冗談 (岩波文庫)

制作 : 西永 良成 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 186
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003770016

作品紹介・あらすじ

絵葉書に冗談で書いた文章が、前途有望な青年の人生を狂わせる。十数年後、男は復讐をもくろむが…。愛の悲喜劇を軸にして四人の男女の独白が重層的に綾をなす、クンデラ文学の頂点。作家自らが全面的に手直ししたフランス語決定版からの新訳。一九六七年刊。

感想・レビュー・書評

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  • 自分が心血を注いできたことが誤りだった、または駄目になったのだということに直面していく登場人物たちの失望。また、自分を保つために他者を利用することの醜さ、利用されることの悲惨。とてもつらい。

    最終章で主人公はひとつの解を提示するけれど、ああいう風に世界をとらえられるほど達観できない。かといって、個人でどうにかするための道も思いつかない。途方に暮れた。

  • 抒情的な青春時代。
    小さな1つの冗談によって大学から追放されてしまったルドヴィグは、復讐のために生きていく。
    全ての冗談が真面目に受け取られる世界、共産主義体制下のチェコで、クンデラと主人公の青春時代が重ねられる。

    青春はクンデラにとって
    自分のことしか見えなくて、それでもそれが愛だと思う、初々しく未熟な時期らしい。

    青春と愛、憎しみと赦し、復讐。
    復讐の虚しさ、盲目的な人生の空虚さ
    クンデラ作品でも結構好きだな

  • クンデラは、「存在の耐えられない軽さ」を読んで、こんな小説があるのかと驚かされ、「不滅」を読んで、僕の中で永遠になった。
    中身はあまり思い出せないけども、不滅のような現代的でありかつ完璧な作品が有り得るのかというのは、大きな驚きであった。

    でも、そのせいでそれ以外の作品で幻滅することをおそれ、見る機会を失っていた。

    がために数年の間をあけてしまい、もはや不滅の内容といえば、冒頭のプールサイドの情景くらいしか思い出せないほど時間が経ってるけど、ときには小説も読みたい、と思って手をつけた。

    途中、かなりまだるっこしい、それが自分が歳とってせっかちになってる(若さのせっかちに比べて、中年のせっかちの無益さ、、、)せいなのかはわからないけども、上記の2作品を読んでるときには感じなかったような退屈さもあった。
    ヤロスラフのパートの唐突さがちょっと上手くないと感じた。

    しかし、読後感たるやなかなか見事で、37歳のルドヴィークにおいて、わずか3日間程度の出来事として結実する十数年、それを通して、
    ・記憶の持続と修復の可能性を信じているが、このふたつの信念はともに虚偽なのだ。真実はその逆であり、すべては忘却され、なにも修復されない。
    ・ひとの運命はしばしば死のはるか手前で終わる。
    という恐ろしい結論に至らせる。

    コストカの「この混乱した声のざわめきのなかで、あなたの声がまったく聞こえないのです!」に至る思考の流れもとてもよかった。
    どこまでが清らかな愛で、どこからが肉欲なのか、これを分けようとするから人は分裂する、が、しかし、同じなのかと言われると拒否したくなるものでもある。
    それらは同じだし別のものでもある、清らかな愛と肉欲とは分断されたものでもあるし繋がったものでもある、それは量子力学のように重ね合わせて存在している、という矛盾を認めなければ、雑音に思われてしまう。
    人には重ね合わせを導き出す波動関数という在り方を認めねばならないのだ。

  • ミラン・クンデラ。学生時代、存在の耐えられない軽さが映画化されましたが、初の長編小説がこのようなものだったとは。知らなかった。登場人物の独白が、緊密に綾をなし、第7部のクライマックスに向けて螺旋状で、かつ拡散するこの世界及び人間実存の描写が最高です。感動しました。

    • アテナイエさん
      若き主人公の情熱、裏切り、挫折、哀愁そしてゆるし……あらゆる描写が素晴らしいですね。私もこの本はほんとに感激しました。また再読してみたくなり...
      若き主人公の情熱、裏切り、挫折、哀愁そしてゆるし……あらゆる描写が素晴らしいですね。私もこの本はほんとに感激しました。また再読してみたくなりました~♪
      2017/04/13
  • クンデラさんはこれで二冊目だけど、言いたいことは『存在の耐えられない軽さ』と同じ、かも、し、れな、い。個人的に、コストカさんの叫びで泣きました。また『存在の~』と同じく、直線としての時間を肌で感じる作品。そして円環としての幸せも。

  • 著者が37歳のときに書いた長編小説。
    発表当時はソビエトと社会主義の暴露小説? のような読み方をされていたらしい(巻末解説による)。そういった読み方はやはり時代性の影響が強いようで、今になってみると暴露小説として読む方が無理があるのではないか、と感じる。どうも西側(当時)で行われた翻訳にも問題があったようで、クンデラは後に改訂版を刊行している。
    読んでいて思い出したのは倉橋由美子の短篇、『パルタイ』。『パルタイ』で描かれていた行為もやけに冗談じみていたが、本作で描かれているものもやはり『冗談』じみている。というか、この長篇小説自体が悪い『冗談』なのではないか……という読み方をしたくなる1冊。

  • 50年も前に書かれた小説ではありますが、時代背景を度外視して単なる小説として味わってもとても面白い、このような書き方をする現代の作家もいるけれど、この人の模倣なのだと思うとずいぶんと陳腐に思えてしまう。結局のところ不毛な行動をとる人たちが何人も出てくるのだがそれぞれがなんというかいとおしい感じがする。「存在の〜」よりも前に書かれた小説なのだと知ってあらためてすごい作家なのだなと思った。

  • 文学

  • 文句なしの面白さ。ただ情けないのが、すごく気に入った名フレーズがあったのだが、忘れてしまった。。。

  • 【仕事】ズルさのすすめ/佐藤 優/20150909(97/381)<210/21933>

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著者プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

「2015年 『無意味の祝祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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