帝国主義―資本主義の最高の段階としての (岩波文庫 白 134-1)

著者 :
制作 : 宇高 基輔 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 148
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003413418

作品紹介・あらすじ

附録: バーゼルにおける国際社会党臨時大会の宣言

感想・レビュー・書評

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  • 以前からレーニンの帝国主義論は知っておきたいなと思い買っておいたが,ちょうど講義の補足資料として読むのにいい機会だった。本書は第一次世界大戦,ロシア革命ののただなかに出版されたようで,原題は『資本主義の最高の段階としての帝国主義』という。序言にも書かれているが,ツァーリズムという当時のロシア君主体制における検閲を想定し,社会主義を目指すような思想書としてではなく,資本主義の現状を分析する経済書としての形式を保っている。ということで,以下のような目次である。

    第一章 生産の蓄積と独占
    第二章 銀行とその新しい役割
    第三章 金融資本と金融寡頭制
    第四章 資本の輸出
    第五章 資本家団体のあいだでの世界の分割
    第六章 列強のあいだでの世界の分割
    第七章 資本主義の特殊の段階としての帝国主義
    第八章 寄生性と資本主義の腐朽化
    第九章 帝国主義の批判
    第十章 帝国主義の歴史的地位

    本書は基本的に既存の経済研究を基に,データの提示と多くの引用がなされている。資本主義の大国として,イギリス,フランス,アメリカ合衆国,ドイツに関するさまざまなデータが提示されながら,議論が展開する。大企業への労働者,資本の集中,大銀行への資本の集中の状況が確認され,特に銀行に着目し,その資本を流動化させ,時間を利用し,金利から利潤を生むという資本主義における重要性が指摘される。それは商品の輸出から資本の輸出へと移行し,外国への投資は資本主義を帝国主義へと移行していく。自由競争の資本主義から過渡的な独占の資本主義へ,資本家たちの独占団体(カルテル,シンジケート,トラスト),資本主義諸国の植民政策と金融資本との密接な結びつきと展開し,19世紀末には地球上の未占有地の占取が終了する。
    本書で帝国主義は資本主義の独占段階と定義され,1 高度の発展段階に達した生産と資本の集積,2 金融資本を土台とする金融寡頭制の成立,3 商品輸出と区別される資本輸出,4 国際的な資本家の独占団体が世界を分割,5 資本主義的諸列強による地球の領土分割が完了といった特徴が示される。
    さすがに歴史的古典だけあって,とてもよく書かれています。勉強になります。

  • (1973.07.14読了)(1973.06.29購入)
    (「BOOK」データベースより)
    20世紀初頭に書かれたレーニンの代表的論文。変貌を続ける資本主義を理解するためにもう一度読まれるべき書物である。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(佐藤優選)57
    社会・経済についての知識で、われわれが置かれた制約を知る
    資本主義が発展すると、株式会社が発展し、銀行の機能が強まり、金融資本主義が出現する論理関連をわかりやすく書いている。

  • 【新歓企画】ブックリスト:「大学1年生のときに読んでおきたい本たち」
    一つの国で生まれた需要がやがて周辺の国々に影響し、そして世界に溢れ出す。「お金の流れ」という観点から近代世界の成り立ちを解説、歴史のルーツは経済にある! 近代の世の中が出来上がる過程が手に取るように実感できます。あなたがアルバイトで得るお金も歴史のルーツの一部かも。【K.H.】

  • 光文社現代文庫版で2年ほど前に読んだが、そのときは私の学習不足が祟ってあまり理解することができなかった。
    改めて読むと、とても内容を理解することができた。

    ・古い資本主義は自由競争、新しい資本主義は独占段階。イギリスは1860年代を境目に自由競争が頂点に達した。
    ・「フランスは金融王国である。」実際に様々な国家に借款をしていた。
    ・帝国主義の本質は産業資本ではなく金融資本である。現にフランスは産業資本が衰微しているのに、金融資本によって併合の野望をかき立てている。
    ・帝国主義国家では労働者が分裂し、日和見主義が横行している。

    などなど、光文社古典新訳文庫を読んだときでは理解できなかったことも、一応理解できることが多かった。知識が増えたからだろうか。
    あと解説のところで、「レーニンは、帝国主義以前の資本主義時代にマルクス主義者の間で支配的であった古い公式(先進資本主義コクの全てでプロレタリア革命を起こす)は、もはや歴史的情勢に適応しなくなっており、この公式は一国だけでも社会主義が勝利することは可能であるという結論に達した。」という下りがあるが、レーニンはトロツキー(世界革命論)を「よきボルシェビストである」と賛美しているので、嘘ではないだろうか。もっとも、翻訳された当時(1968年)の世界の共産主義者がスターリンを賛美していたことから、仕方ないのかも知れないが・・。

  •  イデオロギー的著作。マルクス主義者からは評価の高い著作かもしれないが、資本主義を駆逐する為に資本主義と同様の暴力や革命を使う、結局レーニン自身がカウツキーを非難しているのと同様の点がレーニンにも指摘できるのではないか?勿論、同時代的な時代認識と問題を理解する際には、カーの『危機の二十年』を読んでいれば参考になる点もあるだろう。例えば、理想主義に隠れた列強のパワーや帝国主義的側面など。但し、レーニンの汚い言葉による他者への批判は、この本がイデオロギー的なもので、学術的な価値は訳者が述べるような側面に比べて少なく、同時代的な現状分析と一つの仮説の提供(資本主義の最終段階が帝国主義であるという仮説)以外は、大した評価が出来ないという事がわかる。

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