共産党宣言 (岩波文庫 白 124-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003412459

感想・レビュー・書評

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  • 『共産党宣言』の原文和訳。内容は婉曲的であるため、前情報なしでロジックを理解することは難しい。
    ただし、文中からはブルジョア社会に対するマルクスの怒り、危機感と焦燥が伝わってくるようで、これが20世紀に世界を社会主義へと向かわせた理由が解った気がする。その意味でも一読する価値はあるかと思う。

  • 薄い本にも関わらず、それなりに時間がかかった。
    マルクス自身も文中で触れているが、これはアジテート用に書いたものであり、それ故、なかなか迫力のある文章。
    まあ、マルクス主義も廃れている今の時代を生きているせいか、自分には与することはできないけれどね。

    『われわれと争うのはやめたまえ。諸君の思想そのものが、ブルジョア的生産諸関係および所有諸関係の産物なのだから』というロジックは、フェ◯ニストがよく反論で使う、『その考えこそ、男性主義・家父長制の思想から導き出されるもの』と言う思考回路に似ている。
    これはある意味、敵なしなのかもしれないけれど、それ以上先に進まず、また、何も産み出さないよね。
    こういったロジックの人は皆さんの周りにはいますか…?

  • これ、マルクスが29歳のときか…。読んでみて、ちょっと頭が良くなったような気は・・・あまりしない。やはり僕の感性はもう鈍りきっているのか。

    最後の文章、こないだ読んだ『若者よ、マルクスを読もう』では「鉄鎖のほか失うべきものをもたない」と書いてあったけど、僕が買ったこの第90刷は、「くさり」になっていた。なんとなく「鉄鎖」のほうがかっこいいような気がするんだけど、それは意訳にすぎる、ということなのかな。まあしかし、細かい訳をどうのこうの言ってもあまり意味はない。

  • マルクス主義が最も明解かつ平易にまとめられた一冊。
    出版の当時を生きた人は、ここから資本主義・社会主義批判を学んだであろう。1989年までを生きた人は、ここからマルクス主義を学んだであろう。今日読む我々は、ここからマルクス主義の失敗の在り処を学ぶことができる。

    マルクスが強い口調で語るブルジョア批判は、貧困と格差拡大の現代日本に至ってさらに共感を呼ぶであろう。しかし、マルキストの失敗を繰り返さぬようマルクスを読むことが肝要である。
    マルクスを知らぬは無知だが、マルキストになるのも脳が無い。我々はいかなる道を採るべきか、今こそマルクスを深耕し考える時である。

  • 学生時代に持っていた書籍です。

    身分制があった時代から転換をしていた時期の「共産党宣言」について言及した書籍です。

    サービス業が全盛期になっている現代で改めてどう自分の心構えがどうあるべきかを問うています。

    社会的には身分制は廃止されている国々が大半です。
    しかし、精神的な分別、捉え方をしている人が多くなっているように思えます。

    自分を中庸に保つためにも自分を客観視しなくてはいけないということを刺激する書籍でした。

  • 怠惰や家族制の説明等は良く分かりませんでした。
    前提のブルジョア社会もまあおかしいので、時代的なところもありそう。

  • 共産主義者はすべての社会秩序を暴力的に転覆することで、その目的を達成しよう。支配階級を共産主義革命の前に戦慄させよう。労働者はこの革命によって鉄の鎖のほかに失うものはない。労働者が得るものは全世界。各国の労働者は団結しよう。労働者階級の解放は労働者自身で達成するべき。マルクス&エンゲルス『共産党宣言』1848

    暴力による革命ではなく、議会を通じて言論で社会主義を目指すべき。エドゥアルト・ベルンシュタイン『社会主義の問題』1896

    デモクラシーは腐敗した少数者の政治にとって代わった無能な多数者による政治である。▼自由は責任を意味する。そのため、たいていの人間は自由を怖れる。▼人生には二つの悲劇がある。一つは願望が達成されないこと。もう一つはそれが達成されることである。バーナード・ショウ『革命主義者のための格言』1903 
    ※フェビアン協会(後の労働党)を創設。

    鳥の歌声がいつも同じ調子にしか聞こえてこないというのは、無頓着な人間の粗雑な耳だけのことです。ローザ・ルクセンブルク『獄中からの手紙』
    ※スパルタクス団1916、ドイツ共産党を組織1918。ポーランド人。女性。

    社会主義はすべての人類に文明を行き渡らせようと欲するものである。資本主義下では、文明は少数の特権階級の独占物である。カール・リープクネヒト。演説

    国家はブルジョアがプロレタリアートを支配するための道具。国家がある限り、自由はない。国家の消滅が自由を打ち立てる。議会による漸進的な改良を目指す社会民主主義けしからん。今すぐ国家を廃止しようとする無政府主義者もけしからん(階級支配がなくなれば国家は死滅に向かう)。ウラジーミル・レーニン『国家と革命』1917 

    銃殺隊のいない革命など意味はない。流血の上に新しい社会システムを構築する。レーニン

    共産主義の急進派は現実の客観的な状勢を無視し、公式通りに行動することで、誤ったり行きすぎたりする。ウラジーミル・レーニン『左翼小児病』1920

    労働組合の運動は労働者の悲惨な労働環境を改善するためのもので、いかなる政治体制とも両立できる。シドニー・ウェッブ&ベアトリス・ウェッブ『産業民主制論』1927 
    ※フェビアン協会(後の労働党)を創設。

    企業の所有と経営が分離されるに伴い、企業者の機能の一部が職員層に委譲された。これにより労働者層とは区別されるホワイトカラー層が生まれた。マルクスが想定した労働者層の結束は弱まった。クローナ―『ホワイトカラーの社会学』1962

    資本主義が成長すると、会社の所有(創業一族)と経営は分離されていく。大会社の社長はサラリーマンのトップにすぎなくなる。ホワイトカラー労働者が増え、炭鉱などで集団で働く労働者たちは減り、彼ら貧しい労働者の団結力は影を潜める。普通選挙で政治は平等になり、福祉で貧しい労働者は救済される。労働組合や労使交渉の法整備が進み、階級闘争は暴力性を失う。ラルフ・ダーレンドルフ『産業社会における階級および階級闘争』1964

    グローバリゼーションと市場重視の(ネオリベラルな)政策により、貧富の差が拡大している。政治家は大企業を優遇。貧しい人は政治に不信感を覚え、投票にも来ない。コリン・クラウチCrouch『ポストデモクラシー』2000

  •  この宣言は1848年に共産主義者同盟の綱領として発表された。高度経済成長を背景に「一億総中流」社会を経て、真自由主義による貧富の格差が進み、さらに階級の固定化がじわりと進んでいるこの社会を見て、彼らならどのような分析をするのだろう。
     この宣言を手に取る読者は皆、そう思うのではないだろうか。

  • マルクス、エンゲルスの意図を知るために読んだ。

    誰かと対話した時、これをその通り受け止めて活動している人間か、その人の既得権益を守るためにこの書物の知名度を利用している人間かを見分ける土台を作るきっかけになったと思う。

  • 2011/07/10

著者プロフィール

カール・マルクス(Karl Marx):1818-83年。ドイツの経済学者・哲学者・革命家。科学的社会主義の創始者。ヘーゲル左派として出発し、エンゲルスとともにドイツ古典哲学を批判的に摂取して弁証法的唯物論、史的唯物論の理論に到達。これを基礎に、イギリス古典経済学およびフランス社会主義の科学的、革命的伝統を継承して科学的社会主義を完成した。また、共産主義者同盟に参加、のち第一インターナショナルを創立した。著書に『資本論』『哲学の貧困』『共産党宣言』など。


「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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