエーション)」への発展のしやすさが地元紙などを活用して連携することで、この孤立を防いでいるとも指摘してる。また、「利益の正しい理解」という教義によって、個人の私益と公共の利益を結びつけ、物質的享楽への過度な没入を規律していると。

    ■現代への問い
    本書で挙げられている「身近な問題や課題を共有する集団の力」が、SNSやフェイクニュースなどの起爆剤で怒りを喚起して現代アメリカの分断を煽り、問題をより複雑で深刻にしているともいえる。また、自由と平等は同時に人々を孤立させ、個人主義に向かわせる分散の力ともなっている。この分断と分散は個人を弱者に留まらせ、権力に従わせる構造を強固にしているように見える。

  • 『アメリカのデモクラシー』は1500頁に及ぶ大著であり、時間のない人のために全四分冊のうち一冊選ぶとすれば、躊躇なくこの第2巻上を奨める。第1巻で提起された自由と平等のパラドックスが文明論的に掘り下げられ、トクヴィルの最も独創的な思考が凝縮されている。平等の進展がいかにして多数者の専制あるいは自発的な隷従に結びつくかが多面的に考察されている。

    各人の諸条件が平等になれば、社会の固定的な障壁は取り払われ、人間関係は流動的になる。人々は孤独に耐えられず、自分を導いてくれるものを探し求める。そこで拠り所となり易いのは「世論」であり、新聞が有力な社会的勢力となる。また人々の紐帯が弱まることが専制政治の温床となり、個人はか弱い存在であるが、個人の集合を代表し、全員を掌握する「後見的権力」としての国家が強大になる。今日の大衆社会の到来を正確に予言しており、デュルケム『自殺論』のアノミー論、あるいはフロム『自由からの逃走』やリースマン『孤独な群集』の議論を先取りしている。

    こうした状況を前にして、自由を守る手だてとしてトクヴィルは何を考えたか。1巻では結社や地方自治、陪審制などのアメリカの諸制度や習慣の意義が論じられたが、本巻でトクヴィルが取り上げており大変興味深いのは宗教の役割である。「人間は信仰を持たないならば隷属を免れず、自由であるならば、宗教を信じる必要がある。」とトクヴィルは言う。政治にせよ宗教にせよ、人は全く権威のない状態には耐えられない。この深い人間洞察を前提に、宗教と自由の補完関係、裏を返せば無神論と専制の親和性を見事に言い当てている。

  • 民主主義国アメリカの精神的側面を主に論じている。
    平等という社会状態がどのように人々や人々の活動に影響しているか、宗教や信仰、商業的活動がどのように実践されているかなど。途中から、デモクラシーというより現在では資本主義として論じられるような社会の経済的側面を議論している。
    民主主義、平等の根付いた社会によって、商業的活動の発展を説明し、同時に過去の帰属性とは異なる形での格差の拡大を憂慮する。恐るべし論者…

  • 出口治明著『ビジネスに効く最強の「読書」』で紹介

    1831年から1832年まで、ジャクソン大統領時代の米国社会を描いた近代デモクラシー論。

  • 本書では、民主制がいかにアメリカ人に影響を及ぼしているかが考察の対象とされており、第一部では、民主制の「知的運動」、第二部では「感情」に及ぼす影響が検討されている。第一部によれば、民主制は、アメリカ人に物理的享楽を大胆に志向させており、彼らは、一般性・無形式性・実用性を好んでいる。彼らの宗教には来世への関心が比較的弱い。とはいえ、その宗教は、秩序を破壊するものではなく、利益を求める上でも有効に機能している。第二部によれば、アメリカ人には、個人主義があるが、同時に結社を志向する態度がある。また、アメリカ人は、宗教の効用ゆえに物質的享楽への愛着が行き過ぎてはいない。

    トクヴィルは、アメリカ人に精神的な単純性や文芸における素朴さを見るとともに、平等が彼らに現世的利益を追求させていると考えている。だが、彼は他方で、宗教ゆえに物理的享楽への一定の歯止めがかかっていると見ている。彼によれば、民主制の立法者は、人々の宗教的関心を持続するよう配慮しなければならない。彼には敬虔なキリスト教信仰があるように見えるが、その議論には、宗教の政治的利用の必要性という冷徹な見方もうかがえる。宗教は、民主制の諸帰結のうちを悪しき部分を抑制する装置として不可欠ということになろう。

  • アメリカのデモクラシーを通じて、デモクラシーがその国民にどのような影響を及ぼすかを分析し、デモクラシーをよい制度として維持していくためにはどうすればいいかを考察した本。
    1840年代に書かれたとは思えない、優れた洞察力で書かれたものだと思います。

  • デモクラシーが人々に及ぼした影響。

  • デモクラシーの時代に訪れる恵みや危険について色々と分析しており面白かった。


    一般観念という概念自体を問うことに衝撃があった。
    境遇の平等が進んで私たち人間という意識が生まれなければ人間一般とかの概念で語ることはなかったという分析。
    さらに平等という概念を擬人化して語ることも許されるようになったと言ってる。
    貴族制の時代では個別具体的な話を細かくすることはあっても人間存在一般という観念が語られることはなかったという分析で面白かった。

    トクヴィルはデモクラシーの時代において宗教が重要であると何度も説いているのが印象的だった。
    これは平等の時代における個人主義化の加速や何でも自分の理性で考えるゆえに陥りやすい懐疑から人々を守る防波堤としての意味で有用だという考えから宗教を重視するようだった。
    ただトクヴィルの論では宗教の効用を理性的に分析しすぎて結局のところ宗教を理性に従属させてしまっているような気がする。
    冷静な分析すぎて危険な感じもしますが、民衆がみなそこまで分析しないから大丈夫ということなのかもしれない。

    専制に対する警戒もとても面白かった。
    個人主義が加速して自分の身の回りのことも自分で行う能力がなくなれば権力に従属的になり専制を呼び込むというのが大まかな流れだったが、とても考えさせられる。

  • ▼福島大学附属図書館の貸出状況
    https://www.lib.fukushima-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/TB00062591

    (推薦者:行政政策学類 鈴木 めぐみ先生)

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=28924

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA74250267

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00108127

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