女中たち バルコン (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751107

作品紹介・あらすじ

姉妹の女中が、夜ごと奥様と女中に扮して奥様殺害の演戯にふけり、ついには自らを生け贄に捧げる危険な「ごっこ芝居」『女中たち』。権力と幻惑の表象ゲームが、「幻想館」の客と娼婦の性的演戯に変換され、革命を挫折させる『バルコン』。泥棒=詩人による「祭儀的演劇」の発する黒々しい黄金のアウラ。

感想・レビュー・書評

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  • ジュネの5作の戯曲のうち2作品をおさめる。現実と虚構の関係を理知的にとらえた、舞台にふさわしい作品。両作とも幕切れが特にすばらしい。

  • 2作とも劇中劇があるため構造が入れ子的になっているのが印象的。「女中たち」のほうは、女中たちによる「女中と奥様ごっこ」ですが、「バルコン」のほうは「幻想館」という娼館が舞台になっており、これが現代でいうところのイメクラ的な場所なので、それぞれのシチュエーションと衣裳でお楽しみになるわけです。現実の役どころと芝居の上での役どころ、それらが交差してどちらが虚とも実ともつかなくなり、やがて虚構のほうが現実を凌駕し侵食するのが、どちらの作品も面白かった。

  • 面白い。
    人の腹黒さが滲み出ていて
    リアル。

  • 構成がすごい。
    でも難しい。

    腹黒さが
    よく出てる!!
    でもそれが
    人間らしさなんだと思うけど。

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著者プロフィール

ジャン・ジュネ(Jean Genet)
1910年、パリで生まれる。父は不詳。七ヵ月で母親に
遺棄されモルヴァン地方の指物師の家の養子となる。
小学校卒業後わずか一〇日で職業訓練校の寄宿舎から
逃走。放浪する間の微罪のため一五歳で少年院に収監
される。一八歳で軍隊に入隊、中東、モロッコなどに
配属されたのち、1936年脱走する。訴追を逃れるため
贋の身分証でスペイン、イタリア、ユーゴスラヴィ
ア、チェコスロヴァキア、ポーランド、オーストリ
ア、ドイツ、ベルギーを転々とする。

1937年フランスに戻り、以後七年間に窃盗などの罪で
一二回告訴される。1942年、フレンヌ刑務所在監中に
詩集『死刑囚』を出版、以後矢継ぎ早に『花のノート
ルダム』『薔薇の奇蹟』『葬儀』『泥棒日記』など、
犯罪者の、また同性愛者の立場を公然と引き受けた特
異な小説群を発表、コクトー、サルトルらの賞賛を受
け作家としての名声を獲得する。1949年に最終恩赦を
受けたのち六年間沈黙。

1955年から戯曲『黒んぼたち』『バルコン』『屏風』
を発表し劇作家としてカムバックする。1968年以降は
アメリカ黒人解放闘争、パレスチナ解放闘争、移民運
動などに加担、ときおり特異な政治評論を発表してい
たが、1986年パリで死去。パレスチナ滞在期の追憶を
中心とする長編回想記『恋する虜』が絶筆となった。

「1999年 『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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