ある革命家の手記 下 (岩波文庫 白 218-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003421833

感想・レビュー・書評

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  • 官僚の陥る姿はいつの時代も同じ。

  • おそらくクロポトキンさんの目には世界がくっきり鮮明に見えていただろうな。
    頭脳の明晰さもさることながら、その強靭な体力から繰り出される行動力によって絶えず強烈に世界に働きかけ、世界からフィードバックされる刺激というのはこれまた強烈なものであったのだろうから、その刺激が脳内に作り出す世界の像は大変に精密で彩度の高いものだったのではないかと推察される。
    行動すればするほど、またやるべきことが明らかになる。わたしのようにジィ~と座っていたのでは視界も頭の中も朦朧として靄に包まれたようになるのも、やむを得ないのだと気がついた。かといって、今すぐ行動できるのかと考えてみても(ここで考えるからいけないのかもしれないが…)なんともできそうにない。せめてこうして感想でも書くより仕方がない。
    クロポトキンさんの頃、労働者、農民は今では考えつかないほどに貧しく困難な生活をしていたのだろう。それに対して現代の日本の状況は、物はあり余っているものの、別の貧しさが我々を厚く覆っているような気がする。もちろん世界に目を向ければ飢餓や貧困に苦しむ人々も夥しいが、どうもその根はつながっているような気がする。
    人類は進化、発展してきているのであるが、まだまだ未熟で、惨事や悲しい出来事や哀れな状況はそこここにあり、絶え間なく繰り返されている。人はひとりでは生きられない。人は人からしか助けてもらえない。かりに一人で生きられたとしても他の人との交流なくして心地良い生活ができるとは思えない。
    クロポトキンさんはアナーキストとしてより良い社会のあり方を労働者や農民と明らかにしていこうという、ちょっと前のはやりの言葉で言うなら“ミッション”とも言うべき高い志を抱いて多くの他者とその身をもって関わったことによって、とても深いつながりを他者と持つことができたのじゃないかと思う。
    とても羨ましいが、羨んでばかりいても仕方がない。やはりなんかやらなくちゃね。

    参考 内田樹さんがリツートされた中に紹介されてた大澤真幸さんの書評
    http://book.asahi.com/ebook/master/2012030600001.html

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