真昼の暗黒 (岩波文庫)

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感想 : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003720219

作品紹介・あらすじ

独房404号に収監された古参党員ルバショフ。三度の審問を通じて明らかになる過去と現在、壁を叩く獄中の暗号通信。No.1とは誰か?自白はなぜ行われたか?スターリン時代のモスクワ裁判と大粛清を暴いたベストセラー、戦慄の心理小説。

感想・レビュー・書評

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  • 4.04/143
    内容(「BOOK」データベースより)
    『独房404号に収監された古参党員ルバショフ。三度の審問を通じて明らかになる過去と現在、壁を叩く獄中の暗号通信。No.1とは誰か?自白はなぜ行われたか?スターリン時代のモスクワ裁判と大粛清を暴いたベストセラー、戦慄の心理小説。』

    冒頭
    『ルバショフの背後で独房のドアがバタンと閉まった。
    彼はしばらくドアに凭れていた。それからタバコに火を点けた。右手のベッドに載っている二枚の毛布はいちおう清潔で、藁のマットレスも新しいもののようだった。』

    原書名:『Sonnenfinsternis』(ドイツ語)、『Darkness at Noon』(英語)
    著者:アーサー・ケストラー (Arthur Koestler)
    訳者:中島 賢二
    出版社 : ‎岩波書店
    文庫 ‏: ‎429ページ
    ISBN : ‎9784003720219

    メモ:
    ・20世紀の小説ベスト100(Modern Library )「100 Best Novels - Modern Library」
    ・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • スターリン体制時の時代を舞台として、幹部クラスのポジションにいた一人の党員が粛清されるまでを描いた作品。
    当時の社会情勢を知らずとも、尋問のシーンの執拗さには真綿で首を絞められるような陰湿さを感じて楽しめる。
    ジョージ・オーウェルの「1984年」の尋問シーンは本書から大きく影響を受けたらしいが、読んでいて納得した。
    「党は個人の自由意思を否定したが、同時に自らの意思による自己犠牲を強要した。党は二者間の選択をする個人の能力を認めなかったが、絶えず正しい選択をすることを要求した。党は善と悪とを区別する個人の能力を認めなかったが、罪と裏切りについて躍起となって語った」
    ヒトラーもまだ生きている1940年に、全体主義の本質と矛盾を指摘したこの作品は凄いと思う。
    そして、作中に一切、主人公の祖国の名前が出てこないところも流石。

  • え、これって、今現在のことを書いているんじゃないの?

  • いまいち入り込めなかった。尋問するならやり方を選ぶべきだということはよく伝わってきた。

  • スターリンの大粛清への関心からたどり着いた本。ルバショフ、イワノフら革命初期の知的階級と、グレトキン農奴階級出身のスターリンの申し子達との埋めようのないギャップ。ルバショフは昔の人。「罪」は既定路線なのにすぐ屈せず、全ての罪状に一つ一つ論駮していくのも恐らくそう生きてきたからなのだろう。イワノフ、グレトキン初め、周囲の人との関係性が変化するのも興味深い。ちゃんと読みきれたとはとても思えないので、何度か読み返す本。

  • 初めてアーサー・ケストラーを読んだ。
    何回か繰り返して読みたいと思う。

    革命が成功して体制になってしまうと,初期の革命が目指していたものは,その革命の論理故に達成不可能になってしまう。

  • ニコライ・ブハーリンが肅清されるに至る第3回モスクワ裁判をモデルに書かれた小説。発表当時センセイションを巻き起こしベストセラーになったそうだが、さもありなん。単なるソヴィエト社会主義体制の暴露小説としてのみならず、イデオロギー論としても、思想小説としても、恐怖小説としても、エンターテインメントとしても読み応えのある作品。主人公ルバショフの最期はブハーリンよりも思弁的だ。

  • 2010年6月10日(木)読了。歴史や思想史を勉強し直してから再読したい。(解り切れなかった部分がある為)

  • ディストピア第2弾。こちらはタイトル通り救いがない。

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著者プロフィール

ブダペスト出身のジャーナリスト、哲学者。フランコ政権批判の書『スペインの遺書』(新泉社)、スターリンの粛正裁判をテーマにした小説『真昼の暗黒』(岩波文庫)で世界的な注目を浴びる。
1968年、オーストリアのアルプバッハで、心理学者のJ・ピアジェ、V・フランクル、経済学者のF・ハイエク、生物学者のC・H・ウォディントンをはじめとする各界の先鋒を集めたシンポジウム『還元主義を超えて』を開催し、その成果を刊行(工作舎 1983)。新しい人間学への視点を示し、次世代に多大な影響をおよぼした。
『夢遊病者たち』の第四章邦訳『ヨハネス・ケプラー』、『機械の中の幽霊』、『偶然の本質』(以上、ちくま学芸文庫)など邦訳書多数。1983年3月、シンシア夫人とともに自殺。本書邦訳初版刊行の直後だった。

「2021年 『ホロン革命 部分と全体のダイナミクス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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