失われた時を求めて(7)――ゲルマントのほうIII (岩波文庫)

著者 :
制作 : 吉川 一義 
  • 岩波書店
3.20
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本棚登録 : 81
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751169

作品紹介・あらすじ

冬に向かうパリ、「私」をめぐる景色は移ろう-「花咲く乙女」とベッドで寄り添い、人妻との逢い引きの夢破れ、ゲルマント夫人の晩餐には招待される。上流社交界の実態、シャルリュス男爵の謎、予告されるスワンの死…。人間関係の機微を鋭く描く第七巻。

感想・レビュー・書評

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  • 2018.第3回ランチ講座「ファッションは何を語ったか?〜文学作品にみるファッション情報の意味〜」
    <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=335020

  • 今までの紆余曲折を忘れる程重大な出来事が起こらなかった。
    序盤から唐突なアルベルチーヌの再訪は予想外で心が躍ったが、「私」の対応があまりに酷い。
    大人の女性になったアルベルチーヌが腹を立てなかった若しくは呆れなかったのが不思議だ。
    特に興醒め(を通り越して憤慨)したのが、

    「もしほんとうにキスさせてくれるのなら、それは後の楽しみにとっておいて、ぼくの好きなときにキスさせてくれると嬉しいんだけど。ただしその場合、キスしていいと言ったことを忘れちゃいけないよ。ぼくには「接吻許可書」が必要なんだ。」(P,58)

    この一文が私は途轍もなく不快に感じられた。
    当時のフランス人男性がこの様な恐ろしく気障な言葉で女性に言って恰好付けていたかは知らないが、とにかく肌に合わなかった。
    その上欲望の対象がステルマリア夫人でも良かったと述べている為、女性なら誰でもいいのでは?と眉間に皺が寄る位には反発を感じた。
    いくら思春期真っ盛りの男性とは言え節操がない。
    金持ちの恋愛観なんて到底理解できない事が分かった。
    恋愛に自由奔放だったスワンを自然と彷彿させたので、「スワンの恋」との対比だろうか。
    また、前巻より一層社交界が苦手だと感じた。
    フランスの上流階層は上品なイメージがあったが、夫人達の下品な悪口や気取った(私には全く面白くない)冗談が頻発し、「私」と同様に付き合いは無意味なものだと思わざるを得なかった。
    それでも我慢して読んできたが、最後までストレスが溜まるだけの描写だった。
    感想と言うより殆ど愚痴になってしまった。

  • 引き続き社交界の描写が続く第7巻。
    前半部分に主人公の恋愛模様が描かれるんだけど、ひたすら女と寝たい感がすごい。セフレ作って性欲を適度に満たしつつ、本命となんとかセックスに持ち込むためいろいろ画策したのにっぽかされちゃって号泣して、でもやっぱり有り余った性欲を満たすためにその日のうちに食堂の女中を金で買って……どんだけやりたいんだ。いざワンチャンいこうって時の口説き方もひどい。ぼくくすぐられても平気だから、ちょっとベッドでくすぐり合いっこしようよ、ってなに。セックスのことだけ考えて生きていけるブルジョワ、うらやましい。
    これが20世紀を代表する小説なんだからフランス人頭おかしい。と思ったのだが、日本には源氏物語というさらに頭おかしいのがあったことを思い出した。

  • ダラダラ延々と、淡々と続く描写。脱線につぐ脱線。防腐処理を忘れて雨ざらしにされた木材のように肥大化していく細部は、事細かに描写することでリアリティーに近づくと信じているからだろうか。読者を置いてきぼりにし、見放されても、躁鬱のように書き続けるプルーストには畏敬の念がある。

    この巻では単調な中にも少なくとも二つは大きな起伏がある。

    まずは、アルベルチーヌが「女」になって語り手の前に再び現れること。“
    アルベルチーヌは今やべつの顔をもっていた、というより、ようやくひとつの顔をもつに至ったというのが正しくて、身体も大きくなっていた。[p32]”しかし、ベッドに並んで腰掛ける以上に踏み込まれない。

    そして、奇行のシャルリュスとの面会。これは、驚くべきことに、語り手が激しく感情をあらわにする場面がある!“衝動的になにかをぶん殴りたくなった私は[…][p473]”シルクハットをばらばらにするのである。意中のひとであったステルマリア夫人に会食をドタキャン?されてショックだったときでも[p116]、あっさりと読み流されてしまう程度なのに、シャルリュスとの接触で(ここまで我慢して読んできた)読者は、語り手の体温を感じる。熱湯と水で温度調整しなければならないホテルの部屋で入れたお風呂に入ってみると、あつすぎて飛び出してしまうように。

    明らかな作者の男色趣味の気配を感じとることができるだろう。

  • 岩波文庫版『失われた時を求めて』、第7巻。
    元々が長い話なのは理解していても、描写の重ね方、延々と続く比喩表現は、プルーストの醍醐味とは解ってはいても、ある種の『執拗さ』に、毎度のことながら圧倒される。

    それにしても、古典新訳文庫の方はなかなか出ないなぁ……。

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