マルクス・エンゲルス 共産党宣言 (岩波文庫)

制作 : Karl Marx  Friedrich Engels  大内 兵衛  向坂 逸郎 
  • 岩波書店
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レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003412459

作品紹介・あらすじ

「今日までのあらゆる社会の歴史は階級闘争の歴史である」という有名な句に始まるこの宣言は、階級闘争におけるプロレタリアートの役割を明らかにしたマルクス主義の基本文献。マルクス(1818‐83)とエンゲルス(1820‐95)が1847年に起草、翌年の二月革命直前に発表以来、あらゆるプロレタリア運動の指針となった歴史的文書である。

感想・レビュー・書評

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  • 読みながら考えていたのは、社会における問題の根本にあるのはなにかということ、そして社会運動の導き方について。
    前者は、マルクスにあっては資本主義経済体制があらゆる問題の根本を形作ると考えられている。この問題は今なお未解決であり、論者によって意見が分かれるものである。ウェーバーは資本のみに帰せず思想も問題にした。言うまでもなく、これはべつに経済的不平等のみを問題にするものではない。マルクスが「ここで問題にしているのは、単なる生産用具としての婦人の地位の廃止だ」(p64)で述べている通り、フェミニズムのような地位的ヒエラルキーの根本にも資本主義経済体制があるのではないか、という指摘。不平等が常に社会には存在する、というマルクスの意見に反対できる人はいないでしょう。このような不平等は結局何に帰結するのか、社会構造のどこを変えればあらゆる問題は解決するのか。現在にあってもあらゆる問題の根本をいかに捉えるか、資本主義に対する包括的かつ的確な視野は提供されていない。それはアクセル・ホネットとナンシー・フレイザーの論争にも見られる問題だとおもいます。
    後者については、実践を通じて社会主義の実現が挫折したと見られている今、資本主義の打倒を必然的なものと考える見方は廃棄されているが、しかしながら社会運動を鼓舞するために歴史の必然性を説くことは有効だったし、それが出来ない現在は大変厳しいものだと。つまり目的論的に世界は導けるかということ。運動の成功を未来にあって保証する、そのような歴史観を手にしていたからこそマルクス主義は大きな影響を及ぼし社会における実践をもたらしたのではないか。その可能性、歴史の必然を説く可能性が廃棄された今、社会運動を導く強大な基礎付けは一体どのように可能なのか。
    とにもかくにも本書が歴史的に果たした役割は大きく、その有効性は失われていない。

  • 薄い本にも関わらず、それなりに時間がかかった。
    マルクス自身も文中で触れているが、これはアジテート用に書いたものであり、それ故、なかなか迫力のある文章。
    まあ、マルクス主義も廃れている今の時代を生きているせいか、自分には与することはできないけれどね。

    『われわれと争うのはやめたまえ。諸君の思想そのものが、ブルジョア的生産諸関係および所有諸関係の産物なのだから』というロジックは、フェ◯ニストがよく反論で使う、『その考えこそ、男性主義・家父長制の思想から導き出されるもの』と言う思考回路に似ている。
    これはある意味、敵なしなのかもしれないけれど、それ以上先に進まず、また、何も産み出さないよね。
    こういったロジックの人は皆さんの周りにはいますか…?

  • おもしろかった!啓蒙を目的とするパンフレットってこういうものなんだなあと。

    抽象的な概念に類するような表現が多くて理解することは難しかったけれど(当時を生きていた人たちでさえしっかりと理解できたとはあまり思えない…)、民衆が同調しやすい、そしてしたがっている修飾語を冠した抽象的な言葉こそ最も扇動が容易な言葉なのではないだろうか。

    初めて読みましたが、共産主義について誤解していた部分が多々あったなあと知ることができました。
    私有財産の廃止、ではなく、ブルジョア的財産のみの廃止が目的みたいです。しかしいわゆる財産はブルジョア的なものがほとんどだから引いては財産全般の廃止につながってるみたいだけど。

    以下、引用。
    「ブルジョア階級は、(中略)封建的な、家父長的な、牧歌的ないっさいの関係を破壊した。かれらは、人間を(中略)結びつけていた色とりどりの封建的きずなを容赦なく切断し、人間と人間とのあいだに、むき出しの利害以外の、つめたい「現金勘定」以外のどんなきずなをも残さなかった。からあらは、信心深い陶酔、騎士の感激、町人の哀愁といった清らかな感情を、氷のようにつめたい利己的な打算の水のなかで溺死させた。かれらは人間の値打ちを交換価値に変えてしまい、(中略)自由を、ただ一つの、良心をもたない商業の自由と取り代えてしまった。」
    ここで批判。

    「ある時代の支配的思想は、つねに支配階級の思想にすぎないのである。
    一つの全社会を革命する思想というものがあるという。それはただ、旧社会の内部に新社会の諸要素が形成されたという事実を(中略)いっているにすぎない。」
    ここで納得。

    「支配階級よ、共産主義革命のまえにおののくがいい。プロレタリアは、革命においてくさりのほかに失うべきものをもたない。かれらが獲得するものは世界である。
    万国のプロレタリア団結せよ!」
    ブラボー!みたいな流れですね。

    個人的には、
    ヨーロッパには怪物が…
    あらゆる闘争は…
    のくだりよりも最後のフレーズが一番かっこいいですね。

    時代を変えるパンフレット、いろんなジャンルのものを読んでみたい!

  • これ、マルクスが29歳のときか…。読んでみて、ちょっと頭が良くなったような気は・・・あまりしない。やはり僕の感性はもう鈍りきっているのか。

    最後の文章、こないだ読んだ『若者よ、マルクスを読もう』では「鉄鎖のほか失うべきものをもたない」と書いてあったけど、僕が買ったこの第90刷は、「くさり」になっていた。なんとなく「鉄鎖」のほうがかっこいいような気がするんだけど、それは意訳にすぎる、ということなのかな。まあしかし、細かい訳をどうのこうの言ってもあまり意味はない。

  • 2011/07/10

  • "この本の出版されたころの時代背景を考えながら読んでみた。世の中をきれいに2つにわけようとするのは一神教の教えからだろうか?
    現在でも共感できる部分もあるが、不明な部分もある。当時の時代を学ぶ必要があると感じた。"

  • 図書館
    挫折

  • 二元論を軸に階層格差について論じ、
    階層の廃止を訴え、来るべき未来やあるべき社会を描き…
    迸る情熱とアジテーション、その後の歴史を大きく揺さぶったことが頷ける。

    しかし階層を乗り越えるための方法論が闘争的に過ぎるなど、現代の、また社会主義・共産主義国家の存亡を歴史の一部としてしか知らない身としては受け入れ難い部分は多い。

    ここで描かれる私的財産所有の収奪などは、
    サブスクリプションやシェアリングエコノミーにより、実はゆるやかに進行しているのではないか、という考えがふと頭をもたげた。

  • 「万国のプロレタリア団結せよ!」で有名な本です。共産主義とは何であるかについての所信表明がなされています。難解であまり良くは理解できませんでしたが、資本主義を批判し、共産主義のアピールポイントを説明したものと理解しました。ヨーロッパの政治と歴史を知らないといけない気がします。

  • 小さい冊子なので読んでみるといいと思う。資本主義に対する悪口としては良く出来ている。批判としても、転覆闘争を前提とするものだから痛いところを突いていると思うし、そこには確かに問題があるとも言える。そして一定の正しいことを含んでいるとも思う。だから一時、共産主義運動が世界中で起こったわけだし、人を信じさせ動かしたものがここにはあったということだと思う。結果は芳しくなかったが、全否定されるべきものでもないと思う。未解決の感情がここには描かれていると思うけれど、同時にこの視点には決定的に欠けているものがあるようにも思う。盲信することなく考える切っ掛けにしてはいいんじゃないかな。

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