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Amazon.co.jp ・本 (158ページ) / ISBN・EAN: 9784003770146
作品紹介・あらすじ
分身、夢、不死、記憶などのテーマが、先行諸作品とは異なるかたちで変奏される、端正で緊密な文体によるボルヘス最後の短篇集。本邦初訳の表題作のほか、「一九八三年八月二十五日」「青い虎」「パラケルススの薔薇」を収録。二十世紀文学の巨匠が後世にのこしてくれた、躊躇なく《ボルヘスの遺言》とよぶべき四つの珠玉。
みんなの感想まとめ
自己の存在や記憶を問い直す深遠なテーマが描かれた短篇集であり、ボルヘスの独特な文体が光ります。収録された四つの物語は、自己と他者、現実と夢、自由と運命といった対立を巧みに反転させ、読者に新たな視点を提...
感想・レビュー・書評
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20世紀ラテンアメリカの作家ボルヘス(1899-1986)最晩年の短篇集、1983年。
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自己への拘泥という依存からの解放を、精神からも肉体からも解放されるということを、精神と肉体から抜け出る秘密の抜け道としての何かを、求めていた。自己がどこともなく解消されて、喪失すべきものが実ははじめから喪失してしまっていたということになれば、喪失の前提条件が予め解消されてしまっていたということになれば、そもそも迷子になる布置そのものがなくなってしまっている、ということになる。
主/客、自/他、有/無、同一/差異、区別/混沌、、現/夢、生/死、実/虚、能動/受動、自由/運命、、始/終、先/後、因/果、内/外、上/下、左/右、天/地、遠/近、大/小、、真/贋、始源/模倣、原本/複製、根源/派生、作者/読者、、メタレベル/オブジェクトレベル……
ボルヘスの不思議な作品を読んでいると、これらの対立がくるりと反転して、そうした区別(秩序、同値類)と方向(序列、階層)が曖昧化され解消してしまう。彼の作品を通して、自分の、或いはもはや「自分」とは名指しできなくなるかもしれない何者かの、別のありようを、想像してみる。
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「外で私を待っていたのは、別の夢だった。」(p23「一九八三年八月二十五日」)
「作品はその描き手を必死になって救おうとする。」(p154「解説」)
「読み手の役割がもっとも重要なのだ。読み手であって、書き手ではない。ボルヘスさんは読み手が書き手の仕事を引き継ぐのだと信じている」(p156「解説」)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
四編の短編集。どれもいかにもボルヘスで良き。以下簡略にメモ。
〇一九八三年八月二十五日:あるホテルに宿泊した60代のボルヘス、宿帳にサインを求められ、書こうとするとすでに自分のサインが。まさかと思いつつ部屋に行くと、そこには老いて死の床についたボルヘス(84歳)がいて…。
〇青い虎:青い虎を探して僻地の村へ出かけた男。虎はいなかったが、村人たちが神聖視している山に無断で入り、青い小石をみつける。その小石は勝手に増えたり減ったりし…。
〇パラケルススの薔薇:パラケルススのもとに弟子になりたいという男がやってきて、持ってきた薔薇を灰にしたあと蘇らせてくれと師に言う。しかしパラケルススは…。
〇シェイクスピアの記憶:ドイツ人の文学者が、あるとき知人からシェイクスピアの記憶を譲ると言われ、受け取ることにする。以来、じわじわとシェイクスピアの記憶が蘇るようになり、最初のうちは喜んでいたものの、次第にシェイクスピアの記憶が本人自身の記憶を浸食しはじめ…。 -
収録作の三編は『バベルの図書館22 パラケルススの薔薇』
(国書刊行会)で既読だったが、
本邦初訳の表題作のために購入・読了。
■一九八三年八月二十五日
深夜、宿泊するホテルに帰ったボルヘスはフロントで
記帳を求められ、首を傾げつつページに目を落とすと、
真新しいインクの跡が自らの名を綴っていた。
宿の主は、よく似た別の客が既にいるが、
あなたの方が若いようだと告げる……。
バベルの図書館『パラケルススの薔薇』での初読時より、
もっさり・まったりした印象を受け、
同時に何故か内田百閒風に感じられた。
■青い虎
1904年末にガンジス川のデルタ地帯で
青い虎が発見されたとのニュースを読んだ〈私〉こと
アレクサンダー・クレイギーは、
更に、そこから離れた村にも
青い虎の噂があると聞いて旅立ち、
山に入って無数の小石を発見した――。
■パラケルススの薔薇
錬金術士パラケルススこと
テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイム(1493-1541)の許に
弟子入り志願者がやって来たが……。
■シェイクスピアの記憶
英文学者ヘルマン・ゼルゲルは
シェイクスピア国際会議で知人に引き合わされた
ダニエル・ソープから
「シェイクスピアの記憶を差しあげましょう」と切り出された――。
作者ボルヘス自身の鏡像と思しい主人公たちの驚きが
静かだけれども瑞々しい。
旅と記憶と〈読むこと〉〈書くこと〉を巡る佳品群。 -
充実した解説があって助かる。「新語や古語で飾り立てないと、なんとなく内容が薄っぺらなものになってしまうのではないかとおt尾をレルンです。要するに書き手の不安が、バロック的な文体を生むわけですね」「この作日員は私のむかしの作品よるもずっと訳しやすいのではないかと思います。私はこのごろ平易な文章を書くように努めています。何回は語句は使わないように」
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静謐な短編集。
ラテンアメリカの色やにおい、温度や湿度はほとんど感じない。
晩年の作品であり、死への近さがそうさせるのか。 -
難解だった。
全くわからないわけでもないが、だから何なの?って言ってしまってはダメなんだろうな… -
マジック・リアリズムと呼ばれるが、ガルシア・マルケスとはまた違う。日本文学より語り切る感じだが、シンプルな中に読み手に委ねてあるところが多く面白い。
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ボルヘスの小説ということで読んだがあまり印象にのこらない。本文よりも解説の方が長い感じがする。
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短編4篇。
いずれも夢と記憶と旅の話。
あるいはバーチャルリアリティの話だとも言えそうだ。
他者の記憶を丸ごとインストールすることでアイデンティティがゆらぐ。それがましてやシェークスピアの記憶なのだとしたら! -
ボルヘスの遺作が本邦初訳なのがびっくり。良くも悪くも枯れた感じは、昔からかも知れないが、渇き具合が一段と上がっている感じはする。懇切丁寧な解説が助かる。
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表題作以外の3本はバベルの図書館のシリーズに入ってる。
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J.L.ボルヘスの作品
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