資本論(マルクス) 2 (岩波文庫 白 125-2)

制作 : F.(フリードリヒ)エンゲルス 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003412527

感想・レビュー・書評

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  • 本書を読むと、資本主義社会は人の欲望を悉く見える化し、それにより社会の変化や発展を急激に加速させたのだということがよく分かる。この分冊では、(主に工場における)劣悪な環境を生々しく描くことにより、資本の持つ残虐さを自分たちに伝えてくる。(もちろんそれは、急激な変化に対して試行錯誤する社会、という一面もあり、全てが全て資本のせいだとは言えないのだけども。)

    本分冊を読んで最も感じたのは「技術の発展・機械の導入によって、自分達の仕事がどんどんなくなっていく」という認識は誤りだということだ。本書を読んで、仕事はなくなっていくのではなく「誰でもできるもの」になってしまったのだと分かった。つまり、機械の導入は私達の仕事を減らすのではなく、その姿を変え、敷居を下げ、私達でない誰かに仕事の主体を移すに過ぎないということだ。

    現代社会でいえば、その「誰か」は最早人ではなく、AIということになってくるのだろうか。そしてそんな社会が完成したとき、自分達はAIに情報を垂れ流すだけの、個と乖離した1つの「データ」にすぎなくなってしまうのだろうか。資本論が描いたものと違う時代にあるとはいえ、その変わらない性格が現代社会にどう作用していくのだろう、ということはこれから勉強していきたいし、考えながら生きていきたい。

  • ようやく岩波文庫の(二)を読了。目次に第1巻とあるのは何故だろう、と訝しんだが資本論というのは第3巻まであって、その第1巻が岩波文庫の(一)〜(三)に相当するのだということを初めて知る。先は長い。

     (一)に比べて圧倒的に読みにくい。19世紀の西洋世界の製造業における労務関係の諸問題が実例を豊富に用いることで実証的に説明されているが、率直にいって過多である。しかしいくつかの実例は、特に工業化を推し進めあくなき価値増殖の追求を試みる初期資本家の獰猛さが感じられて興味深い。
     
     価値を商品に移転させるのみの労働(不変資本)と、価値を創造する労働(可変資本)。この「労働の二面性」の存在を本能的に嗅ぎとった資本家たちは、価値を創造する剰余労働時間を最大化すべく、生産力を上げて商品を低廉化するため人的労働力を機械に置き換えることで、「相対的剰余価値」を増加させ「特別利潤」を得ようとする。本書を要約するとこんなところか。

     ここでの「資本」という言葉の使い方が面白いと思った。現在この言葉に込められる「元手」や「利益の集積」といったニュアンスはほとんどなく、あくまで労働から商品へと移転されたり付加されたりする「価値」を流通させる媒体のようなイメージ。マルクスという思想家には、勃興する工業化社会の裏側にこういう価値の流れが透けて見えていたのだ。「流れ」で価値を測るから質より量が重視される。マルクスが幾度となく「量が問題だ」と繰り返すのもなんとなく肯ける気がする。

  • ”労働はまず第一に、人間と自然とのあいだの一過程である。”(p9)
    労働の単純な諸要素
    目的に合致する活動、労働そのもの、その対象、その手段。
    労働対象:天然に存在する労働対象(水、魚、etc)、原料
    労働手段:土地、石製道具など、加工された石、木、骨、飼育動物
    フランクリン 人間を「道具を作る動物」と定義。

    マルクスは言う。「労働力は、商品である。」と。

    ”資本家による労働力の消費過程として行われるような労働過程は、二つの特有な現象を示す。”(p21)

    ”彼が資本家の作業場に入った瞬間から、彼の労働力の使用価値は、したがってその使用、労働は、資本家に属したのである。”(p21)

    ”プロレタリアは、その労働を一定量の生活手段と引き換えに売ることによって、生産物におけるすべての分け前を完全に放棄する。”シェビュリエ『富か貧か』より。(p22注(10)より。)

    そして、マルクスは、生産過程を価値形成過程としても、分析する。

    資本形成過程において、労働力の質は問わない。

    ”もはやここでは、労働の質、性状、および内容が問題となるのではなく、ただその量が問題となるにすぎない。”(p28)

    より高度な、より複雑な労働は、マルクスによれば、より高い労働者の養成費を含み、その生産により多くの労働時間を要するため、より高い価値となって対象化されるという。
    そして、高級な労働1日は、x日の単純労働へと量的に還元される。(p43)

    「生産物の価値は、労働力を含む、投入された商品価値の総額に等しく、余剰価値は、生じない。」

    ”依然として剰余価値は、労働の量的超過によってのみ、同じ労働過程の、一つのばあいには撚糸生産の過程の、他のばあいには宝石生産の過程の継続時間の延長によってのみ、出てくるのである。”(p42)

    この矛盾は、資本家が、生活費を稼ぐのに必要な労働価値を生じさせる労働時間以上に、労働者を働かせること(価値増殖過程)によって、解決し、資本家は、余剰価値を生み出すとマルクスは言う。

    不変資本と可変資本。

    第7章 第1節 労働力の搾取度

    資本C=生産手段に支出される一定の貨幣額 c + 労働力に支出される他の一定の貨幣額 v

    c: 不変資本
    v: 可変資本

    商品価値 C' = ( c + v ) + 剰余価値 m

    労働を加えたからといって、必ずしも商品価値に、労働価値が付加されないのではないか?

    剰余価値率 資本家による労働者の搾取度の精確な表現。
    剰余価値率=m/v=剰余労働/必要労働
    必要労働とは、労働者自身が生活するための賃金を得る労働時間である。
    剰余価値率が100%の場合、労働者は労働日の半分を自分のために、他の半分を資本家のために労働したことになる。



    (感想)
    使われている言葉自体は、新規なワード、難解な言葉はない。

  • 資本論 2/9
    読みにくいが、8章「労働日」以後を読むと、資本論が 、階級闘争をテーマとしていることが よくわかる。マルクスが 労働者に 革命行動を呼びかけている。資本家を 人格化した資本システムとして 批判している

    13章「機械装置と大工業」における機械装置は 人口知能とリンクした

    いろいろな統計資料から 理論を組み立てているので、机上の空論や理想論に感じない

  • 読了。読了。読了。やっと読めた。500ページあった。まだ、あと6巻ある。工業化されると、熟練労働者は減り、単純労働者に代わり、さらに、女性、児童に変わっていくことが、書かれていた。150年前のイギリスの話である。ラピュタのパズーもそうなのだとわかった。現代に置き換えると、外国人労働者や貧困女子にあたり、今も全く進歩してないのではと感じた。蒸気機関をコンピューターに置き換えると似ているのではと感じた。次三巻だ。少し気が重い。

  • 輪読会用として、2016年1月7日、HMVに発注。1月9日到着。輪読会の趣旨が思惑とまるで違うので退会した。自分で読み継ぐのは難しい。翻訳は意外に良くない。

  • 剰余価値の生成過程について。
    労働時間延長による絶対的剰余価値
    協業、分業による相対的剰余価値
    機械による相対的剰余価値の生成
    機械の労働者に与える影響
    機械による生産性の向上の負の側面

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(佐藤優選)56
    社会・経済についての知識で、われわれが置かれた制約を知る

  •  
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003412524
    ── マルクス&エンゲルス・編/向坂 逸郎・訳《資本論(二)19690116-19801020 岩波文庫》
     

  •  2巻(岩波文庫での、である)は1巻よりも長かった。かなり長かった。読むのしんどかった。哲学的な1巻に比べて、なんだか歴史的なことがたくさん出てきて、非常に読みづらかった。2008.5.30-(31)-6.10(12d).

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著者プロフィール



「2013年 『フランス語版資本論 下 〈オンデマンド版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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