失われた時を求めて(9) ソドムとゴモラ II (岩波文庫)

著者 :
制作 : 吉川 一義 
  • 岩波書店
3.13
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本棚登録 : 59
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (704ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751183

作品紹介・あらすじ

ヴェルデュラン夫妻が借りた海を見下ろす別荘と、そこへ向かう小鉄道で展開される一夏の人間喜劇。美貌の青年モレルに寄せるシャルリュス氏の恋心はうわさを呼び、「私」の恋人アルベルチーヌをめぐる同性愛の疑惑は思わぬ展開を見せる。

感想・レビュー・書評

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  • ソドムにもゴモラにも興味が沸かなかった。
    「私」がご執心のアルベルチーヌについても同じだ。
    そもそも、人が最も女を欲するのは、それが決定的に失われようとするときなのではないか?
    そのことを証するかのように、「私」は、彼女がゴモラの女だと知って初めて、彼女を繋ぎとめようと必死になる。

    『われわれがいかにあれこれ考えをめぐらしても、真実はけっしてそのなかに含まれない。真実は、つねに外部から、まったく想いがけぬときにやって来て、われわれに恐ろしい針を刺し、永久に癒えない傷を与えるのだ。
    ―中略―
    「…ほら、憶えてるかしら、あたしよりも年上の女友だちのこと、あなたに話したことがあるでしょ。あたしの母親がわり、姉がわりになってくれた人で、その人といしょにトリエステですごした何年かはこれまでで最高の経験だったし、何週間かしたらそのお友だちとシェルブールで落ちあって、そこからいっしょに旅行する予定なのよ
    ―中略―
    で!そのお友だちだけど、(あら!あなたが思うような種類の人じゃ全然ないわよ!)、これが、なんと不思議なことに、どんぴしゃり、そのヴァントゥイユって人のお嬢さんの親友なのよ、
    ―以下略―』(第4篇ソドムとゴモラⅡ(2-4))

    『と母は言うと、
    ―中略―
    私に窓を指し示した。しかしお母さんが示してくれたバルベックの浜辺や海や日の出の背後に、私が母の目にもそれとわかるほど絶望をあらわにして見ていたのは、モンジュヴァンの部屋だった。そこでは、バラ色に上気したアルベルチーヌが、大きな雌猫のように身体を丸め、鼻を強情そうにそり返らせ、ヴァントゥイユ嬢の女友だちになりかわり、同じ官能的な笑い声をあげて、こう言っている、「それがどうしたの!見られたら、かえって好都合じゃないの。―以下略―」』(同上)

  • ○われわれはあの世でも、この世と同じ自分であり続けたいと熱烈に願うものだ。ところがそんなことは考えてもみないが、あの世を待たずとも、この世でも数年も経つとわれわれはかっての自分ではなくなり、未来永劫そうありたいと願っていた自分ではなくなる。
    ○われわれが毛嫌いするのは、こちらとは正反対の人間ではなく、こちらに似てはいるが劣っている人間、こちらの悪い面を露呈し、こちらが矯正した欠点を露わにして、現在のわれわれが過去においてどう思われていたかという不愉快なことを思い出させる人間なのである。
    ○命令に従っているときは、来る日も来る日も未来は我々の目に隠されているが、それをやめたとたん、ようやく人は本格的に大人として、人生を、めいめいの意のままになる唯一の人生を生きはじめる。
    ○他者という存在は、われわれとの位置を絶えず変えているのだ。感知されはしないがこの世の永遠に続く運動の中で、我々は他者をある瞬間の光景において動かぬものとして眺めるが、その瞬間はあまりにも短く、その間にも他者が巻き込まれている運動など到底感知されない。
    ○頑固者とは他人に受け入れられなかった弱者であり、他人に受け入れられるかどうかなどに頓着しない強者だけが、世間の人が弱点とみなす優しさを持つ。
    ○人間は、周囲からいかに軽蔑されようと、なかなか自分の欠陥には気づかず勝手なおしゃべりを続ける。

  • 非常にストレスが溜まる一冊だった。
    最初からサロンの描写が異様に長く、理解できない会話が続く為話の筋が見えて来ない。
    それにしても「私」はどうしてこれ程までに恋人(単なる遊び相手?)を苦しめるのだろうか。
    ある人に対して所有欲が興るのは思春期によくある事だが、束縛し一人恍惚として快感を得ている頻度が高く、妄想状態に没入している様子が怖い。
    幻影として妄想を見ると言う経験がないので読んでいて背筋が寒くなった。
    これは被害妄想と言った方が正しい。
    アルベルチーヌの心情が一切描かれていないので想像するしかないが、彼女は「私」に振り回されている人物の可哀想な一人だ。
    同性愛者か否か不明な状態が続くので何れは真実を知りたい。
    泣き出した「私」を慰めてくれたお母さんがとても優しかった。
    が、好い加減甘やかし過ぎだと思う。
    女性に現を抜かす我が子を看過できないのであれば積極的に母から品行方正になる様に注意すべきである。
    どうしても女性目線の心理で読んでしまい、「私」の性格が純粋に好きになれなかった。
    現代に存在したら相当厄介な男である。

  • 「こちらとしては自由を確保して、その気がなければアンドレとも結婚せず……とはいえその時点まではずっとアンドレを自分のものにしておきたい。……「ぼくはべつの人への恋心のせいで悲しんでいるので、そんなぼくを慰めてほしいんだ。」……私は内心ほくそ笑んでいた。これで……アンドレの愛情を楽しく心おきなく享受できるだろう。」

    あいかわらず主人公がクズ。なんだこのアンドレに対するアレな態度は。くわえて、9巻はほかの登場人物のクズ度も高いので、全般的にクズな人々がクズな言動をしてるのを延々と読み続けるという展開。
    それでいて景色の描写とか記憶をめぐる考察とかはやたらと高尚で、どうにもアンバランスな。
    しかし、ここまで読んで未だになんの話なのかわからんてのも不思議。

  • 2018.第3回ランチ講座「ファッションは何を語ったか?〜文学作品にみるファッション情報の意味〜」
    <図書館の所在、貸出状況はこちらから確認できます>
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=335021

  • 岩波文庫版の第9巻。
    『訳者あとがき』によると、この辺りで挫折する読者が多いそうだ。確かに終盤で主人公が決心するまでは、ストーリー的にもさほど起伏があるわけではないので、いい加減に飽きてくる気持ちも解るw が、細部に拘って読んで行くと、意外に1冊を読み通すのは苦痛にならないので、挫折はせずに済んだw

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