文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)

制作 : 大橋 洋一 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 165
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003720417

作品紹介・あらすじ

欧米の文学理論の諸潮流を初心者にも分かりやすく解説するすぐれた入門講義。上巻では文学理論が対象とする「文学」とは何かを問うことから始め、19世紀の英文学批評の誕生、現象学・解釈学・受容理論、構造主義と記号論について詳細に論じる。明確な視座に立ち、読者の思考を刺激し触発する、「20世紀の古典」。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭からぐいぐいと引き込まれる。古典の名にふさわし射程の深さ、鋭さをもっている。いい意味で期待(予想)を裏切られた。お手軽ではない。原語によるルビの振り方も含めて翻訳も良い。

    批評理論をカタログ的に説明したものではない。批評理論間の関係を説明し、より根源的に文学とは何か問うていくのが本書の真骨頂だ。

    冒頭の、いくつかの「はしがき」からして、言葉が生きている。上っ面でない。挑戦的だ。

    序章の「文学とは何か?」ーーそれを誰も決められない、という議論は目から鱗だ。身も蓋もないのだが、ステレオタイプから、イデオロギーから、パラダイムから逃れるためには、まず、このような前提を共有できるかが重要だからだろう。

    1章の「英文学批評の誕生」では、いまや自明の文学が歴史的危機の産物に過ぎない、イデオロギーにまみれたものと知った。

    2章の「現象学、解釈学、受容理論」はこの分野の哲学概念と歴史的位置付けのおさらい。批評理論そのものの変遷について論じた箇所でもある。

    3章は「構造主義と記号論」。恥ずかしながら、構造主義分析の実例を、初めて本書で見た。構造主義の概略と限界についてやっと分かった気がする。

    ・文学に関する定義が、現在のようなかたちをとりはじめたのは、実のところ「ロマン派の時代」以降である。「文学」という言葉のなかに現代的な意味が発生したのは十九世紀に入ってからだと言ってもよい。
    ・成功したイデオロギーが、みなそうであるように、宗教もまた、明晰な概念とか公式化された原理ではなく、イメージ・象徴・慣習・儀礼・神話といったものを通して機能した。
    ・文学は現実の矛盾から目を背けさせる側面があった。

  • 本格的な文学理論を学ぼうと通販で取り寄せてみたら、中身は本格的な哲学書だったでござる、の巻。文体も硬い上に論旨も入り組んでいるから、何が何だかわからないところが多すぎて困ってしまったでござる。世界中でこの「文学理論書」は高く評価されているが、読んで理解できた人はどれだけいるのでござろうか?
    本書で取り上げられている「文学理論」は、現象学、解釈学、受容理論、構造主義、記号論だが、本書ではこれらのきそてきなが異論が「十分理解している」という前提で論考をすすめていくので、先述の概念を全く知らない、あるいは触り程度しか理解していない人が読んだら、途中で放り出すことは必死の難解さ。私の知人は「簡単なことを、わざと難しくこねくり回すのが学者だ」と皮肉っていたことを思い出した。曲がりなりも上巻を読了したので、下巻もがんばって手を出してみようとは思っている。でもどれだけ理解できるかはわからない。

  • 本書は20世紀における文芸批評史であり、更に言えば2章以降は20世紀大陸哲学から見た文芸批評とは何か、という点に尽きるのだろう。そもそも現代思想が問いの中心を対象そのものから言葉それ自体に置いていることを考えればそれが文学理論と結びつくのは当然であり、現代思想って実際文学/文学批評そのものだよねってのが個人的立場。そんな訳で最初の英文学批評の誕生の箇所が個人的に一番興味深かったのだが、古典研究に対応する形で現代英文学研究が学問として成立するのが第一次世界大戦という時代背景に負っているとする指摘は興味深い。

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著者プロフィール

1943年生まれ イギリスの批評家・思想家 マルクス主義をベースに文学・政治を論じる。『文学とは何か』『イデオロギーとは何か』などその著作のほとんどが翻訳されている。

「2017年 『アメリカ人はどうしてああなのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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