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Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784003725085
みんなの感想まとめ
人間の本質や成長を深く探求する物語で、主人公のピップは巨額の遺産を受け取ったことで紳士としての道を歩み始めますが、真の紳士とは何かを問いかけられます。物語を通じて、彼はさまざまな人々との出会いを通じて...
感想・レビュー・書評
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2冊まとめての感想です。ある日、匿名の人物から巨額の遺産が贈られると聞いたピップは紳士になるためにロンドンへ行くのです。そこから始まる波乱万丈の物語。本当に上質な人間とはどんな人だろうと思いました。夏目漱石の坊っちゃんに「教育もない身分もない婆さんだが、人間としては頗る尊とい」という台詞があります。人間として尊い、これに尽きると思いました。物語の後半でピップの本当の恩人が明らかになります。この人の痛いくらいの真っすぐさと純粋さ、不器用ながらもピップに対する誠実な見返りを求めない愛情を思うとき、私はこの人の足元にも及ばないと思いました。本当に尊い人でした。
立派な洋服を着て高い教養を持ち、地位と名声があることが紳士ではないと思います。ピップは本当の紳士になりました。この物語には他にも上質な人間が出てきますが、みな深い悲しみと苦しみを経験しています。刀鍛冶が鉄の塊を何度も何度も叩いて素晴らしい刀を作るように、苦悩は私たちの魂を鍛えます。ピップの相続した遺産は、本当の紳士に相応しいものだったと私は思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
予想していた通りの人物が、金の出どころだった。
プロヴィスに対するピップの心境の変化と、プロヴィスの心が満たされていく様子が、美しかった。
プロヴィスが、ピップを本当の意味での紳士と成長させたのだ。
登場人物に多くの偶然的つながりが多い気はするけれど、少しずつほころんだエンディングだったので、良かったと思う。
しっかりしたハッピーエンドなのだけれど、ディケンズは、もっと綺麗すぎるエンディングを書くのではないか、予想していたので。
これくらいのラストで、よかった。
第二部 13~20章 (~P141)
第三部 全20章 -
この物語は誰の視点に立って考えるかによって捉え方も多岐にわたるが、基本的には一人称視点なのでここではピップの目線に立って考えてみたことを記しておく。
上下巻を通して、ピップの物の考え方は一貫して優柔不断で周囲の環境に丸め込まれていることがわかる。AよりもBの方が多くの利益を得られそうだ、といった具合にピップは合理的にことを運んでいる。しかし、この考え方は現実的といえど未来志向的ではないと言わざるをえない。そして、それは結局のところ現実的ではないという矛盾をきたすことになるのである。なぜなら、ピップの行動は(ことに金のことに関しては)なんの証拠もない話に飛びついてほいほいと流されるといった感じで、そこには一切の脈略もなければ意思もないからである。それだけならまだしも青少年特有の未熟なところと言えるのであるが、唯一ピップの感情の噴火口となっていたエステラの存在ですらも大いなる遺産とともにピップの中で行方をくらますことになるのだから始末が悪い。自己矛盾が社会的矛盾によって包括されるといった次第で、これを上手く説明するのは難しい。難しいながらもディケンズ はこれを成し遂げている。小説とはきっとこういうことなのだと思った。 -
初読
示唆に富んでいて、ああ人間!という感じで中々面白かった。
展開も山あり谷あり。が、翻訳なのか?
文章が凄く合わなくて辛かったーw
上巻の幼少期のピップが姉や周りの人に感謝を強要される場面で
嫌ねぇ、気をつけよう、と思ったんだけど、
読み終わってみると、やっぱりこの子、感謝が無いのよw
それは多分、彼の性分。
そして、性分によって享楽に耽ってジョー達に背を向けたり
自己嫌悪に陥ったり、「恩人」の登場で打ちのめされたり。
そして結局何に救われたかと言えば、自分から生まれた
温かさであったり、友情であったり、何時だって見返りを求めないジョーであり。
人間の心は哀しみや厄介事も運んでくるけど、
満足や幸せもまた、なんだわなぁ。
ほろ苦くもあるけど、希望あるハッピーエンディングで良かったにゃあ -
ヒロイン、エステラさん。ハヴィシャムさんの英才教育により男を誑かす最強悪女となった彼女ですが。そういう彼女ですから、結局自分が何を望んでいるのか彼女自身も分かってないんじゃないか。で、勝手に想像するのが彼女は自傷願望が芽生えたのではないか、と。あえて自分を汚す方を選んでしまう生き方を望んだんじゃないかなー。
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この訳者は著者に対して少し批判的
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事象だけで言えば結局彼の手に残るものは何もなく、尚且つそれは読者の予想できうる範囲だったろうけども、主人公の生々しい心理の変遷、割り切れない感情が素晴らしくて一息に読んでしまった。
神の見えざる手という表現を聞いたことがあって、それは作者という神がストーリーに意味合いを与えるべく素晴らしい偶然や奇跡を主人公に落としていくことを表すのだけれど、仮にその手があったとしても主人公はついぞ神をちらと仰ぎ見ることもなくただ自分の人生を生きていた。
歩んでも歩んでも先行きの知れない人生を人生として生きている、その歩みは作者や読者の期待とに乱されることなく、彼だけのものだった。
著者プロフィール
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