失われた時を求めて(4)――花咲く乙女たちのかげにII (岩波文庫)

著者 :
制作 : 吉川 一義 
  • 岩波書店
4.00
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本棚登録 : 118
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751138

作品紹介・あらすじ

それから二年後、「私」はノルマンディーの保養地バルベックに滞在した。上流社交界のゲルマント一族との交際、「花咲く乙女たち」の抗いがたい魅惑、ユダヤ人家庭での夕食、画家エルスチールのアトリエで触れる芸術創造の営み。ひと夏の海辺の燦めき。

感想・レビュー・書評

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  • アルベルチーヌを始めとした若気に溢れる少女の集団が輝かしく、自然の中でイタチごっこ等をして戯れる場面が青春だと感じた。
    ジルベルトの恋を忘れて新たな女性を欲する「私」だが、またしても失敗に終わる。
    アルベルチーヌに接吻を拒否されると他の少女達に気持ちが移っていくと言う事は、要するに「私」は精神的所有欲より肉体的所有欲を満たしたいのだろう。
    どちらか一つの欲求を手に入れると両方を同時に求めてしまうのが人間の勝手な願望だ。
    また、「私」の目には少女達が自分を愛している様に見えるが、主観的な感情によって肯定的に物事を捉えていると言える。
    己を客観視する事等不可能である事実を再度認識させられた。

  • 「失われた時を求めて」第4巻、「花咲く乙女たちのかげにII」を1年ほどかけて読み終えました。(^^;
    物語を要約すれば、主人公の"私"がノルマンディーの保養地バルベックに出かけて帰ってくるまでの出来事ですが、その詳細な描写が濃密で、かなり読み応えがありました。

  • 4巻は第2巻第2部。長い、くっそ長い。金持ちボンボンが高級リゾートで女の子とやりたいがためのあれやこれやを延々と。650ページもあるんだから一人くらい落せよ。キスのひとつもできんてどいういこと。面白いからいいけど。
    よし、あと10巻!

  • 全14巻(予定)中の4巻まで読んだ上で、一旦ごく簡単に。十分なボリュームの中で、人間心理の核心(かもしれないもの)を、委細丁寧に紐解いてくれるので、読んでいて沢山の気づきがある。長いけれども、読みにくくはなくて、常に回想として語られることもあってか、ゆったりと読む感覚。この先どこで挫折するか分からないけれど、枕頭の書、というのに相応しい、充実した内容の小説だと思う。訳者の気配りで図版が多いのも大変助かる。
    今のところこの岩波のシリーズは8巻まで訳が終わって出ていて、半年に1冊くらい新刊が出るらしい。完結することを祈るばかり。

  • 訳者のあとがきにもあるように、普通の小説なら数行ですんでしまうことが数十ページにも肥大化しているのが特徴。よっぽどのことがない限り、おおまじめに読むわけにはいかない。しかし、この「花咲く乙女たちのかげに」では、アルベルチーヌやアンドレを含んだ女性の集団との出会いとその知覚の描写[p329など多数]に「よっぽどのこと」を感じるであろう。おそらく絵画的なイメージ(女神が輪になって踊っているような画像)が隠れているのだろう。この娘たちの集団への言及はアルベルチーヌやアンドレが見出されても止まず、むしろ語り手はこの集団全体を愛していて、その感情は分割されて共有されているのではないかというように感じる[p681](しかし、それはまだ不十分な表現の段階であろう)。

    そのような種種の感覚は、非現実的であろうか?アルベルチーヌの外観はその時々の印象で変化するものであって、固定され得ないということをいいつくそうとする執着は、非現実的であろうか?

    それは素朴にいえば狂気でもあり、それこそがこの作品全体の魅力であろう。しかし、これは狂気なのか、語り手(おそらくプルースト自身)の内気さからくるような繊細さなのだろうか、というように問い続けるのであって、「この語り手は頭がおかしい」とおもう人には無意味な作品であろう。とくに現代の読者にとっては「頭がおかしい」ということには、部分的には賛成であろう。しかし、それはあくまでも部分的な狂気であって、作者はコルク張りの部屋で絶えず闘っていたにちがいない。

  • 本巻ではリゾート地での一夏の思い出が描かれているが、様々な人間模様や恋愛、絵画を巡る芸術論など多様な題材が扱われており、興味深かった。文章としては審美的で華麗な文体だが、難解な箇所も多く、読み通すのに時間がかかった。微細を極める心理描写は自分の内面を見つめ直す機会にもなった。本書で表されている人間心理の冷徹なまでの分析は文学を読む醍醐味とも言えると思った。

  • 岩波文庫 080/I
    資料ID 2012200250

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