賃労働と資本 (岩波文庫 白 124-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003412466

作品紹介・あらすじ

労賃とは何か、労賃はいかにして決定されるか、という身近な問題から出発して価値法則を簡潔に説明し、剰余価値の成立を明らかにする。マルクスがこれを『新ライン新聞』に連載してから百数十年、資本制的搾取の仕組を暴露したこのパンフレットは世界各国の労働者に広く読みつがれてきた。主著『資本論』への最良の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 資本論の入門書として素晴らしい良書。

  • 資本の自己増殖、疎外された労働、賃金の決定など、マルクスの考え方の基本が網羅されている。文体は難しく見える表現(読書初心者なので「けだし」なんて表現初めて見ました……)が随所にあるが、読みやすく、サクサクとページを捲れるのは、それだけ賃労働というテーマが現代社会でも身近であること、マルクスの主張が自分達の感じるものと近いところがあるからだと思う。
    賃労働をする1人の人間として、読んでよかったと思える。この本を読んで真っ先に感じられるのは、「たくさん稼いで幸せになる」という発想に限界があることだ。「今私たちは何のために働いているのか?」ということを容赦なく問いかけ、突き付けられる。アルバイトを始めた学生や、就活・転職活動に悩む人達にぜひ読んでほしい。

  • 資本と労賃の関係。資本が増大すれば労賃は下落する。この矛盾を説明しています。

  • [2022年1月3冊目]資本主義の持つ仕組みとして、労働者と資本家との格差増大が起こることについてわかりやすくまとまっている。
    マルクスの思想に触れてみたいと思って本書を手に取ったのは読み易さ、短さ等から考えても適切だったように思う。

  • 『人新世の資本論』を読んで以来、挑戦したかったマルクス。

    思っていたより幾分かは読めるものだった。

    資本の追求というものは際限がなく、資本が拡大するにつれ労賃は目減りしていき労働者間の競争も激しくなる。
    一方で資本の拡大は賃労働にとって好都合、つまり機械化や技術革新により安く雇って一人が十人前の生産をしてくれるようになる訳で、それで得た資本は労働者に返ってくるのではなく更に生産力・販路の拡張に使われる…という感じであろうか。



    改版90刷
    2021.6.3

  • 賃労働と資本
    (和書)2008年10月20日 22:32
    2002 岩波書店 カール マルクス, Karl Marx, 長谷部 文雄


    抜粋
    「・・・・最後に、・・・商業世界が富・生産物・および生産諸力さえもの一部分を冥府の神々に犠牲とすることによってのみ耐えられるような地震が、 - 一言で言えば恐慌が、増加する。・・・・」

    哲学批判・経済学批判が「生贄の論理(支配者の論理)」批判(吟味)として読めると言うことを示している。資本論を読むのにとても参考になるのではないかと思う。この主題はとても普遍的な見方を有していると思われ、左翼に限らずこれを読むことはとても有意義だと思う。

  • 資本論もこれらも読んでおりません。
    家にはありました。いつか読めたら…と思います。
    祖父はいつまでもこれらの哲学にこだわっていて、私は「もういいじゃないの」と思っていたし、読んでいませんがそう思っていました「違うのよおじいちゃん」と。
    祖父が死んでもうだいぶ経ちますが、せめて読んでから祖父のことを評価したり批判したりすれば良かったと当時を振り返ります。

  • 労働者は生きる生活の糧の為に、自身の労働力の源泉となる時間を資本家に売る。

    資本家はその労働力を使い、資本を益々増大させ、労働者に生きる糧の為の必要最低限の賃金を与える。

    機械化による分業化によって、より大量の生産物をより安価に生産する競争が起こる。

    それにより、その進むのと同じ程度で労働が簡易化され肉体的にも精神的にも頭脳を働かせることのない単純単調作業によって、誰にでもとってかわれる労働力となる。

    簡易化かつ生産費の減少によって、労賃は益々下落し、格差が拡がる。

  • とてもコンパクトにマルクスの思う賃労働と資本の関係について書いてある。短い冊子なので通読するのに苦労はしない。マルクスにふれるきっかけとしてはわかりやすい方だと思う。

  • ますます大きく急速にとって代わりあっているもろもろの発明や発見は、この前代未聞の程度で日々高まってゆく人間労働の多生産性は、ついには、今日の資本主義経済がそのために滅亡せざるをえない葛藤を生み出す。一方では、計りしれない厖大な富と、取得者が使いこなしえない諸生産物の過剰。他方では、社会の大衆がプロレタリア化され、賃労働者に転化され、そしてそれ故にこそ、かの過剰生産物をわがものとしえなくなる。少数の法外に富裕な階級と、多数の無産賃労働者階級とへの社会の分裂の結果として、この社会はそれ自身の過剰生産物に窒息しながら、その成員の大多数はほとんど、またはぜんぜん、極度の窮乏から保護されていない。

    最初の課題の一つは、この、一見したところ商品価格を支配する偶然の背後にかくれているが実はこの偶然そのものを支配している法則を探求すること。

    古典派経済学は、商品の価値が、その商品に含まれるーその商品の生産に要するー労働によってけってされることを発見。

    マルクスは、はじめて労働の価値形成的性質を根本的に研究し、そしてその際、一商品の生産に外見的または現実的に必要なそれぞれの労働が、この商品にたいしいかなる場合にも、消費されあ労働量と一致するある価値の大いさを付加するのではない、ということを発見。

    労働者の生産費とは何かを研究。

    人間の血と肉とほかには何らの容器ももたないこの独自な商品の価格の別名に他ならない。

    商品の価格は何によって決定されるか?
    労働が必要とする育成時間が少なければ少ないほど、その労働者の生産費が少なく、彼の労働の価格すなわち彼の労賃がそれだけ低いわけである。

    生産的資本の増大は、労賃にいかなる影響を及ぼすか?

    分業が進むのと同じ程度で、労働が簡単化される。労働者の特殊的な熟練は無価値となる。彼は、肉体的弾力も精神的弾力も働かせる必要のない簡単で単調な生産力に転化される。

    資本が急速に増大すれば、労働者間の競争は遥かに一層急速に増大する。すなわち、労働者階級のための雇傭手段たる生活手段は相対的にますます減少するが、それにもかかわらず、資本の急速な増大は賃労働にとって最も好都合な条件なのである。

  • 20130429

  • 労働はどんどん単純化されるだとか、色々今でも通じる考察がある一方で、資本家と賃労働者しかありえないのかという印象をうけるような単純化もあり、首を傾げつつ読んだ。

  • 数式にしたらよりわかりやすい表現も多々見られるので、この本を最初に読むのは辛いと思う。マルクス資本論を現代的にわかりやすく直した本は他にたくさんあるので(難易度も様々、中には漫画まである)それらを読んだ後にコレを読んで資本論を読む方が効率的であると思いました。ただ何度か挑戦する気概のある方はこの本から挑戦しても(本文自体は数十頁分と割と短いので)良いと思います。

  • 薄い本であるが,理解に手間取りずいぶんと時間をかけてしまった.
    金持ち父さん貧乏父さんを読んで,面白いと感じた人なら必ずこの本のおもしろさがわかるはず.いろんな書評で,マルクスの中ではこれが入門書として適切らしいし,オススメ.
    その昔,多くの若者たちがマルキシズムに見せられたわけがよくわかる.全く現状はかわっておらず,悲しくなった.

  • 渡辺広明先生推薦

    若いうちは、いろいろな視点の本を読んでもらいたいと思います。今まで多くの皆さんが触れることのなかった図書です。この著作は、資本主義生産の秘密・本質を解明したパンフレットです。

  • 学生時代に読んだ(読まされた)本。余剰価値がどうのこうのという内容。

  • 労賃とは何か、労賃はいかにして決定されるか、という身近な問題から出発して価値法則を簡潔に説明し、剰余価値の成立を明らかにする。マルクスがこれを『新ライン新聞』に連載してから百数十年、資本制的搾取の仕組を暴露したこのパンフレットは世界各国の労働者に広く読みつがれてきた。主著『資本論』への最良の入門書。

  • 資本論をかいつまんで書いてあります。
    自分は頭が弱いので、薄いのにかなり読むのに時間が掛かりましたが、なかなか読み応えがあります。
    マルクス経済学で欠かせない「剰余価値」。これについても書いてあります。簡単に言うと労働者の作った賃金以上の新たな価値のことです。
    いつか資本論も読んでみたいですが、文庫本でかなり量みたいなので無理っぽいですが^^;

  • 古いせいか、とても読みにくかった… 無駄に詩的な表現が多くて「もっと簡潔に書かんかい!」と言いたくなります。 そんなわけで、ざっとななめ読みした限りではこんな内容のようでした。 <li>労働者は自分の労働力=時間を、資本家に売ることで生計を立てる。 <li>労働力の価格は市場原理によって決定される。なので労働者の生活に必要な費用(原価)を大きく下回ることもありうる。 <li>売った労働力は資本家のものなので、それを使って生み出された価値(剰余価値)は資本家の懐に入る。これが搾取に見える。 <li>労働者が増えるほど労働力(の相場)は安くなるので、資本家は労働者の繁殖を促す。 <li>労働から専門性を極力除外することで、労働力の流動性が高まり、安く調達できるようになる。 今となっては当たり前のことですが、この当時には画期的な発見だったんでしょうね。

  • なるほどって思うところがいくつかありました。

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著者プロフィール

カール・マルクス(Karl Marx):1818-83年。ドイツの経済学者・哲学者・革命家。科学的社会主義の創始者。ヘーゲル左派として出発し、エンゲルスとともにドイツ古典哲学を批判的に摂取して弁証法的唯物論、史的唯物論の理論に到達。これを基礎に、イギリス古典経済学およびフランス社会主義の科学的、革命的伝統を継承して科学的社会主義を完成した。また、共産主義者同盟に参加、のち第一インターナショナルを創立した。著書に『資本論』『哲学の貧困』『共産党宣言』など。


「2024年 『資本論 第一巻 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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