サラムボー (上) (岩波文庫 赤 538-11)

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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003750896

作品紹介・あらすじ

前3世紀のカルタゴの傭兵叛乱に想を得た、フローベールの一大歴史絵巻。大国カルタゴの統領の娘にして女神に仕える神官サラムボー。傭兵たちの信望厚い隊長マトーは、彼女への許されぬ情念を胸に、叛乱軍の指導者となる。「触れてはならぬ! 女神のヴェールです!」──東方の沙漠に花開く、荒々しく残忍な古代の夢。(全二冊)

感想・レビュー・書評

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  • すごく昔に角川文庫の金ピカ表紙の復刻クラシックシリーズで読んだ記憶がうっすらあるのだけど、岩波から新訳が出たので読み直し。表紙絵はミュシャの描いた『サランボー』、巻末に地図もついていて親切。

    舞台は古代カルタゴ、ローマとの間に起こった第一次ポエニ戦争 (紀元前264年~241年)後、カルタゴ軍の統領ハミルカル・バルカの邸で、傭兵たちをねぎらう宴会が開かれている(ハミルカル自身はまだ帰還していない)。さまざまな人種の寄せ集めである傭兵たちは乱暴者ぞろいでパーティー会場では狼藉三昧、ハミルカルの娘で巫女のサラムボーが可愛がっている池の魚まで焼いて食べてしまう。そこへ姿を現したサラムボーに、傭兵の一人マトーは魅了されてしまう。

    やがて傭兵たちはいったんカルタゴの外へ移動させられるが、十分な報酬が支払われない上、一部の傭兵がカルタゴ人に虐殺されたことに腹をたてて反乱を起こす。一度は和平がまとまりそうになるも結局破綻。マトーに助けられて以来、彼に尽くす策略家のスペンディウスは、マトーをけしかけて首領に押し上げる。二人はサラムボーの仕えるカルタゴの女神タニットの神殿に忍び込んで、サラムボーの目の前で聖なる布ザインフ(ヴェールのようなもの)を盗み出すことに成功、しかしマトーはサラムボーに恋い焦がれ続ける。傭兵たちの士気はザインフにより上がるが、カルタゴにはようやくハミルカルが帰還、傭兵たちとカルタゴ軍の間でついに戦端が開かれ・・・。

    紀元前のお話なので、キリスト教は当然まだなく、聞きなれない名前の様々な異教の神々、両性具有の神や生贄を求める残酷な神、グロテスクな怪物の像など、なんとも混沌とした雰囲気がいい。地名や固有名詞などがやや難しく(フローベール自身も古い資料を必死で調べたらしい)注釈がてんこ盛りなのがちょっとしんどいけど、古代オリエントのエキゾチックな舞台立てはそれだけで魅力的。ライオンが当たり前のようにうろつき、庭で象を飼ってたり(もちろん戦争では戦車代わりに)神殿が立ち並ぶアクロポリス、古代の武器や宝物など、とても映像で見てみたい。

    上巻時点ではサラムボーはほとんど活躍しない。どちらかというとマトーのほうが一方的に恋心を募らせているだけで、恋愛ものというよりはカルタゴと傭兵の戦記の側面のほうが強い。人物としては父ハミルカルが圧倒的に強そうで(のちにローマ軍を苦しめるカルタゴのハンニバルの父親でもある)(サラムボーのほうはフローベールが創作した架空の娘)、マトーの魅力はいまいちわからない。キャラクターとしてはスネオ的に小狡くたちまわる策士のスペンディウスの動向のほうが気になる。

  • フローベールは好きな作家だが、描写の仕方のとある部分だけが好きなんであって、本質を自分は理解できてないんだなーと痛感した。
    世界観は好きなんですが、SFファンタジー同様、知識、理解力が乏しいため、読み取れない。。。読んでも想像ができない。。。

    つくづく、自分は勢いのあるノリで書いたような本しか読めないのかなー、と悩んでしまう。

    下巻はもう少し時間を置く。スランプは続く。

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