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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784003600351
作品紹介・あらすじ
大逆事件と時代への批判,諦観の想いを述べた「花火」,反時代性の果てにあるエロスをテーマとした「夏すがた」,爛熟した江戸情調への追慕を綴った戦前の小説,随筆を精選した.「来訪者」は,戦中に執筆され,終戦直後,発表の実験小説,鶴屋南北の「四谷怪談」を連想させる,男女の交情を凄愴の趣を込めた描いた問題作.(解説=多田蔵人)
感想・レビュー・書評
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随筆だったり小説だったり。読みやすかったり読みにくかったり、興味の問題かもしれないがサラッとはいけなかった。夏すがた、来訪者は面白かった。綺麗な文章で描かれるので変にスケベな感じがない。
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大体面白く読んだ。深い教養に裏打ちされた文章なのに、どことなく、投げ出したような能天気さがあり、その更に向こうに社会に対する諦念を感じる。ような気がする。あと、全作品を通して男性に都合のいい、どこか"淫乱"な女性像が多いのは何とも苦笑させられた。
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ひたすら文章が美しい。
ときに淫靡な痴情を描く場面も、その美しい日本語で絵画のような情景を想起してしまう。
しばらく嵌りそうだ。
きれいな日本語を読みたい方は、是非。 -
本作品集に収録されているのは1910(明治43)年から1944(昭和19)年頃にかけてのもので、随筆と小説、そしてこの両者の領分が混ざって境界線にあるかのような作品が入っている。
どちらかというと随筆は一つの場所に静止して言葉を美しく紡いでいく感が強く、小説はプロットに沿って先へ先へと突き進むストリームのスピード感が強い。永井荷風の編み出す随筆フィールドは、美文を噛みしめることに醍醐味があるようで、なかなか味わい深かった。祭りに浮かれ騒いで踊る世相を隔絶したアウトサイダーの視点で見つめる「花火」(1919《大正8》年)など、光景と1個の主体との距離感がフィールド上を彷徨って面白い。また、東京(市)の様子を折々に描いているので、東京の変遷に興味のある人には、荷風の文章は注目すべき資料となるだろう。
しかし私はやはり、小説作品の方が好きだ。荷風は様々な女性像を生き生きとヴィヴィッドに描き上げており、ここでは生命の輝きと移ろいゆく事象の連なりがひとつの体験として読者の胸に迫る。
自然主義運動にも私小説にも加担しなかった荷風は、歴史から身を引き剥がしつつ、その時その時の世相を克明に見つめる確たる主体を確立していた。文章も美しいので、もっと荷風を読み、既読のものも読み返してみたくなった。 -
ある程度の金がある男は妻以外の女を囲うことが当たり前だった時代があったのだ!またそのような男の欲望に合わせた女性もいたのだ.表題作は「花火」と「来訪者」だが、後者が面白かった.偽物の書籍を作る木場と白井.それが商売になった時代.それにしても全く意味の分からない語句が頻出.漢和辞典の出番が多かった.でも、現代語訳の形になっているからなんとか読めるのだが、原文はどうかな?
著者プロフィール
永井荷風の作品
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