ワシントン・スクエア (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003725139

作品紹介・あらすじ

「父には、弱いといえるところが一つもないんですの」完璧な父を敬愛する、内向的で平凡な容姿のキャサリン。彼女の前に現れた美貌の求婚者-一九世紀半ばのニューヨークを舞台に、鋭敏な描写で人間心理の交錯と陰影を映し出す、ジェイムズ(1843‐1916)初期の佳作。

感想・レビュー・書評

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  • 2日で読み通せた。それくらい読みやすい。筋も分かりやすい。結末はやや意外かな。

  • はて?ヘンリー・ジェイムズってこんなに読みやすくてユーモアのある作家だったっけ。それとも初期の作品だからということなのか。いずれにしても他の作品を読む必要がありそうだ。

  • 愚鈍な不美人として父親からも求婚者からも過小評価される前代未聞のヒロインが、ヒモ志願の美男子と色々あった挙句振られ、幻滅の境地に至るだけの地味な話を、これだけ読ませる狂騒曲にするH.ジェイムズ、流石というほかない。
    「あんなジゴロ、やめておけ。食い物にされてお前が不幸になる」という賢明な父の判断は正しすぎるほど正しい。一方で、父に逆らって駆け落ちする気概もなければ、求婚者の本質を見抜く聡明さもないキャサリンには、しかし自尊心とまごころからの愛情があって、それは誰にも侵犯できない。
    モリスよりもはるかにまともな求婚者が5人も現れたのにもかかわらず、とうとう誰とも結婚しない理由を、父もモリスも訝る。なぜか? もちろん、結婚したい相手としか結婚したくないからだ。「条件」と結婚する者には、キャサリンの気高さは決して理解できない。あまりにも偏狭、近視眼的、と他人からは斬って捨てられるにしても、自分の価値観とは、そうたやすく譲り渡せないものではないだろうか。
    あと、ラストで「お前みたいな女にはもったいないような男であるところのこの俺様が結婚してやるって言ってんだからよ、さっさと承諾しろよ」的なこのモリスって男が、ダメおしのように舞い戻ってきて手ひどく振られて本当にいい気味。

  • さて、ヘンリー・ジェイムズと言えば、
    ふと手に取った新潮文庫版の「ねじの回転」で
    読後最大級のポカーンとなったのが出会い。

    違和感と、置いてきぼりになったような、
    でも、なぜかとても気になっているまま、
    気持ちを引きずっていて、
    その後、岩波の行方先生訳を読んで、
    堤防が決壊したかの如く、
    ドーッと何かがこちらに向かって
    流れ込んできたようになって、
    ……それから、大好きな作家となりました。
    (台本だったら途中のページが抜けている)

    「アスパンの恋文」も、面白かったな~。
    あの、静かに、エレガントに、
    それでも実はお互い
    「なんとか相手を出し抜こうとしている」のが、ね。

    さて、こちらの作品、
    心は清らかで優しいけれど、
    見た目は平凡、とても内気な若い女性に
    見目麗しい求婚者が現れる。

    街の名士でもある父親は
    男の目的が「財産目当て」と考え、反対するが…

    この、同居する叔母さん(父親の妹)が、
    愚かでとにかく厄介!

    「心配している、役に立ちたい」と言う名目で近づいてきて、
    結局「自分がしたいことをしている」だけ、と言う人。
    わたしも心の中でずっとある人のことが思い浮かんでしょうがなかった!

    また、本当にその人の事を思っていても、
    言い方って大事なんだな…と。

    ラストシーンでは、とにかくハラハラハラハラして、
    「お願い!頑張ってくれ~!」と
    ものすごく感情移入して、少々疲労したくらいです。

    幼いころは、一般的な評価を知らないから…と言うような
    描写の部分、
    これによって、意外な思い出が甦ってきて
    なんだか面白かったというおまけつき。

  • 未婚女性にはけっこう身につまされるものがある。
    キャサリンは平安だけど幸せかと考えたら悩んでしまう。
    喪失の中で生きる最善策を選べているけど。決して不幸ではないけれど。

  • 財産しか取り柄のない女の子が、財産めあてらしきイケメンに言い寄られ、結婚を決意するものの、お父さんに猛反対されてどうするどうなる?という話。皮肉で殺伐としたストーリーのようでもあり、その一方で、人間のゆたかさや奥深さも伝わってくる感じがして・・面白いです!

  • 大人しくて善良だが平凡な娘キャサリンに、求婚者が現れる話

    降って湧いたような素晴らしい求婚者。だが父親も皮肉がひどすぎるし叔母さんはでしゃばりだし、目に見える味方がいない。できるだけ公正に振る舞おうとしているキャサリンがけなげ。こういう大人しくて一途な人間がひとたび何かを決心したら、それに勝てる人は居ないんだなぁ。婚約者モリスは結局最初から最後まで財産目当てだったのか、少しは純粋な愛情があったのか、今ひとつわからなかった。
    その後のキャサリンを慕って、彼女の元に年若い人々が集まるようになる、というのも皮肉なもの。味のある人に、人はすぐには気付かないし、気付いたころにキャサリンはもう自分の人生を決めている。

  • わっ、ヘンリー・ジェイムズだ。

    映画にもなった『ある婦人の肖像』は、ひとりのイザベルという女性のいわく名伏し難い人生を表した作品でしたが、これもまた平凡な女性キャサリンに起こるさまざまな出来事を、人のこころの奥底まで見通した巧みな表現でドキドキはらはら見事に描いた秀作です。

    悲劇のヒロインを自分に感じて読むのも面白いかもしれません。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、開架図書(1階) 請求記号:933//J18

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著者プロフィール

Henry James.1843-1916
19世紀後半~20世紀の英米文学を代表する小説家。
主要作品に『デイジー・ミラー』、『ある婦人の肖像』、
『ねじの回転』、『鳩の翼』等。
映画化作品が多いが、難解なテクストで知られる。

「2016年 『ヨーロッパ人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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