恐慌論 (岩波文庫)

著者 :
  • 岩波書店
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003415115

作品紹介・あらすじ

資本主義経済に特有な恐慌現象の必然性を、その根拠と発現の機構にわたり原理的に論証する、日本の代表的マルクス経済学者宇野弘蔵(1897‐1977)の記念碑的著作。恐慌は、なぜ、どのようにして発生するのか?"宇野理論"の精髄を伝え、現代の資本主義と社会主義の再考にも多大な示唆と影響をあたえる恐慌研究の白眉。

感想・レビュー・書評

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  • 新書文庫

  • 宇野弘蔵の経済学では、
    背景となる社会科学と弁証法。
    原理となる経済原論。
    は非常に評価は高いが、
    段階論と現状分析は評価が低い方がいる。

    宇野弘蔵の経済学は、段階論と現状分析の中から原理を抽出したものであって、
    歴史を紐解けば、古典経済学の流れを汲むとはいえ、その発想の斬新さを知ることができる。

    逆に言えば、古典経済学の日本における古典なので、新しいものが好きな人にはちょっとかもしれない。
    文章も、理念が先行していて、現実の均衡のとれた多面的な分析や、模型の精密化などはここにはないかもしれない。

  • 岩波文庫(白) 080/I
    資料ID 20102003984

  • 宇野弘藏は、若い頃は一言半句も理解できなかったように思う。30年の後に読めば、難渋な語り口から伝わってくる宇野弘藏の逡巡、確信を含め、胸打つものがある。

    しかし、理解できることが必ずしも良いというわけでもない。理解できてしまっては、そこからは実は何も生まれない。疑問に思うところからすべては始まるのだから。年を取るというのはそういうことでもある。

  • この本は序章が非常に長大であるが、序章だけでも宇野弘蔵の「原理論」と「発展段階論」が理解できる。本人も「不釣合に長くなった」と云っている。しかしここだけでも非常に価値のある文章ではあろうと思う。

    この本はひたすら難解であるが、根気よく読み進めていくと―半ば意味もわからず字面を追うことにもなりかねないのだが―ところどころに単純明快な一文が現れ出ることもある。
    もう一度通読したほうがいいかもしれない。

    とにかく資本主義社会における「好況→恐慌→不況→回復」の道筋は単純な繰り返しではなく、資本主義の生産力を発展させながらの繰り返しということになる。それは固定資本への投資が増えるということになり、利潤率の傾向的低下につながるになるはずなのだが―それは労働力商品という矛盾がそれの根底にありそれがなければ利潤率の低下は起こりえないと宇野は云っている―つまり資本過剰が起こる。
    宇野は別のところで、資本が巨大化すると景気の循環が緩慢になるとも説いているし、不況期には各会社がきそって損失逃れをしようとする、とも説いている。個人的には寡占市場になれば不況が常態化するのではないかとも思うのだが、そこは読み取れなかった。もう一度通読する必要があるように思う。一回通読したのでは読み取れることが少なかった。

    全くの私見であるのだが、この本は同じことを何度も何度も繰り返して述べているように思う。恐らく大事なことは何度か繰り返す必要があるのかと思うのだが、文脈が散ってしまい、大事なところが逆に読み取りにくくなっているのではなかろうか。
    つまり推敲の余地があるのではないのかと思ったのだが、これは宇野の文章全般に言えることなのだろうか。

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著者プロフィール

1897年倉敷に生まれる。東京帝国大学経済学部卒業後,ドイツに留学。帰国後,東北帝国大学助教授。1938年人民戦線事件に連坐。日本貿易研究所,三菱経済研究所勤務を経て,戦後東京大学社会科学研究所教授,法政大学教授を歴任。1977年死去。『宇野弘蔵著作集』(全11巻,岩波書店),『恐慌論』『経済原論』(岩波文庫),『資本論に学ぶ』『社会科学としての経済学』(ちくま学芸文庫)ほか。

「2017年 『資本論五十年 下 〈改装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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