- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003725146
作品紹介・あらすじ
一九四七年八月一五日、インド独立の日の真夜中に、不思議な能力とともに生まれた子供たち。なかでも〇時ちょうどに生まれたサリームの運命は、革命、戦争、そして古い物語と魔法が絡みあう祖国の歴史と分かちがたく結びつき──。刊行当時「『百年の孤独』以来の衝撃」とも言われた、二〇世紀小説を代表する一作。
感想・レビュー・書評
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ブクログでフォローしている人が絶賛していたので、気になって買ってみた。
実際に購入してみると、帯コメントまでもが絶賛している。
> 刊行当時「『百年の孤独』以来の衝撃」とも言われた、20世紀小説を代表する一作
なるほど、20世紀小説を代表する一作…。これはすごそうだと、期待値が跳ね上がる。
しかし読み始めると大きな違和感が。話の世界観に入っていけない。
自分の知識不足だろうか。当時のインドの情勢を知っておかないと楽しめないのだろうか。
よく分からない世界観の中で、よく分からない話が進んでいくという。そのような感覚を持った。しかもやたら冗長で、翻訳された文章にも魅力的な部分はなかった。
ああ、ブッカー賞ってこういう感じだよなと。読み始めてから思い出す。
150ページほど読んでみたものの、ただ苦痛でしかなかったため、読むのを断念。端的に言うと、何が面白いのか一切分からなかった。
上下巻とのことで、我慢して読み進めれば何か見えたのかもしれない。下巻からは面白かったのかもしれない。けれど、上巻の150ページでさえ苦痛なのだから、個人的にはそれは期待しなかった。
(書評ブログの方もよろしくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E8%8B%A6%E7%97%9B%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%8D%E6%96%AD%E5%BF%B5_%E7%9C%9F%E5%A4%9C%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%9F%E3%81%A1_%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B7詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
インド版『百年の孤独』ともいえる大作。語り手はサリーム・シナイ、31歳。体にひびが広がり命が尽きようとしている彼が恋人のパドマに語り聞かせる形で、物語は彼の母方の祖父まで遡って語り出される。語り手の年齢が若いせいか、とっつきやすくはある。インドの歴史的背景(イギリス支配、パキスタンとの分離、独立、ヒンドゥーとムスリムの宗教的対立など)をざっくり頭に入れておくとわかりやすいかも。
上巻時点では、マジックリアリズムというよりは、昼メロ的恋愛模様に非モテ超能力少年の生い立ちがSF味を加えているだけでさほど魔術味は感じない。主人公一家が富裕層なことも関係しているかもしれない。ただこういう祖父の代から語り出すタイプの物語が好きなので基本的にはとても楽しく読めた。
以下、多少ネタバレ含む備忘録的あらすじと登場人物メモ。
サリームの祖父アーダム・アジズは長い鼻を持つドイツの大学を出た医者。彼は地主ガーニの娘ナシームの主治医となるが、良家の娘であるナシームはたとえ相手が医者といえどもけして顔は見せず、アーダムはシーツに開けられた穴から患部だけを見て治療することになる。しかし彼らは恋に落ち、結婚することに。だが幻滅は早い。
二人の間には5人の子供が生まれる。長女アリア、次女ムムターズ、長男ハーニフ、次男ムスタファ、三女エメラルド。やがて自由イスラム会議の創立者ミアン・アブドゥラー(通称ハミングバード)の支持者となったアーダムは、彼の暗殺後逃げ延びた秘書のナディル・カーンを、一家の地下室に匿うことになる。次女ムムターズは彼に恋し二人は結婚するが、密告者が現れナディル・カーンは再び逃亡、一家の前から姿を消す。
残されたムムターズは、姉アリアの恋人だった商人アフマド・シナイと恋に落ち、アフマドはアリアを捨ててムムターズと結婚、ムムターズは改名しアミナ・シナイとなる。夫妻はボンベイへ引っ越し、イギリス統治の終了と共に帰国するイギリス人ウィリアム・メスワルドの屋敷に住むことに。妊娠中、アミナは予言者シュリ・ラムラム・セトにお腹の子供についての予言を受ける。
やがてインドがパキスタンと分離し独立する1947年8月15日真夜中0時に、語り手のサリーム・シナイが誕生。同じ日同じ時刻同じ病院で、アコーディオン弾きの芸人ウィー・ウィリー・ウィンキーの妻も男の子シヴァを生む(父親は実はメスワルド)。産院の助産師メアリー・ペレイラはシナイ家にサリームの子守として雇われる。
サリームは鼻の長い子供で、顔にあざがある。メスワルド屋敷の四つの荘にそれぞれ住む一家の子供たちらと幼馴染だったが、アメリカ人の女の子エヴィが現れて彼らのボスになる。サリームは彼女に恋するが拒絶され苛められるように。学校でも苛められているサリームは、9歳のとき自分の特殊能力(テレパシーで他人の心が覗ける)に目覚め、インドじゅうの「真夜中の子供たち」と交信するように。
「真夜中の子供たち」は、サリームと同じくインド独立の1947年8月15日0時から1時の間に生まれた1001人の子供たちのことで、うちサリームが10歳になるまでに死んだ子をのぞくと581人。すべての子供が何らかの特殊能力を持ち、その力は0時に近いほど強い。0時に生まれたサリームとシヴァがつまり最強となる。サリームを媒介として子供たちは「真夜中の子供たち会議(MCC)」をおこなう。
そんな中、クラスメイトのイジメによりサリームは中指を切断、病院へ運ばれ輸血のため血液型を調べられるが…。
<祖父一家>
○アーダム・アジズ:サリームの祖父。大きな鼻をもつドイツ帰りの医者
○ナシーム・アジズ:地主の娘、アーダムの妻となり5人の子供と産む。のちその厳しさから修道院長と綽名される。
○アリア:長女。妹に恋人を奪われ独身を貫く。
○ムムターズ:次女。家族の中ではいちばん肌が黒い。最初の夫はナディル・カーン、二度目の夫がアフマド・シナイ。サリームの母。
○ハーニフ:長男。映画監督になる。妻は女優の美しいピア。彼の映画の試写会当日に、マハトマ・ガンディーが暗殺される。
○ムスタファ:次男。インドで官僚となる。
○エメラルド:三女。美しい容姿に恵まれる。夫はズルフィカル少佐。息子は夜尿症のザファル。パキスタンに移住。
○ナディル・カーン:サリームの母の最初の夫。ミアン・アブドゥラー(ハミングバード)の秘書だった。のち共産党党首カリム・カーンとして再登場。
<サリームの家族と使用人>
○アフマド・シナイ:父。商人。アリアの恋人だったがムムターズに乗り換える。サリームの父。事業に失敗後アル中に。何人ものアメリカ人女性秘書たちと不倫。
○アミナ・シナイ:母。元の名はムムターズ・アジズ。最初の夫ナディルに未練がある。
○サリーム・シナイ:語り手。長い鼻と顔にあざがある上、教師のイジメで禿げができ、級友のいじめで指を切断。
○ブラス・モンキー:サリームの1歳下の妹。靴を燃やすのが趣味の暴れん坊。本名はジャミラ。
○メアリー・ペレイラ:産院で働いていたがサリームの子守となる。妹のアリスにの恋人ジョーゼフ・ドゥコスタを奪われたショックである暴挙をおこなう。
○ムーサ:老僕。メアリーと不仲で一度は解雇になる。
<メスワルド屋敷の住人たち>
○ウィリアム・メスワルド:イギリス人。インドからイギリスが撤退すると同時に帰国。その前に屋敷をアフマド・シナイら裕福なインド人に売り払う。芸人として出入りしていたウィー・ウィリーの妻を妊娠させる。
○ナルリカル医師:アフマド・シナイの友人。彼の一家をボンベイに呼び寄せる。
○ホミ・キャトラック:映画王で馬主。娘のトクシーは精神薄弱者。
○イブラヒム一家:イブラヒムの息子イスラヒム、イスハク、イスハクの妻ヌシー(アヒルのヌシー)、その息子ソニー。
○ドゥバシュ一家:物理学者。妻は狂信的宗教家。息子はサイラス。
○サバルマティ一家:サバルマティ海軍中佐と美しい妻のリラ。息子たちは「片目」と「ヘアオイル」。
<サリームの幼馴染たち>
○ソニー・イブラヒム:エヴィに好かれるが、彼はブラス・モンキーに恋する。
○サイラス・ドゥバシュ:サイラス大王、天才サイラス等と呼ばれる。
○片目&ヘアオイル(どちらも綽名):サヴァルマティー家の双子。
○エヴリン・リリス・バーンズ(エヴィ):アメリカ人。活発で、サリームらメスワルド屋敷の子供たちのボスとなる。サリームの初恋相手だが、手ひどく拒絶後、サリームは仲間外れにされる。のち、ブラス・モンキーに復讐され帰国。
<真夜中の子供たち>
○シヴァ:サリームと同日同時刻に生まれた子供。巨大な膝を持つ。貧しく、暴力的。
○パールヴァティー:魔女の綽名を持つ奇術師の娘。
<その他>
○ウィー・ウィリー・ウィンキー:歌手、アコーディオン弾き。シヴァの父。
○シュリ・ラムラム・セト:予言者、占い師。妊娠中のアミナを占い胎児の未来を予言する。
○リファファ・ダース:ラムラム・セトのいとこ。アミナにピンチを救われた恩返しにアミナをラムラム・セトに紹介する。 -
チラチラ出しては隠される人物や出来事、散らかって進む話に不思議と苛立つこともなくひきこまれる。たびたび横やりを入れるパドマが読者を代弁していると思う。主人公のパドマへの眼差しは温かくて、そこに著者の読者への眼差しを重ねた。
緊迫したラストに、三巻構成だったのを上下巻にした意図が窺える。
現実感のあるところも無いところも、抽象的な記述でさえとにかく画面の浮かんでくる文章で、映画を観ているようだった。 -
地名とかはインドだが、全然オリエンタルさとか、アジアっぽさ、物騒さなど感じられず、作者が元々イギリス人で色々な庇護の中、植民地先に生まれて育ってるからなのか(よく知りません)なんつーのかな、スピリットというのかなー、ガッツ、反骨心、危険さ、それによる殺伐さ、みたいのが全然感じられなくて、そうねー、おもしくなくはないけど、うーん、期待していた感じと違った。けっこう、肉体の描写(あんまないけど)は生々しい感じがした。
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読むのがしんどかった。多分もう読まない。
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感想は下巻でまとめて。
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933-R-1
文庫 -
悪魔の詩を読んで、この作家の本をもっと読みたくなったので借りた。
借りてはみたものの、こういう小説の感想は本当は好きじゃないんだけど、余りに難解すぎて半分くらい読んでギブアップ…これは上巻なので、全体の四分の一しか読んでない。主人公がまだ生まれたばかりで、これから育とうという時なんだけど。
インドの歴史をわかっていたら、この小説をもっと理解しやすいのかな?
悪魔の詩のほうがとっつきやすかったよ…いつか再挑戦したい。 -
とてつもない天才が、あっと閃いたアイディアを頼りに、毎日つらつらと文章を書いていったらできた物語、とでもいうようなのらりくらりとした読み味。
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どんなおどろおどろしい話なのかな…と思ったけど、しょっちゅう冗談や自虐が出てくるので、割と気軽に読めた。