ポケットアンソロジー この愛のゆくえ (岩波文庫)

制作 : 中村 邦生 
  • 岩波書店
4.00
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 37
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003500248

作品紹介・あらすじ

愛といっても種々様々。作家たちはそれぞれの視角から愛に光を当て、愛の諸相を垣間見させてくれる。カルヴィーノ、坂口安吾、プラトーノフ、岡本かの子、ユルスナール、三島由紀夫、R・ギャリ、吉田知子、D・レッシングなど、粒選りの二六篇が交錯する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「愛」をモチーフとした短編のアンソロジー。いわゆる恋愛恋愛したような作品はあまり無い。夫婦の愛、親子の愛、男女の愛、同性の愛、あらゆる愛の形が綴られている。文学作品に疎い自分は未読の作品ばかりで興味深かったけれど、心打たれるとまではいかず。
    その中では、男子学生同士の少し妖しい友情⇔愛情を書いた堀辰雄の「燃ゆる頬」が艶かしく頭抜けて良かった。太宰治はさすがの安定感。「きりぎりす」を久しぶりに読んだけれどやっぱり面白い。女性の一人称視点が本当に上手い。
    横光利一の私小説的短編「春は馬車に乗って」は初めて読んだけれど……何と言うかつらい。肺病で死にゆく妻と、看病の為に家に閉じこもる作家の夫の愛憎。つらい。暗い感情をしばらく引き摺ってしまった。菊池寛も初めて作品に触れたけれど、意外にも読みやすかった。淡々としている。小林多喜二のは……このアンソロジーに入れるべきだったのかちょっとよく分からない。削除された部分が多すぎて、未刊であるし……。

    文学作品を続けて読んでいると、昭和中期以前は作品を書きやすい時代だったのではないかと思わずにはいられない。度重なる戦争、不治の病、貧困……。今でもそれは私達から遠くは無い場所に存在するけれども、自分達の事として小説にするには難しいだろう。

    図書館より

  • ユルスナールの「源氏の君の最期の恋」と横光利一の「春は馬車に乗って」と吉田知子の「箱の夫」が個人的に好き。
    外国人が描いた源氏についての文章は多分初めて読んだ、かな?読んだ後に海外作家が書いたものだと気づいたくらい、不自然さはなかったから驚いた。花散里は果たして、最後に泣くだろうか私にはわからないけども。
    横光利一はたまにいいもの書くからワケワカランと思いながら嫌いになりきれません…ずるい。でも好きです。
    ある意味特殊過ぎた「箱の夫」も、「愛」というくくりだと入れやすい、というか特殊だからこそ特殊な形の「愛」として、この短編集の最期に入れられたんだろうなあ…。
    久しぶりにいい作品の多かったアンソロジーでした!

  • アンソロジー第二弾、テーマは愛。
    私の最も苦手なテーマである(笑)
    「クサイ」愛の物語にはどうも感情移入できない。
    この年になって未だに恋愛感情を抱いたことがないこともあるんだろうが。
    この考えが変わる日が訪れればよいが。

    まあまあよかったのは堀辰雄『燃ゆる頬』。

  • 学生の頃、「文学」というものが読めないのがコンプレックスでした。特に、教科書とかに載ってそうな「私小説」の日本現代文学というやつ。わたしは「文学」というのがよく判らない人間じゃないかと、本気で悩んだりしました。(可愛いな、わたし)
    だって、おもしろくないんだもん。
    作者のおじさんたちが、素晴しい文体で、でろでろと吐き出す弱音や愚痴や駄目な自分大好き的な雰囲気が、若かりし身には気色悪い以外の何者でもなかったんだよなーと、今は思いますけどね。
    ひさしぶりに、そういう類の感慨を抱いてしまいました。
    やっぱ、苦手だ。

全4件中 1 - 4件を表示

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
谷崎 潤一郎
遠藤 周作
三浦 しをん
三島 由紀夫
J.L. ボルヘ...
有川 浩
有効な右矢印 無効な右矢印
ツイートする