アンティゴネー (岩波文庫)

  • 66人登録
  • 3.86評価
    • (2)
    • (2)
    • (3)
    • (0)
    • (0)
  • 6レビュー
制作 : 中務 哲郎 
  • 岩波書店 (2014年5月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003570043

作品紹介

「私は憎しみを共にするのではなく、愛を共にするよう生まれついているのです」-祖国に攻め寄せ斃れた兄の埋葬を、叔父王の命に背き独り行うアンティゴネー。王女は亡国の叛逆者か、気高き愛の具現者か。『オイディプース王』『コローノスのオイディプース』と連鎖する悲劇の終幕は、人間の運命と葛藤の彼岸を目指す。新訳。

アンティゴネー (岩波文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 分かりやすい文章でとても読みやすかったです。
    反逆者として叔父である王に埋葬を禁じられた兄ポリュネイケースを埋葬したがために王と対立し、自ら死を選ぶアンティゴネーと王クレオーンとの対立の台詞回しが際立って印象に残ります。
    兄ポリュネイケースへのアンティゴネーの愛は兄妹のそれを超えているように感じます。そのあたりはやはりオイディプース王の娘、と言ったところでしょうか。

    兄の埋葬を妹のイスメーネーに持ちかけるものの拒否を受けて頑なになるがために死を受け入れるアンティゴネーと王の布告とプライドを固持して最後に家族を全て喪うクレオーン、ある意味強硬な意地の張り合いとも見えてしまいますがどちらが悲劇的なのか、私には分かりかねました。

    オイディプース前王の一族で一人残されたイスメーネーのその後が気になります。

  • 『オイディプス王』『コロノスのオイディプス』と比較すると、神話的様相や運命的な色合いは薄れ、個の悲劇となっている。その分、スケールは小さいが、ただアンティゴネーの悲劇としてはまとまっている。(あくまでアンティゴネーの悲劇であって、クレオーンその他は添え物に過ぎない)

  • ギリシャ悲劇は、自らの力ではどうにもならない運命に翻弄された人間の運命悲劇だと言われる。『オイディプス王』は確かにその通りだが、『アンティゴネー』は死を覚悟の上で自らの意志を貫いたアンティゴネーの性格悲劇ではなかろうか。そのような人物造形は、『オイディプス王』よりも、むしろシェイクスピアに近いように思う。

  • テーバイ王家

  • 量子力学的アンティゴネー解釈?
    「アンティゴネー」昨夜読み終わり。とりあえず?3つに論点絞る。
    1、ポリュネイケースの2度の埋葬。確かに2回ある必要性があるかと言えばないかもしれないけど、これによりクレモーンとアンティゴネーの対決が深まると考えれば…
    2、アンティゴネーとポリュネイケースの近親相姦関係。この説は自分は賛成。これならゲーテが気に入らなかったという父母や子より兄を選ぶという科白(ヘロドトスとの関わり等「物語の海へ」参照)も納得だし、最初の設定以外に、同じ兄弟でテーバイを守った方のエテオクレースへの言及が全く見られない(劇進行上では必要ない)のも納得。そうそう、オイディプスの家系だもんね。
    3、劇の途中まではいろいろな可能性と含みを持たせた曖昧な筋が、最後になって悲劇にまっしぐらに進んでいくのは、なんだか観測によって電子雲がただ一点に定まる(確率1)量子力学の様相。
    ちなみに、この後、妹イスメーネーは逞しく?生きていったのだろうか? 誰か後日談でも書いてないかなあ?

  • ちょうどいいタイミングで新訳が出ていた。旧訳からかなり読みやすくなっているし、解説もちきんとした量があって理解を助けてくれる。あらためて読んでも、ギリシア悲劇の中でも「オイディプス王」と並ぶ傑作だと思う。
    祖国テーバイを攻めた兄ポリュネイケスの死体を埋葬しようとするアンティゴネーと、反逆者の埋葬を決して認めようとはしない王であり叔父でもあるクレオーンの対立。親族を弔うという神の理と、法と秩序を守るという国家の論理、それぞれの正義が真っ向からぶつかってやがて悲劇をもたらす。
    そして、ただ正義の対立だけでない、対立する二人の不完全さが状況を複雑化させる。アンティゴネーは誰とも心を通わせることなく孤独のなかで自らの思想を先鋭化させ、一方のクレオーンは思い込み激しく頑固それでいて人の意見に流されやすい。彼らの売り言葉に買い言葉の応酬は、決して合意にはたどり着かない。だから、どちらの主張に理があるのか一概には判断できないし、彼らの言動の意図を読み取ることも容易ではない。
    そのため、読み方によってどのようにも印象はかわる。解釈の幅の広さは、他のギリシア悲劇と比べても頭抜けている。だから何度読んでも面白い。

全6件中 1 - 6件を表示

アンティゴネー (岩波文庫)のその他の作品

アンティゴネー (岩波文庫) Kindle版 アンティゴネー (岩波文庫) ソポクレース

ソポクレースの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
三島 由紀夫
谷崎 潤一郎
J.L. ボルヘ...
キェルケゴール
ウラジーミル ナ...
ジャレド・ダイア...
ウィトゲンシュタ...
有効な右矢印 無効な右矢印

アンティゴネー (岩波文庫)はこんな本です

ツイートする