マルクス・エンゲルス 共産党宣言 (岩波文庫)

制作 : Karl Marx  Friedrich Engels  大内 兵衛  向坂 逸郎 
  • 岩波書店 (1971年1月1日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003412459

作品紹介

「今日までのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」という有名な句に始まるこの宣言は、階級闘争におけるプロレタリアートの役割を明らかにしたマルクス主義の基本文献。マルクス(1818‐83)とエンゲルス(1820‐95)が1847年に起草、翌年の二月革命直前に発表以来、あらゆるプロレタリア運動の指針となった歴史的文書である。

マルクス・エンゲルス 共産党宣言 (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読みながら考えていたのは、社会における問題の根本にあるのはなにかということ、そして社会運動の導き方について。
    前者は、マルクスにあっては資本主義経済体制があらゆる問題の根本を形作ると考えられている。この問題は今なお未解決であり、論者によって意見が分かれるものである。ウェーバーは資本のみに帰せず思想も問題にした。言うまでもなく、これはべつに経済的不平等のみを問題にするものではない。マルクスが「ここで問題にしているのは、単なる生産用具としての婦人の地位の廃止だ」(p64)で述べている通り、フェミニズムのような地位的ヒエラルキーの根本にも資本主義経済体制があるのではないか、という指摘。不平等が常に社会には存在する、というマルクスの意見に反対できる人はいないでしょう。このような不平等は結局何に帰結するのか、社会構造のどこを変えればあらゆる問題は解決するのか。現在にあってもあらゆる問題の根本をいかに捉えるか、資本主義に対する包括的かつ的確な視野は提供されていない。それはアクセル・ホネットとナンシー・フレイザーの論争にも見られる問題だとおもいます。
    後者については、実践を通じて社会主義の実現が挫折したと見られている今、資本主義の打倒を必然的なものと考える見方は廃棄されているが、しかしながら社会運動を鼓舞するために歴史の必然性を説くことは有効だったし、それが出来ない現在は大変厳しいものだと。つまり目的論的に世界は導けるかということ。運動の成功を未来にあって保証する、そのような歴史観を手にしていたからこそマルクス主義は大きな影響を及ぼし社会における実践をもたらしたのではないか。その可能性、歴史の必然を説く可能性が廃棄された今、社会運動を導く強大な基礎付けは一体どのように可能なのか。
    とにもかくにも本書が歴史的に果たした役割は大きく、その有効性は失われていない。

  • 薄い本にも関わらず、それなりに時間がかかった。
    マルクス自身も文中で触れているが、これはアジテート用に書いたものであり、それ故、なかなか迫力のある文章。
    まあ、マルクス主義も廃れている今の時代を生きているせいか、自分には与することはできないけれどね。

    『われわれと争うのはやめたまえ。諸君の思想そのものが、ブルジョア的生産諸関係および所有諸関係の産物なのだから』というロジックは、フェ◯ニストがよく反論で使う、『その考えこそ、男性主義・家父長制の思想から導き出されるもの』と言う思考回路に似ている。
    これはある意味、敵なしなのかもしれないけれど、それ以上先に進まず、また、何も産み出さないよね。
    こういったロジックの人は皆さんの周りにはいますか…?

  • おもしろかった!啓蒙を目的とするパンフレットってこういうものなんだなあと。

    抽象的な概念に類するような表現が多くて理解することは難しかったけれど(当時を生きていた人たちでさえしっかりと理解できたとはあまり思えない…)、民衆が同調しやすい、そしてしたがっている修飾語を冠した抽象的な言葉こそ最も扇動が容易な言葉なのではないだろうか。

    初めて読みましたが、共産主義について誤解していた部分が多々あったなあと知ることができました。
    私有財産の廃止、ではなく、ブルジョア的財産のみの廃止が目的みたいです。しかしいわゆる財産はブルジョア的なものがほとんどだから引いては財産全般の廃止につながってるみたいだけど。

    以下、引用。
    「ブルジョア階級は、(中略)封建的な、家父長的な、牧歌的ないっさいの関係を破壊した。かれらは、人間を(中略)結びつけていた色とりどりの封建的きずなを容赦なく切断し、人間と人間とのあいだに、むき出しの利害以外の、つめたい「現金勘定」以外のどんなきずなをも残さなかった。からあらは、信心深い陶酔、騎士の感激、町人の哀愁といった清らかな感情を、氷のようにつめたい利己的な打算の水のなかで溺死させた。かれらは人間の値打ちを交換価値に変えてしまい、(中略)自由を、ただ一つの、良心をもたない商業の自由と取り代えてしまった。」
    ここで批判。

    「ある時代の支配的思想は、つねに支配階級の思想にすぎないのである。
    一つの全社会を革命する思想というものがあるという。それはただ、旧社会の内部に新社会の諸要素が形成されたという事実を(中略)いっているにすぎない。」
    ここで納得。

    「支配階級よ、共産主義革命のまえにおののくがいい。プロレタリアは、革命においてくさりのほかに失うべきものをもたない。かれらが獲得するものは世界である。
    万国のプロレタリア団結せよ!」
    ブラボー!みたいな流れですね。

    個人的には、
    ヨーロッパには怪物が…
    あらゆる闘争は…
    のくだりよりも最後のフレーズが一番かっこいいですね。

    時代を変えるパンフレット、いろんなジャンルのものを読んでみたい!

  • これ、マルクスが29歳のときか…。読んでみて、ちょっと頭が良くなったような気は・・・あまりしない。やはり僕の感性はもう鈍りきっているのか。

    最後の文章、こないだ読んだ『若者よ、マルクスを読もう』では「鉄鎖のほか失うべきものをもたない」と書いてあったけど、僕が買ったこの第90刷は、「くさり」になっていた。なんとなく「鉄鎖」のほうがかっこいいような気がするんだけど、それは意訳にすぎる、ということなのかな。まあしかし、細かい訳をどうのこうの言ってもあまり意味はない。

  • 小さい冊子なので読んでみるといいと思う。資本主義に対する悪口としては良く出来ている。批判としても、転覆闘争を前提とするものだから痛いところを突いていると思うし、そこには確かに問題があるとも言える。そして一定の正しいことを含んでいるとも思う。だから一時、共産主義運動が世界中で起こったわけだし、人を信じさせ動かしたものがここにはあったということだと思う。結果は芳しくなかったが、全否定されるべきものでもないと思う。未解決の感情がここには描かれていると思うけれど、同時にこの視点には決定的に欠けているものがあるようにも思う。盲信することなく考える切っ掛けにしてはいいんじゃないかな。

  • 共産主義を学ぶ集中講座、終わり。マルクス、エンゲルスの「共産党宣言」、レーニンの「国家と革命」、毛沢東の「毛沢東語録(超訳)」を参考図書とした。
    まだまだ稚拙ではあるが、学びは以下2点。
    一つ目は、共産主義の真の実践者は、おそらく毛沢東ただ一人だったのであろうという理解。
    パリ・コミューンの不完全さ、ソ連の自壊、この歴史的に重要な共産主義社会はいずれも現存していない。
    しかしながら、中国共産党による中華人民共和国だけは、60年以上継続し、現存している。
    革命家としての毛沢東と、それを鄧小平が開放路線へ導いた奇跡的な進化があってのこそだとは思うが、それほど共産主義というものがユートピア的なもの(基本的に成立し得ないもの)であることを物語っている。

    そして二つ目は、世界が閉ざされ、組織や環境が硬直化すると、物事は悪い方向へ向かうということ。
    そして、世の中が悪い方向へ向かう時、暴力は正当化されてしまうということ。
    今まさに、世界中でイデオロギーが再燃しているように感じる。
    これからの未来が不安になった今日この頃。

    以下、備忘録を兼ねた概要
    「共産党宣言」
    マルクス、エンゲルスの主張。封建社会の終わりは、単に新たな抑圧者を生み出したに過ぎなかった。それがブルジョワ社会。階級闘争の終わりを目指したのが、共産主義革命。プロレタリア階級がブルジョワ階級を支配し、強力的に古い生産諸関係を廃止することで、最終的には階級そのものを廃止するという考え方。

    「国家と革命」
    国家は抑圧のための権力であり現代の国家はブルジョワジーがプロレタリアートを搾取・支配する組織である。このような階級支配を終わらせ、国家を廃絶することが究極の目的。
    マルクスによるパリ・コミューンからの学びを中心に、暴力、プロレタリアによる独裁を強調。プロレタリアート革命によるプロレタリアート独裁を経て、階級は廃絶され、国家も死滅していくという主張。そして日和見主義や無政府主義への批判、決別。

    「毛沢東語録」
    18. 愛国主義と国際主義:日本、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリアを意識。すべてのプロレタリア階級と手を組んで世界の民族と人民を解放する。民族主義や愛国主義を否定。
    19. 文化と芸術:階級を越えた芸術、政治から独立した芸術は存在しないとの理解。芸術の自由な発展、自由な議論を認めながらも、政治路線に属した芸術を否定。
    →毛沢東が、国際的な視点や芸術に対して、これほど開かれた考え方を持っていたことは意外。

  • これを読んだ当時はマルクスの慧眼に気付かなかったが、ブルデューなどの階級社会論を読んでから、なるほどと思った。かつてから階級社会では、上位の階級は国際的にラテン語でコミュニケーションを取り、さらに上位の王室では婚姻により女性を通じたコミュニケーションがあった。フランス革命時に対仏大同盟、対革命の連合が出来たのはそのような横のつながりが、国を別にしても潜在的に存在していたからである。上位こそ横の連帯が強く、国際的に融通が利くが、末端に行くにつれ人々は分割され、いわゆる分割統治の形態がとられる。中間共同体を失った近代以降では、末端の人々をむずびつけるものは無きに等しい。国単位でみても、ウォーラーステインの世界システム論では、中核国家、覇権国家程横の融通が利く産業形態を持ち(金融など第三次産業)、周縁など末端に行くにつれて潰しの利かない(すぐに産業の転換が出来ない)モノカルチャー経済化して、結果的に分割統治の垂直的関係が存在していると紹介されていると私は思う。さて、そこでマルクスが放った大号令が共産党宣言―「労働者よ、団結せよ」―である。上位の横の連帯に対抗すべく、ブルジョワの欺瞞を打ち砕くべく、下位の労働者こそが団結する必要がある。そう言ったのである。共産党宣言にこんな歴史的意義があることを、もっと早く知りたかった。

  • 「ヨーロッパに幽靈が出る」
    から
    「萬國のプロレタリア團結せよ!」
    まで
    一語一句大事に読んでいるつもりだが、
    言いたいことが頭にスッと入ってこない場面が多かった。
    見慣れない旧字体が多く出てくるため、
    その都度頭が「変換」に奪われ、
    流れに乗れなかったのも要因として大きいかも。

    この本の良さに気づくために、
    今の私には↓のような能力が足りないと感じた。
    ・当時のヨーロッパ諸国の時代背景に関する知識
    ・旧字体への慣れ

    追記:
    私が読んだのは図書館で借りた本で、
    昭和40年第二四刷発行(昭和26年第一刷発行)のもの。
    今普通に買う本なら旧字体は無くなってるのかも?

  • 今日では発展段階論的な史学理論は破綻をきたしているが、それでも新自由主義へのアンチテーゼとしては参考になる部分もままあるだろう。

    マルクス、レーニンが反動としての社会主義との区別化を図るために「共産主義」という語にこだわったということも書いてあり、20世紀に最も影響力のあった二人の思想・考えを探ることができよう。

    本書では各国版の序文も載っているので、「宣言」出版以後の共産主義の浸透を受けて書かれたエンゲルスの考えも知れて面白い。

    読んでおかなくではならない名著の一冊だろう。

  • 内容が難しい。
    まだ評価できる段階に至っていない。

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