- Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003770016
感想・レビュー・書評
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自分が心血を注いできたことが誤りだった、または駄目になったのだということに直面していく登場人物たちの失望。また、自分を保つために他者を利用することの醜さ、利用されることの悲惨。とてもつらい。
最終章で主人公はひとつの解を提示するけれど、ああいう風に世界をとらえられるほど達観できない。かといって、個人でどうにかするための道も思いつかない。途方に暮れた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
恋人への一通の絵葉書に宛てた冗談に狂わせられた人生について時代(世代か?)の価値に翻弄されながら、時にはかつて愛した女性への自身のノスタルジアから翻弄され、時には自分を追い込んだ相手への復讐を選ぶ主人公ルドーヴィク。
愛した女性ルツィエについては実体性や物質性、具体性を失って伝説や神話に自分の中で変わっていくからこそ忘れられない程の痛み、そして自身の鏡となっていることに気付く。
自信を狂わせたゼマーネクについては、彼への復讐へとその妻と不義理を交わしたが、目の前に現れたゼマーネクは既に年若い女性と密な仲になっており、復讐は果たせない。そんな中ルードヴィクは二重に間違った信念として信じた罪に対する贖罪は時代により忘れられその課題を代行するのは忘却であることを悟る。
最終章では生まれ故郷に戻って翻弄から逃れた彼の姿があり、人間の想いとは翻弄から逃れる事が自身のためであるのだとも取れ、何か仏教に通じる無我か、レッセフェール的ななすに任せよの哲学性をこの東欧小説から感じた。
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ミラン・クンデラ。学生時代、存在の耐えられない軽さが映画化されましたが、初の長編小説がこのようなものだったとは。知らなかった。登場人物の独白が、緊密に綾をなし、第7部のクライマックスに向けて螺旋状で、かつ拡散するこの世界及び人間実存の描写が最高です。感動しました。
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若き主人公の情熱、裏切り、挫折、哀愁そしてゆるし……あらゆる描写が素晴らしいですね。私もこの本はほんとに感激しました。また再読してみたくなり...若き主人公の情熱、裏切り、挫折、哀愁そしてゆるし……あらゆる描写が素晴らしいですね。私もこの本はほんとに感激しました。また再読してみたくなりました~♪2017/04/13
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クンデラさんはこれで二冊目だけど、言いたいことは『存在の耐えられない軽さ』と同じ、かも、し、れな、い。個人的に、コストカさんの叫びで泣きました。また『存在の~』と同じく、直線としての時間を肌で感じる作品。そして円環としての幸せも。
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自分が全く予期していなかったことがきっかけとなって、自分の人生が思いもよらなかった過酷な流れに巻き込まれていってしまう。そして、そんな自分の運命を左右したものに復讐を遂げようとするのだが、運命はそんな思いをあざ笑うかのように「お前にそんな復讐などできはしないのだ」ということを思い知らせる。
人生とは何か。小説というものは、そんな誰にも答えることができないことについて、「答えのようなもの」を提供してくれる。 -
50年も前に書かれた小説ではありますが、時代背景を度外視して単なる小説として味わってもとても面白い、このような書き方をする現代の作家もいるけれど、この人の模倣なのだと思うとずいぶんと陳腐に思えてしまう。結局のところ不毛な行動をとる人たちが何人も出てくるのだがそれぞれがなんというかいとおしい感じがする。「存在の〜」よりも前に書かれた小説なのだと知ってあらためてすごい作家なのだなと思った。
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文句なしの面白さ。ただ情けないのが、すごく気に入った名フレーズがあったのだが、忘れてしまった。。。