アルゴールの城にて (岩波文庫)

制作 : 安藤 元雄 
  • 岩波書店
3.74
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本棚登録 : 119
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003751282

作品紹介・あらすじ

20世紀フランス文学において特異な存在感を誇るジュリアン・グラック(1910‐2007)のデビュー作。舞台は海と広大な森を控えてそびえ立つ古城。登場人物は男2人と女1人。何かが起こりそうな予感と暗示-。練りに練った文章で、比喩に比喩を積み重ね、重層的なイメージを精妙な和音や不意打ちの不協和音のように響かせる。

感想・レビュー・書評

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  • 三人の若く美しい男女、古城、それを取り巻く森と海。設定も筋立てもごくシンプルで、様式的といってもよい。
    はしがきで作家はこの物語が『パルジファル』の書き替えとして読まれることを認めている。文中には『ローエングリン』への言及もあり、ワーグナーの神秘主義的作品世界との響き合いは作品のひとつの柱だろう。主人公たちが礼拝堂の廃墟を訪れる場面など、ワーグナーからさらに踏み込んで聖杯伝説本体の中世的色合いも帯びている。
    しかし最も強烈な余韻を残すのは、その観念的で凝りに凝った耽美な文章そのものである。古城の石の床に、深い森に、波打ち際に、光と影がゆらめきながら描いていく絵を眺める。それは一瞬として留まることなく絶えず姿を変える。やがて物語も登場人物たちもどこかへ行ってしまって、文章が呼び起こす陶酔のような感覚だけが体内に満ち満ちる。
    ゴシックロマン風の筋やブルターニュの風光の助けを借り、素朴な読み手は華麗な文体のめくるめくリズムとイメージに巻き取られ翻弄されていくのだった。

  • 倉橋由美子の書評エッセイ(偏愛文学館)で絶賛されていたので、いつか読みたいと思っていた作品が岩波文庫に入ったので迷わず(元は白水社から出ていた安藤元雄訳)。

    なんというか、ありていに言えば三角関係のお話なのだけれども、現実感の薄いゴシックなお城と森で、現実感の薄い男女(親友同士の男二人と女性一人)が繰り広げる、やはり非現実的なエピソードや思索の数々は、いっそ悪夢的。シュールというよりはゴシック寄りだと思ったけれど、ブルトンが絶賛したというのはわかる気がする。

    会話文を排除してひたすら描写に費やされる文章は、しかしさほど難解ではなくするする読めるので、ゆえに逆に、油断して集中力を欠くと全く頭に入って来ず、後半のやや唐突な展開には、あれ?どっか読み飛ばした?と不安になるほどでした。

    正直な印象を述べるなら、この人たちはもしかしてゾンビなのだろうか?(笑)。殺されても殺されても生き返り、永遠に3人で不毛な殺し合いを続けているだけなのかもしれない。

  • ンン~~やっぱり仏文学むつかしい…

  • 一つの文章に色々詰め込んでウルトラバロックみたいな文章だった。ところどころ脳内で場面が鮮やかに浮かんだ。とことん鬱な暗さは好み。
    生きてるのか死んでるのか意味が解らなかったので、もう一度挑戦したい。

  • 無声映画のように言葉なく綴られた物語。
    原文の文章は美しいのだろうかと想像するけれども、翻訳が硬いので雰囲気だけ感じる。

  • 再刊のようだが全く内容は知らず本屋で見かけ購入。いやこういうのがあるから本屋に寄っちゃうんだよな。1938年の作品で著者はシュルレアリストの一人とみなされていて、ワーグナーの『パルジファル』が元になっているということだけど、よく知らない者としては古城で怪異幻想の世界が繰り広げられるゴシックっぽさというのが初読の印象(解説にポーへの言及もある)。数少ない登場人物におきる様々な出来事が息の長い比喩の多い観念的かつ終末感漂う文章で描かれる。かなり独特な文章なので何が起こったか分かり辛いのだが、色彩豊かで鮮やかなイメージが次から次へと重ねられその連鎖が非常に魅力的。少ない登場人物の関係なのに世界の終末のイメージにつながっていくということではアンナ・カヴァン「氷」を思わせるところもあった(むしろ「氷」がゴシック的な破滅的な世界観を城の様な閉鎖空間から、破滅する世界へと開き一方で内宇宙に安住の地をつくるような試みだったのかもしれない)。
     ヘーゲルへの言及など、著者の意図を理解しているとは全く言えない読者であるが、いい本と出会った気がする。

  • 1/23 読了。
    スローモーションと鮮烈な静止画。重たくてかたいチョコレートケーキのような小説。

  • 倉橋由美子が絶賛したゴシック小説。
    比喩を多用した、ある種『クドい』文体で描かれる閉ざされた城と3人の人間関係は、確かに倉橋由美子が評したように能を思わせるところがある。

  • 此れを機に、文庫化や復刊が進まないかなぁ~

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    「20世紀フランス文学の中で特異な存在感を誇るジュリアン・グラック(1910―2007)のデビュー作。舞台は海と広大な森を控えてそそり立つ古城。登場人物は男二人と女一人。何かが起こりそうな予感と暗示――。練りに練った文章で、比喩に比喩を積み重ね、重層的なイメージを精妙な和音や不意打ちの不協和音のように響かせる。」

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