王権 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003422618

作品紹介・あらすじ

ホカート(1883‐1939)は、自らの調査と文献渉猟によって、「聖なる王権」という思考体系が一つの文化圏を形成していることを立証しようと試みた。そして、戴冠式などの儀礼の構造分析によって各地域の儀礼が構造論的に対応していることを解明する。本書は構造主義人類学の先駆的業績であり、王制研究の基本文献である。

感想・レビュー・書評

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  • 「王権」の起源はヨーロッパからアジアまでを含む地域の中では同一である、という壮大な仮説を立証しようとした著作。様々な評価があるようだが、自分には面白かった。『金枝篇』に興味を持った人ならばお勧め。

  • 1927年原著出版の本書で、ホカートは言語学の方法を人類学に適用する、と宣言。この考え方はまさに構造主義のものだが、レヴィ=ストロースは彼の影響を受けたのだろうか?
    王権なるものが、神話/宗教的なものと同時に生まれたことを著者は指摘する。王=太陽=神、という図式を掲げられており、説得力もある。私はずっと、なぜ人びとは王権などというものの支配を好んだのか?という疑問を抱いてきたが、この本を読んでそれが少し解けたような気がした。
    さらに、「祭司」なるものは王権と同根で枝分かれしたものだとホカートは言う。なかなか面白い。
    私はどうも、「権力」という概念をある文脈上で必要以上に限定しすぎていたのかもしれない。ここでは、「権力」や「支配」が真っ先に問題になるのではなく、「王」が神話のコンテクストを伴って出現するという、そのことが核心にあるわけだ。
    ほかにも、イニシエーションを王の戴冠式の民衆化として捉えるなど、この本は実に面白い視点を提供してくれた。凄くいい本だと思う。

    • 五月王さん
      被支配快感乃至崇拝嗜好はごく日常的に観察されますね
      人間という動物の本性のひとつなのでしょうか
      被支配快感乃至崇拝嗜好はごく日常的に観察されますね
      人間という動物の本性のひとつなのでしょうか
      2013/01/31
  • 王権論の基本文献にして文化人類学の古典の一。
    ・聖なる王権、例えばその一つの表れである戴冠式という構造が実は結婚式などの儀礼と相通ずる構造であったのだ。
    ・「王の右手」は普遍的に見られる儀礼である。
    など、フィジーでのフィールドワークをもとに、セイロンでの経験を合わせて、それを比較文化史という形で大胆な仮説を提示している。
    ・西アジアより東にしか射程はないのだけれど、西アジア以西ではどうなのだろう。
    ・フィールドワークへの興味を喚起させられた。儀礼の中に社会の構造性が見える。

  • 多面的考察期待したが後半比較神話学

  • 古来より各地で行われてきた王の即位儀礼の比較が興味深かった。割と昔の研究成果のようなので、この本から生まれたであろう他の王制研究の本を読んでみたいなとも思った。

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