ジェイン・エア 下 (岩波文庫 赤232-2)

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 岩波書店 (2013年10月16日発売)
4.24
  • (31)
  • (31)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 458
感想 : 28
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (528ページ) / ISBN・EAN: 9784003570036

みんなの感想まとめ

愛と自己発見の物語が展開される本作では、主人公ジェインが様々な困難を乗り越えながら、自らの居場所を見つけていく姿が描かれています。彼女の強さや正直さ、時には涙を流す脆さが共感を呼び、読者は彼女の成長に...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  ジェインは事あるごとに「容姿に恵まれていない」と色んな人から言われるが、そんなにブスだったのʕʘ‿ʘʔそれに「頑固」だとか性格までケチョンケチョンに貶される。
     一番腹が立つのが、牧師のセント・ジョンで、彼はジェインの命の恩人ではあるのだけれどジェインのことを「労働するように生まれた人」と言って、愛がないのにジェインと結婚して助手としてインドへの宣教に連れて行こうとした。
     セント・ジョンは容姿に恵まれているし、きれいな女の人にもモテるのに、自分の過剰な野心を「神からの使命」と勘違いした人。 
     かつてお金持ちだったロチェスター様の妻の座を狙っていたミス・イングラムのような人は容姿にも家柄にも恵まれているのに「金の亡者」。これも可哀想。
     血筋は悪くないが、孤児となったために、意地悪な親戚の家→貧窮院→ロチェスター家の家庭教師→ムーアハウス、貧しい子供達の学校の先生→ロチェスター家 と巡り歩き、最後に盲目となってしまったロチェスター様と再会し、彼の目となり手となる愛を結ぶシーンは本当に素敵。
     四半世紀くらい前に読んで、このシーンに感動して、私の「愛のバイブル」となっていたが、ストーリーは99%忘れていた^_^
     「強い女の人のストーリーが好きなんだね」と言われたことがある。うん、はい。確かに強い女の人の話は好き。でも、私が好きなのは「芯が強い人」であって、自分や同胞の権利を求めて、回りを攻撃するタイプの人はキライなんだな。
     ジェインは何度か絶望の中、一筋の光を求めて荒野の中を彷徨う。それがジェインの心象風景でもあり、イギリス人の心の原風景でもある(たぶん)ヒースの丘や曇り空なんだなあ。暗いけれど、時々見える晴れ間が美しい。
     自分に近しい人だと分かったムーアハウスの住人を喜ばせるために、ムーアハウスを女中と一緒に蜜蝋などでピカピカに磨きあげ、敷物やカーテンを変えて、料理を準備するシーンも好き。「上流階級→教養があって働かない人、働く人→教養がない下層階級の人」という認識のあった当時のイギリス社会の中で、自分の足で歩ける教養を身につけ、ある程度の身分になっても主婦のように働くことにも喜びを見出す、今の働く主婦のようにバランスの良い女性になっていったジェインの成長は気持ちが良かった。
     そしてまた、机上の空論ばかり並べたて、貧しいものに対して上から目線であった聖職者に対しても「本当の愛」とは何かということを身を持って突きつけるような心地良さがあった。
     今、「多様性」文学がもてはやされているが、「ジェイン・エア」もこの頃のイギリスの中では「多様性」を認めた文学だったのではないだろうか?ブスが幸せになるというだけでもʕʘ‿ʘʔ

  • 19世紀の古典、少女が愛と居場所を見つけるまで、とあまりぐっとこない要素が特徴の小説。長らく読まず嫌いをしていたのだけれど、いざ本を開いたら、ジェインの強さ、正直さ、自己制御力がとても魅力的。さらに、バーサが原因で起こる日常の不具合のゴシックホラー的描写がアクセントになって、1000ページ近い長編なのに途中で飽きることもなくぐいぐい読んでしまった。ただ強いだけではなくて、悲しいときはおんおん泣くし、死にたくなっちゃったりする。理想のヒロインと現実の18歳の間のどこかに置かれたジェインの人物造形が実に心地よかった。舞台となるイギリスの田園風景の描写も美しくてすてきなのだが、おそらくひどく適当に「私の考えたイギリスの風景」を脳内にでっち上げているので、あとで映画を観ようと思う。

    その一方、男性の主要人物たちには飛びぬけた/独特な魅力が感じられない。ジェインに対する態度に、現実世界に溢れていてうんざりな傲慢や甘えを超えた何かがない。ジェインが大学に行ける時代だったらもっと比較検討の上、誰を選ぶか決められたのでは、などと余計なことを考えたが、まあジェインがいいならいいです。能力を完全に活かすべき、なんて余計なお世話でしょう。しかしパートナーがこの世を去ってからジェインがどうしたか、続きが読みたい。

    当時の人たちにはキリスト教の神が当たり前のように存在していたようで、これはちょっとうらやましい。ジェインも神さまのお導きがあるからって当たり前のように過去を振り返るわけだけど、誰かが自分を見ていてくれるという感覚があるのとないのとでは、生きやすさが違いそうだ。

  • ロチェスターはジェインより二十くらい歳上だし、話の要点もよくわからない。読み手が好む容貌でもない。だから最初はそれほど魅力を感じない。
    なのに、ジェインを通して見たロチェスターはまばゆいほど魅力があり、読み手はいつしか、ふたりが結ばれたらどんなにいいかと考えるようになる。

    ついにジェインはロチェスターから愛をそそがれるようになる。身分の高低差という高い障壁を乗り越え、ふたりは婚約する。
    ところが結婚式の最中、ロチェスターのとんでもない過去が明るみに出る。
    結婚式を中止にしなければならないほどの過去とは一体なにか?あんなにも好き同士だったふたりが、その後どんな人生を歩むのか?
    どのような結末が待っているのか、できれば悲劇でなければいいと願いながら最後まで一気に読んだ。

    この小説の魅力はやはりジェインという女性の人柄。
    ジェインが備えている理性、自制心、洞察力は素晴らしい。

    孤児で癇癪もちの少女が、救貧院に行くことも、家庭教師になることも、結婚を破棄してお邸を去るのも、二度目の求婚を断ってロチェスターのもとへ走るのも、全部自分で決める。人生の道を自分で切り拓き、精神的にも経済的にも自立した女性になる。

    ヴィクトリア朝が、現代よりも保守的な時代だったことを考えると、自由を求める女性というのは、当時としては異例だ。女性が不自由さを感じる世の中が続くかぎり、この小説はこれからもずっと読まれる。息の長い小説だ。

  • ジェイン・エアは器量良しではない。だが知的で意思的な人格が魅力を放つ。ジェインはモテる。貴族ロチェスター氏にプロポーズされ、その後牧師セント・ジョン青年から求婚される。超モテモテである。
    ちなみにロチェスター氏もセント・ジョンも実は意外にダメンズな気がした。ロチェスター氏は無思慮な初婚とその後も放蕩の日々を送っていた。ジェインに求婚する前後でも、自分を捨てたら私は悲嘆にくれて滅んでしまう!的な泣き落とし論法ですがりつく感じ( 典型的なダメンズの論法)。
    一方、牧師セント・ジョンはクールに且つ執拗にジェインに求婚。宣教師の妻として共にインドに行くべきだ、と神の意思まで持ち出して理詰めで迫る。ある意味狂気すら感じさせる。(現代日本で例えるに、信仰宗教にはまって女を引きずり込む男の様相…)
    という具合で、ダメンズな印象なのであった。ここでふと思い至る。ロチェスター氏のダメな部分やセント・ジョンの異常性は、ジェインの聡明さの対比なのかも。

    さて、不思議なリアリティがある作品である。例えばエミリー・ブロンテの「嵐が丘」は激情に次ぐ激情で神話世界の域に達していた。
    一方シャーロット・ブロンテの本作「ジェイン・エア」は、自伝なの?と思わせるリアリティを感じた。
    本書の巻末解説によると原書にはAn Autobiography(自伝)という副題が付されているという。だが、作者シャーロット・ブロンテの自伝そのものではなく、幾つかの自伝的要素が翻案されて描かれているという按配らしい。つまり基本的には創作である。
    だがそれでも、読者の私は読み進めながら常に、全編の細部に何ともいえないリアリティを感じたのであった。これは、作者の巧さゆえか。

  • ジェーンの怒涛の人生を一緒に駆け抜けて、面白かった、ジェーンが好きになった。多くの人に愛されるのが分かる小説。この時代のハッピーエンドは結婚だから、最後はロチェスター氏と結ばれるけれど、それは完全に独立した女性としての彼女の意志で、しかも男は身体も不自由にされているという作者の徹底したジェーンの精神の自由への配慮に感心した。貧しくて不器量で身分が低くても毅然としたジェーンの生き様を見習いたい。

  • 有名すぎる作品をやっと読む。
    やはり文学としては妹エミリーによる嵐が丘の方が格があるように思ったけど、こちらはストーリーの起伏が大きくてよりエンターテイメント性があるというか、分かりやすく面白い。解説によると妹たちのエミリーとアンの作品が世に出るきっかけはシャーロットの本作が成功したおかげだというから、その意味でもやっぱり文学上の重要作品。セントジョンのキャラクター付けとか、なかなかこれまで昔の文学作品で見ない感じだけどわかる!という描写だし。他にも稚拙な作品ではただ嫌な俗物と描写されそうなリード夫人とその子どもたちの描き方もすごく冷静で、ある種の同情も持って描かれていたり。
    サルガッソーの広い海をはじめ、この作品のスピンオフ?翻案?的な作品を読みたいがために読んだところがあるので、それらを読むのが楽しみ。本作ではロチェスターの前妻が火事で亡くなったことが知らされてから全く彼女に触れずに2人は結婚したところにもやもやしまくったので、特にサルガッソーが楽しみ!

  • とにかく地の文ーー語りが良い。油断して意識が語りにふっと吸い込まれて、何ページも何時間も経ってしまったこともあった。途中、3度くらい「このパートナー運の(男運とはいうまい、彼女の果敢な魂に懸けて)なさは何なの!?」と本を置いて溜め息を吐いたものだが。全体は主人公ジェインの、「その自由な魂のほんとうに充ち足りる『愛』」を指向して、大きく波立ちうねりながら進み、その愛に呼応したものの述懐が示すところによって閉じられる。前巻導入部に勝る「美」はない、けれど、ふたりが場所を越えて感応する箇所はまさしく完成されたもので、とても、うつくしい。

  • 自分の考えを直球で相手に投げるジェインは感情的だけど、その一方で穏やかに過ごす術も知っている。どんな状況でも自分がどうあるべきかを考えて自分で決めていく姿はカッコいい。すべてがシンプルで、無駄がない。必要なものが必要な分だけあれば、人はこんなに活動的に生き生きとしていられるんだと思う。
    貧しく境遇にも恵まれないなかでも、前向きでいることができることをジェインは教えてくれる。自分のやるべきことを知り実践していたら、嘆いたり不貞腐れたりしている暇なんてない。
    ロチェスターとの結婚は、そんなジェインの唯一と言っていい望みだったんだと思う。何が自分の幸せなのかを知るジェインの夢が叶ってよかったなぁ。

  • <上巻でジェインは様々な危機に直面するが、その克服の仕方に着目すると面白い。彼女はそのほとんどを偶然によって、しかも外からやってくる偶然によって克服している。いずれもが、幸福な克服とはいえない。上巻は、ゲイツヘッドにせよ学校にせよ、大切な友人との別れを伴っていた。
    このことの意味は考えるに足る。>

    上巻の感想でこう言ったが、下巻もこの仕方の危機の克服に溢れていた。
    遺産の受領は言うまでもなく叔父の喪失を伴い、結婚はソーンフィールドにおける邸宅、視力、夫人の喪失と不即不離である。
    偶然による危機の克服。人は努力や意志というよりも、天の配剤によって助けられる。しかし、素直に、というわけではない。喪失抜きに、人は前に進むことができない。そう言っているかのようだ。

  • 今まで読んだ、名文学といわれるものの中で一番よかった、と思いました。
    読みやすい翻訳のおかげかもしれないけど。(原文を読んでいないのでよくわからない)

    冒頭部分はイギリスらしい、あまりにも陰気な展開で、その日は始終絶望的な気分で過ごすはめになりました。
    否応なく「嵐が丘」を思い出してしまいました。
    けれど場面もどんどん移行していって、期待や謎が次々に現れるので一気に読めてしまいました。
    ドラマチックすぎていかにも作り話というかんじなので、少し醒めるのですが。

    全体を通してカトリックの教えがちりばめられているのですが、とくにヘレン・バーンズの言葉にはぐっと来るものがありました。
    「本を読むのは、自分の知らない考えを学びたいから」と友人が言っていたのですが、単なるエンタテインメントとしてしか小説を見ていなかったわたしは、今回その楽しみを存分に味わうことができました。

    小説を読みながら、時代も国も違うその情景を想像することは、いままで観てきた映画やドラマなんかのおかげでそこまで難しいことではないけれど、それってとても不思議なものです。

    100年経ってもジェインはすてき。

  • 上巻から物語は怒涛の展開を見せる。ロチェスター様については、事情があったとはいえ、重婚は許される行為ではないな。彼の孤独や苦悩に同情するが、その選択はあまりにジェーンにとって失礼。

    ジェーンが彼のもとを去った後に出会うセント・ジョンは、怖すぎる。理性的でおだやかで普通にしていたら完璧な人だが、その内側には他者を自分の理想や目的に従わせようとする冷酷さがあり、支配的な存在として恐ろしさを感じた。ジェーンが彼に説得されてインドへ行ってしまうのではないかと、読みながら不安になった。

    最終的にジェーンがロチェスターのもとへ戻ったことですごくよいラストで幸せな気分になった。

  • 素晴らしい。
    自分で選択し、自分でその人生を素直に生きる、そんな自由な人間の姿が生き生きと実直に記されている。
    ロチェスターとの結婚によるいわゆるハッピーエンド的な展開に関しては賛成。
    この物語の肝は一人の女性がある環境や人生の転機に自らの意志によってその苦難を乗り越えていく、その瞬間瞬間の発火点、そこに尽きると思う。
    フェミニズム的な要素はあるものの、決してその思想に傾きせず、感覚的な生の人間の内面が映し出される。
    ロチェスターの結婚を力強く跳ね返す場面は勇気をもらえる。
    原語で読みたいなー。

  • 「それでいいの?」と主人公に苛立ってしまうのは、現代人だからかもしれないが、当時の読者もハラハラしながら読んだのだろう。ラスト数行、宗教的な意味合いもあるだろうが、主人公が自身の選択に対して抱く「影」を感じる。この先もそれを生涯抱き続けるのだろう。

  • 頑固すぎるのでは、とこちらが当惑させられることも多いジェインだが、それゆえに、自らが求め、納得の上に得た幸せに浴することができるのかもしれない。
    最後にはいつも、流されることなく、自らの決断と能力で新たな道を行く姿に、鋭い強さを感じる。

  • 期待せずに読み始めたものの、正月に読み通す。何かの小説の主人公が、続きが気になって仕方なかったと言ってましたが、そんな感じ。
    作中人物の感じ方に共感できなかったり、考え方が古い?ときもありますが、それはそれで面白いかも。

  • ロチェスター屋敷で伏線はいくつもあった。それが露見し、ジェインはさまよう。またも苦難。しかし、最後は胸が高鳴る、見事な大団円。自分で決める女性ジェインの勝利がみなの幸福、勝利にも関係したのだ。

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★★ 10
    「人物」★★★★★ 5
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★★ 5
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》91 S-

  • 男が視力と片腕を失うことでようやく結婚に至るというのは、歪んだ関係性に見える。ジェインの望んだ自由というものは、自身の能力を十全に発揮できる場のことだと思ったが、それがこういう形で実現したことに違和感を感じざるを得ない。ジェインの望む女性の自由とは男の不自由によって齎されるものなのか…

  • ★SIST読書マラソン2016推薦図書★
    【所在・貸出状況を見る】
    http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11330291

    本を読んで読書マラソンに参加しよう!
    開催期間10/27~12/7 (記録カードの提出締切12/14)

  • 19世紀イギリスの女流作家として知られるブロンテ3姉妹の長女Bronte Charlotteの出世作。

    主人公ジェインの生きざまには、現代にも通用する女性の強さを感じる。少しメロドラマ的だけど、ジェインの波瀾万丈な人生の物語は読みごたえがある。

    ヒロインが精神的にマッチョ。頭いいし。ロチェスターも、オースティン小説に出てくるような、ハンサム王子様じゃないところに好感をもてた。ジェインとロチェスターの会話のやりとりは面白いんだけど、ちょっと台詞が多すぎると思う。

全24件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

Charlotte Brontë(1816- 1855).

「2014年 『シャーロット・ブロンテ全詩集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

シャーロット・ブロンテの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×