自由への道 (1) (岩波文庫 赤 N 508-1)

  • 岩波書店
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (402ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751015

作品紹介・あらすじ

マチウ、三十四歳、自由を主義とする哲学教師。その恋人が妊娠した。堕胎の金策に走り回るマチウ、悪の意識を研ぎ澄ます友人ダニエル、青春を疾走する姉弟。第二次大戦前夜パリ三日間の物語。大人とは?参加=拘束とは?自由とは?二十世紀小説史の金字塔。

感想・レビュー・書評

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  • 今日サルトルの「自由への道」全4部のうちの1部を読み終わる。これはサルトルを甘く見ていたなと反省させるだけの反道徳的な悪をも引き入れている青春を描いていた。最後に青春が終わって「分別ざかり」が訪れることになるが、追体験しようとするとくたくたに疲れる。しかし読み終わると、「ぼくの」青春が体に戻ってくるような爽快感に浸ることができた。サルトルの文体は肉惑的で繊細で力強かった。ただし平気でウソがつける主人公と自分では追体験にも限界がある。勇気を試すために自分の掌にナイフを刺すこともできない。登場人物のパリに生活する人々の中に入って、あの時代の空気を吸う楽しさは十分味わえた。

    年金生活者の生活を余生ととるか、本来の自分への回帰ととるかでせっかくの一回きりのクオリティライフが全く違ったものになる。働くことを免除された環境をぼくは貴族的な、少なくとも精神の貴族の環境として捉えたいと思っている。今読んでいるサルトルの「自由への道」で、主人公マチウの教え子でもある愛人イヴィッチが、マチウから渡された100フラン紙幣をマチウがいなくなってから小さくなるまで破るシーンがあるが、それは彼女がロシア貴族の血を引いているからだった。イヴィッチのようにお金に縛られないのが、年金生活者のいいところなのだからそれを生かさない手はないと思わないだろうか?

    ただ精神の貴族はなかなかなれるものではない。まず自分の命の値打ちを知っていなければならない。現代ではなかなかその機会はないが、自分の死ぬべき時をわきまえている必要がある。自分らしい死のゴールをイメージできているということだ。このイヴィッチはナチスドイツとの戦闘下のパリで死ぬことを覚悟して、家出したのだった。ぼくはもはや老人の域に近づこうとする身であり、精神の貴族として今に生きるのはかなりハードルが高い。しかし無謀にもぼくはそれに挑戦したいと思う。

  •  
    ── サルトル/海老坂 武&澤田 直・訳《自由への道〈1〉20090616 岩波文庫》P402
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4003751019
     
    ── サルトル/佐藤 朔&白井 浩司《自由への道〈第1部〉分別ざかり 19590101 人文書院》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JB1Y6E
     
    (20200715)
     

  •  これぞ、今自分が求めていたものだった、と思った。なぜそう思うのか、があまり分かっていないだが。

     「自由への道」はサルトルの大作である。正直、読みやすいとは言えない。視点がどんどん変わって、誰が何を思っているのかくるくる変わっていく。また、それぞれの登場人物が言っている事は、非常識の塊である。解説が言う言い方で言えば、大人になれない人たちの塊。そこがいいんだろうか。。

    何度も読みたい作品。

  • マチュウに共感しまくり。まわりの人間も面白い。続きが早く読みたい。

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