小説の技法 (岩波文庫)

制作 : 西永 良成 
  • 岩波書店
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本棚登録 : 98
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003770023

作品紹介・あらすじ

セルバンテス、カフカ、プルーストなど、誰もが知っている名著名作の作者たちとその作品に言及しながら、さらには自らの創作の源泉を語りつつ、「小説とは何か」「小説はどうあるべきか」を論じるクンデラ独自の小説論。実存の発見・実存の探求としての小説の可能性を問う、知的刺激に満ちた文学入門でもある。2011年刊行の改訂版を底本とした新訳決定版。

感想・レビュー・書評

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  • 2016年66冊目。

    「創作」というものに対して、頭の中で言葉になりかけてつかみきれなかった多くのことが、この本のおかげでかなりの部分が形になった。
    去年、ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』をタイトルに惹かれて読んだ時に、解説にこの『小説の技法』の一文が紹介されていた。

    「偉大な小説はつねにその作者よりもすこしばかり聡明である(中略)みずからの作品よりも聡明な小説家は、職業を変えるべきだろう」

    村上春樹、上橋菜穂子、ミヒャエル・エンデ、アーシュラ・K・ル=グウィン。
    多くの作家の創作論の中で繰り返し出てきたことが、

    「作品は作者よりも先をいっている」

    ということだった。
    創作とは、人の中にあるもの(その中でもすでに顕在化しているもの)を吐き出してまとめる作業以上のもの。
    作り手の中にあるが顕在化していないもの、もしくは所有はしていないけれどアクセスはでき、でもやはり把握できていない領域に、彼自身を連れていくものだと思う。
    書くとは、自身が進歩することでもあるのだと。

    近代科学は、認識することそのものへの情熱にとりつかれ、人生の具体的世界(生活世界)を排除したという。
    小説の役割は、具体的な生活世界へ照明を当て、存在忘却から保護すること。
    画一的な答えの提示ではなく、相対的・多義的な実存の可能性を探ること。

    「実験の場としての創作」というところに、大きな可能性を感じる。
    年末にいい本に出会えた。
    一言一言の切れ味がすごすぎる。

  • 第1部 評判の悪いセルバンテスの遺産
    全てを理性や科学で解明し、共通の歴史の中で人間存在や社会生活を還元する「近代」においては、相対性と両義性のなかから「小説にしか発見し得ないもの」を語る小説はむしろ意義を増す。世界の不合理性を語り、懐疑し、未来に追従せず、常に問いかける「小説の精神」は、むしろ今こそ必要なのだ。また、小説の本質は発見であり、現在は発見のない小説が量産されているが、その意味で、近代を直視し、両義性の世界にドン・キホーテと読者を導いたセルバンテスの偉業に執着したい。

  • 「小説はどうあるべきか」。実存の探求としての小説。クンデラ持論を語る。ノウハウ本ではありません。
     歴史や政治を扱ったことの意義、カフカについての解釈、「キッチュ」の意味など、作者に聞きたかった疑問のいろいろが拾えて面白かった。ジョイスやムージルなど参照すべき作家、哲学者に言及があり、クンデラの考える「小説」史の流れが浮かび上がる。
     読み手(ワタクシ)の知識不足のため消化不能部分が出てしまったものの、対談の章は聞き手が一般人がしそうな質問を果敢に行いそろそろと核心に近づく。他の章でも同趣旨の繰り返し記述あり、といった構成になっており、親切な本といえましょう。

  • 対談2本、講演1本も含む評論集。
    小説と音楽についての関係を興味深く読んだ。クンデラを読み返したくなる……が、問題は何処にあるか解らないことだ。

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プロフィール

1929年、チェコ生まれ。「プラハの春」以降、国内で発禁となり、75年フランスに亡命。主な著書に『冗談』『笑いと忘却の書』『不滅』他。

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