社会学の根本概念 (岩波文庫 白 209-6)

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  • Amazon.co.jp ・本 (104ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003420966

作品紹介・あらすじ

社会学の泰斗マックス・ヴェーバー(1864‐1920)がその死に先立って社会学上の重要な諸概念を定義的に明らかにしようと試みた論文。宗教、経済、政治、法律などの各領域で社会学的研究を成しとげたヴェーバーの社会学に関する根本的な考え方を知るために貴重な文献である。なだらかな日本語に移した本訳書は初学者にもすすめたい。

感想・レビュー・書評

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  • 社会学の根本概念
    著:マックス・ヴェーバー
    訳:清水 幾太郎
    岩波文庫 白209-6

    難読書

    社会科学の定義とは、どうもあいまいというのが本音です
    辞書をひいていくと言葉がぐるぐるしてしまう
    エクセルでいうと、相互参照エラーといったところですか

    普段、なにげにつかっている言葉を定義しなおそうとすると、ペダンディック(学者ぶった)になりがちだと
    著者のマックス・ウェーバーも冒頭でいっているのが笑えます。

    訳者は「筆者の死に先立って、社会学上の重要な諸概念を定義的に明らかにしようと試みたのがこの書である」と語っています。

    マックス・ヴェーバが定義した社会学の用語

    ■社会学
    社会学 行為 社会的行為

    ■社会的行為
    目的合理的行為 価値合理的行為 感情的・エモーシャルな行為 伝統的行為

    ■社会的関係
    関係 社会的関係

    ■社会的行為
    習慣 慣習 利害関係によるもの 流行 慣例 法

    ■闘争
    闘争 平和的闘争手段 競争 ルールある競争 淘汰 社会的淘汰 生物的淘汰

    ■共同社会関係
    共同社会関係 利益社会関係
    外部に対して開放的である 外部に対して閉鎖的である
    権利 仲間 権利上の仲間 利益社会の財産 自由財産
    家族関係 恋愛関係 信頼関係 信仰団体 経済団体
    メンバーの相互関係

    ■代表権
    代表権 代理権 法定代理権 任意代理権
    受動的連帯責任 能動的連帯責任
    団体 憲法
    行政秩序 行政団体
    既成秩序 既成団体
    経営 経営団体 任意団体 強制団体

    ■権力と支配
    権力 支配 規律 支配団体 
    政治団体 宗教政治団体 国家 

    目次

    はしがき
    第1節 社会学と社会的行為
     1  方法の基礎
     2  社会的行為の概念
    第2節 社会的行為の種類
    第3節 社会的関係
    第4節 社会的行為の諸類型―習慣と慣習
    第5節 正当なる秩序の概念
    第6節 正当なる秩序の種類―慣例と法
    第7節 正当なる秩序
    第8節 闘争の概念
    第9節 共同社会関係と利益社会関係
    第10節 開放的関係と閉鎖的関係
    第11節 代表権
    第12節 団体の概念と種類
    第13節 団体の秩序
    第14節 行政秩序と既成秩序
    第15節 経営、経営団体、任意団体、強制団体
    第16節 権力と支配
    第17節 政治団体と宗教政治団体
    訳者注
    訳者の言葉

    ISBN:9784003420966
    出版社:岩波書店
    判型:文庫
    ページ数:104ページ
    定価:500円(本体)
    発売日:1972年01月17日第1刷
    発売日:2018年08月06日第60刷

  •  社会を人と人との関係として捉えた時、その関係にはどの様な物があるのか、そして関係があるとはどういうことなのかを体系的にまとめている。関係を持つ対象として、個人の内面、1体1、少数の集まり、企業・政治・宗教などの団体を挙げ、関係性についてもは協調、競技などの競争も含めた闘争から法律・権力・伝統・戒律などによる支配など、なぜ研究の対象となるのか述べられている。少ないページ数ながら、社会学の研究において、何を対象としなければならないのか、あるいは何が対象となり得るのかを一覧することができる良著。

  • えーっと、一言で言うと「全然わかりません」。

    印象に残ったのは「因果関係は飽くまでも仮説的にとどまる」という点かなあ。

    「現実の認識過程は、初めに、経験的観察がいろいろと行われ、その後で、解釈が作られるという過程であった。この解釈が成功しない間は、因果関係を求める私たちの気持は決して満たされることがないであろう。しかし、その半面、観念的に推論された行動の経過を仮定しても、それが或る程度まで実際に起こったという証拠がない限り、法則自身がいかに明確でも、現実の行為の認識にとっては、価値のない観念的構成物ということになるであろう」(p18〜19)

    歴史学は「実際に起こったという証拠」から「法則」や「仮説」を考えるものだと思う。法則だけでは「現実の行為の認識にとっては、価値のない観念的構成物ということになるであろう」というウェーバーの言葉は、歴史学にとっていまだに力を持っている言葉だと思う。

    …まあそもそも、ウェーバーとかに社会科学の方法を学んでる時点で、歴史学はその方法を誤ってきたという声が衣笠のほうから聞こえてきそうだが。

  • 社会学のアプローチの視点に触れられた。経済学やマーケティングといったものの原型に感じられるものもあった。現時点で十分な理解ができているとは思えないので、何度か読み返す必要がある。

  • 100ページ程度の本だが、読み進めるのが難しく苦労した。
    他の方々もレビューしている通り、行為の意味を理解することがウェーバーの社会学の基本にあたる。
    しかし、読み進めるのは難しかった。
    様々な用語とその定義を説明するが、用語定義が詳細なようで甘く(私の理解不足かもしれないが)と、各用語がどう関連しているのか分かりづらかった。
    行為、主観的、反射的、合理的、感情的、直接的、説明的、意味適合的、因果適合的、動機、社会的行為、純粋類型、習慣、慣習、秩序、共同社会関係、利益社会関係...などがどう関連するのか悶絶、想像しながら読むと結構長く付き合える。
    本作で最も有名な社会的行為の種類(目的合理的行為、価値合理的行為、感情的行為、伝統的行為)だと思うが、それ以外にも見どころとしては多く、価格も安くコスパが良かった。

  • 名著というので読んだ。原著が30ページなのを翻訳で倍の60ページになっている。紙も黄色く活字も小さいので読みづらい。プックレットの形式でもいいのではないか。

  • 人の行為には意図や意志がある。人々が自分の行為にどのような意味を持たせているのか理解したい。社会現象を個人の行為の意味から理解しよう。▼行為にはいろんな意味がある。目的を達成するため(お金を儲けるために商売)。ある価値感に従ったもの(お祈り,道端のゴミを拾ってゴミ箱に捨てる)。感情や気分(悲しくて泣いてしまう)。身に付いた習慣(朝起きたら顔を洗う)。▼欲求「~したい」(資源はあるか、~すべきか、~してよいか、価値規範)→目的「~しよう」→資源の動員→行為「~する」。マックス・ヴェーバーWeber『社会学の根本概念』1922

    私たちは思考パターンをもっている。私たちが日常において「現実=リアリティ」だと思っているのは、意味の秩序として主観的に構成されたものにすぎない。現実は経験の意味によって構成される限定的な意味領域。現実は経験から独立して存在しているのではない。意味領域は日常の世界以外に、空想の世界・夢の世界なども「現実」として経験される。cf.現象学。▼他人は私と同じ日常の思考パターンを持っていない。国家・民族・職業・学校・年齢・性別・地域によって、人は違う意味世界をもつ。私たちはみな「何を大切に思うか」が違う。あの人はなぜこの時間にこの場面であの行為ではなくこの行為・知覚を選ぶのか。私には理解できない。「何を大切に思うか」行為・知覚の規準が共有されるとき、私たちははじめて相互理解が可能になる。▼意味世界が安定しないのも近代社会の特徴。アルフレッド・シュッツSchutz『社会的世界の意味構成』1932

  • 近代社会学の祖であるマックス・ヴェーバーによる社会的営みにおける諸概念の考察。厳密に諸事象を推敲し定義する手法は、彼の思考回路の源泉に触れるようでなかなか興味深い。本書自体が何か示唆に富み面白いかと言われると微妙だが、100頁程度で哲学的に言語を分解・整理する方法を体験するという点では読んでおく価値はあろう。

  • 頑張って目を通したが、理解したとは言いにくい。色々と、バックグラウンドが必要に思いました。

  • 【目次】
    はしがき
    第一節 社会学と社会的行為
     一 方法の基礎/二 社会的行為の概念
    第二節 社会的行為の種類
    第三節 社会的関係
    第四節 社会的行為の諸類型――習慣と慣習
    第五節 正当なる秩序の概念
    第六節 正当なる秩序の種類――慣例と法
    第七節 正当なる秩序
    第八節 闘争の概念
    第九節 共同社会関係と利益社会関係
    第一〇節 開放的関係と閉鎖的関係
    第一一節 代表権
    第一二節 団体の概念と種類
    第一三節 団体の秩序
    第一四節 行政秩序と規制秩序
    第一五節 経営、経営団体、任意団体、強制団体
    第一六節 権力と支配
    第一七節 政治団体と宗教政治団体

    訳者注
    訳者の言葉

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著者プロフィール

1864-1920。ドイツ、エルフルトに生れる。ハイデルベルク、ベルリン、ゲッティンゲンの各大学で法律学を専攻し、歴史、経済学、哲学に対する造詣をも深める。1892年ベルリン大学でローマ法、ドイツ法、商法の教授資格を得、同年同大学講師、93年同助教授、94年フライブルク大学経済学教授、97年ハイデルベルク大学経済学教授、1903年病気のため教職を去り、ハイデルベルク大学名誉教授となる。1904年Archiv für Sozialwissenschaft und Sozialpolitikの編集をヤッフェおよぴゾンバルトとともに引受ける。同年セント・ルイスの国際的学術会議に出席のため渡米。帰国後研究と著述に専念し上記Archivに論文を続々と発表。1918年ヴィーン大学教授、19年ミュンヘン大学教授、経済史を講義。20年ミュンヘンで歿。

「2019年 『宗教社会学論選 【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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