失われた時を求めて(7)――ゲルマントのほうIII (岩波文庫)

著者 :
制作 : 吉川 一義 
  • 岩波書店
3.38
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本棚登録 : 69
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751169

作品紹介・あらすじ

冬に向かうパリ、「私」をめぐる景色は移ろう-「花咲く乙女」とベッドで寄り添い、人妻との逢い引きの夢破れ、ゲルマント夫人の晩餐には招待される。上流社交界の実態、シャルリュス男爵の謎、予告されるスワンの死…。人間関係の機微を鋭く描く第七巻。

感想・レビュー・書評

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  • 引き続き社交界の描写が続く第7巻。
    前半部分に主人公の恋愛模様が描かれるんだけど、ひたすら女と寝たい感がすごい。セフレ作って性欲を適度に満たしつつ、本命となんとかセックスに持ち込むためいろいろ画策したのにっぽかされちゃって号泣して、でもやっぱり有り余った性欲を満たすためにその日のうちに食堂の女中を金で買って……どんだけやりたいんだ。いざワンチャンいこうって時の口説き方もひどい。ぼくくすぐられても平気だから、ちょっとベッドでくすぐり合いっこしようよ、ってなに。セックスのことだけ考えて生きていけるブルジョワ、うらやましい。
    これが20世紀を代表する小説なんだからフランス人頭おかしい。と思ったのだが、日本には源氏物語というさらに頭おかしいのがあったことを思い出した。

  • これまでよりも少し動きが出てきて、多少読みやすくはなってきた感じがある。豊穣な言葉の世界に酔う感覚は依然他を寄せ付けない印象。

  • ダラダラ延々と、淡々と続く描写。脱線につぐ脱線。防腐処理を忘れて雨ざらしにされた木材のように肥大化していく細部は、事細かに描写することでリアリティーに近づくと信じているからだろうか。読者を置いてきぼりにし、見放されても、躁鬱のように書き続けるプルーストには畏敬の念がある。

    この巻では単調な中にも少なくとも二つは大きな起伏がある。

    まずは、アルベルチーヌが「女」になって語り手の前に再び現れること。“
    アルベルチーヌは今やべつの顔をもっていた、というより、ようやくひとつの顔をもつに至ったというのが正しくて、身体も大きくなっていた。[p32]”しかし、ベッドに並んで腰掛ける以上に踏み込まれない。

    そして、奇行のシャルリュスとの面会。これは、驚くべきことに、語り手が激しく感情をあらわにする場面がある!“衝動的になにかをぶん殴りたくなった私は[…][p473]”シルクハットをばらばらにするのである。意中のひとであったステルマリア夫人に会食をドタキャン?されてショックだったときでも[p116]、あっさりと読み流されてしまう程度なのに、シャルリュスとの接触で(ここまで我慢して読んできた)読者は、語り手の体温を感じる。熱湯と水で温度調整しなければならないホテルの部屋で入れたお風呂に入ってみると、あつすぎて飛び出してしまうように。

    明らかな作者の男色趣味の気配を感じとることができるだろう。

  • 岩波文庫版『失われた時を求めて』、第7巻。
    元々が長い話なのは理解していても、描写の重ね方、延々と続く比喩表現は、プルーストの醍醐味とは解ってはいても、ある種の『執拗さ』に、毎度のことながら圧倒される。

    それにしても、古典新訳文庫の方はなかなか出ないなぁ……。

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